青春 -帰- (2024):映画短評
青春 -帰- (2024)
ある世代の人々の青春時代を歴史的に捉える冒険的な試み
2015年から撮影し、2019年までの5年間、縫製工場で働く出稼ぎの若者たちにカメラを向けた3部作の最終章である。新たに登場する者や、1〜3 部の全てに顔を出す者もいる。ちょっとした大河ドキュメンタリーだ。前作の英題のサブタイトルは「HARD TIMES」だったが、こちらは「Homecoming」。春節を祝うため故郷へ。家族のもとへ。
その行路自体がドラマチック。監督のワン・ビンは影法師のように密着して彼ら彼女らの“生活”を記録した。過酷な労働環境。半年ごとの出来高払いの中での賃上げ交渉。何とか生きながらえて活動する営み――ある世代の人々の青春時代を歴史的に捉える冒険的な試みと言える。
この短評にはネタバレを含んでいます