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河瀬直美監督が『殯(もがり)の森』の撮影秘話や秘められたテーマを語る!

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河瀬直美監督
河瀬直美監督 - Photo:Nobuhiro Hosoki

 映画『殯(もがり)の森』で見事2007年カンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞した河瀬直美監督が、ニューヨーク・アジアン・フィルム・フェスティバルのイベントに登場し、彼女独自の作品作りを語ってくれた。

映画『殯(もがり)の森』

‐河瀬監督の映画は出身地の奈良県で製作されていますが、河瀬監督にとって奈良県とは、どういった意味合いがあるのでしょう?

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(河瀬直美)奈良はわたしの故郷で、とても歴史があって古い町です。若いころは本当に何もないところだと思っていたんです。でも一度離れてみると、古い歴史を守り続ける奈良の姿を認識するようになったんですね。そして自分が撮影を通して表現するならば、奈良のほかにはないだろうと感じたし、自分が生まれ育った場所以外で表現するのはおかしいと思うようになったんです。

‐『殯(もがり)の森』は何に影響を受けて製作されたのでしょうか?

(河瀬直美)わたしは両親を知らずに育ち、母方の祖母の夫婦には子どもがいなかったことから、そこで育てられました。その祖母が5年前に認知症を患いまして、家族として、自分のプライベートな感情として、認知症の人との関連性を考えだしたんです。それがこの作品におけるアイデアの原点でした。

‐河瀬監督の作品にはどの程度の脚本が存在しているのでしょうか?

(河瀬直美)脚本はあってないような感じなんです。スタッフにはイメージや方向性だけを伝えて、スタッフも役者たちにもまずそれを理解させます。そしてこのときに役者が言うセリフや、シーン構成はそのときどきに決めていくような形で撮影が進んでいました。ある撮影中にエンディングをどうしようかと考え、スタッフに脚本を借りようとしたら、誰も脚本を持っていなかったなんてことがありましたね(笑)。

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‐主演のうだしげきの本名が役名としてそのまま使用されているのですが、それにはどういった意図があるのでしょうか?

(河瀬直美)うだしげきさんがプロの俳優ではないということもあるのですが、観客の皆さんにはこの作品をドキュメンタリーのように受け取って頂いてかまわないと思っています。これは俳優がカメラを回しているときだけ演技をしているのではなく、彼は常にあの村で、あの森で生き、うだしげきとして行動しているということなんです。だから彼自身が現実のうだしげきなのか、キャラクターとしてのうだしげきなのかわからなくなるようにすることが、目的というか仕掛けでした。

‐この映画のテーマとは?

(河瀬直美)この映画は認知症の人の映画という風にはなっていません。人との関連性の映画で、立場の変化、もしくは人間性の変化というようなものを描いたつもりです。最後に、生きている人たちだけの関連性だけじゃなく、亡くなった人たちと今いる人たちとの関連性にも触れています。それがテーマですね。

 アート性の強い映画を観慣れている外国人記者たちでさえも、個性の強いこの作品に魅了されており、河瀬監督の今後が期待されるイベントとなった。(取材・文:細木信宏)

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