ライフ・イズ・クライミング！ (2023)：映画短評

登る山の近くに立ちながら、高さは確認不可能。しかし教えてくれる人がいれば、想像力と勇気で山に登ることができる…。その関係を真っ直ぐに見つめ、全編に心地よい風が流れているようなドキュメンタリー。実際に「風」は重要なキーワードになっている。
全盲となったクライマー、コバの人生を重ねながら、ボルダリングのホルダーや、アメリカの岩山絶壁で足を掛ける位置を的確に声で伝えるガイド・ナオヤとの完璧なパートナーシップが、異次元の爽やかさで逆に面食らうほど。
ナオヤの「自分なら恐怖心で登れない場所に行ってもらえる」という二人で一人の感覚から、人と人のシンプルな信頼、限界を超えるチャレンジ精神の秘密を受け取った。