軍服を着た神様 (2025):映画短評
アジアで彷徨う魂たち
民俗学の見地から被災者の心の有りようを見つめた『廻り神楽』の遠藤協監督が、またも奥深きドキュメンタリーを世に放つ。今度は文化人類学者と共に、台湾で神となった軍人の謎を追う。飛虎将軍や義愛公など情報として知っている人も多いだろう。だが足掛け6年にわたるフィールドワークで捉えた映像は何よりの説得力を持つ。中でもレイテ沖で戦死した樋口勝見先鋒は、漁師の綱に卒塔婆が引っかかったのがきっかけ。それは戦後、洋上慰霊で遺族が投げ入れたもの。だが漁師は縁起でもないと、何度も海に戻したと忌々しく語る。決して親日的な感情ではなく、鎮魂する意味合いで祀られた彷徨う魂たち。戦争の罪と罰を問う特筆すべき作品である。
この短評にはネタバレを含んでいます




















