青春 -苦- (2024):映画短評
青春 -苦- (2024)
人物それぞれの体温や息遣いがヒシヒシと伝わってくる
中国の長江デルタ地帯、縫製工場で働く出稼ぎの若者たちの喜怒哀楽を追った3部作の第2章。誰もが気軽に映像を撮れるスマホ時代だが、こんな画と音像、とても捕まえられない。監督ワン・ビンとそのチームのカメラアイは、フライ・オン・ザ・ウォール=「壁にとまった蝿」的なドキュメンタリー作法とは何かが違うのだ。
それぞれの体温や息遣いがヒシヒシと伝わってくる。絶妙な間合い。人と人が“通電”するあいだに立ち会っている感覚か。圧倒的な瑞々しさという意味では、『教室の子供たち』(54)などで知られる羽仁進の初期作と比較したい。大規模な暴動、2011 年 10 月の「織里事件」も収め、そして人生は続き、映画も続く。
この短評にはネタバレを含んでいます