行定勲監督作品はなぜ泣かせるのか?涙のダムを崩壊させる魅力を徹底解剖!

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行定勲監督の代表作『クローズド・ノート』より - (c)2007「クローズド・ノート」製作委員会

 映画『世界の中心で愛をさけぶ』など純愛映画ブーム全盛期の2005年前後、「泣ける」映画を一つの現象にまでした行定勲監督の最新作『今度は愛妻家』もまた「泣ける!」として高い評価を得ているが、行定作品はなぜこれほどまでに感動的なのか。過去の作品を例に、泣きポイントを探ってみた。

 行定監督の作品といえば、映像の美しさが秀逸だ。例えば、映画『クローズド・ノート』では、ワンシーンを二つの場所で撮影したり、沢尻エリカ演じる主人公の住むアパートの前の坂道をロケではなく巨大なオープンセットにしたり、万年筆や日記帳といった小道具などにも細部までこだわりを見せている。また、映画『春の雪』では、トラン・アン・ユン監督の映画『夏至』やウォン・カーウァイ監督の映画『花様年華(かようねんか)』などでも撮影を担当したアジアを代表する名カメラマンであるリー・ピンビンを起用し、三島由紀夫の耽美(たんび)的世界を映像に昇華させることに成功した。情感たっぷりの映像はときにせりふ以上に観客を刺激し、作品の世界にどっぷり浸らせてくれる。

 さらに、涙の感動作を生み出す理由を探ってみると、行定監督の名前をメジャーにした『世界の中心で、愛をさけぶ』や『北の零年』、そして新作『今度は愛妻家』は、共に悲劇を背景としているが、行定作品では、日常を精いっぱいに生きる人々の姿を丹念に描いているところに感動の理由がある。さまざまな人間模様が織り成す行定作品は、観客の心を揺さぶらせ、温かな涙を流せてくれるのだ。

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 そして温かな涙がある一方で、切ない涙を流せてしまうのも、行定作品に感動する理由の一つだ。幸せなシーンから一転、死という悲しい場面に転じるとき、観客の胸に迫る切なさは大きい。しかし『贅沢な骨』『世界の中心で、愛をさけぶ』など過去の作品を振り返ってみると、行定作品は、残された者がいかにして悲しみを克服していくかという「再生」の物語に重点を置いている。残された人の心に寄り添い、希望を込めて描かれているからこそ、行定作品には誰もが共感できる。そして観終わったあとには、愛する人がそばにいることがいかに幸せか、観客にしみじみと思い起こさせてくれるのだ。

 身近でもある愛や死といったテーマを描き、涙なしには観られない珠玉の作品の数々をつくり続けてきた行定監督。まもなく公開される最新作『パレード』は、先日ベルリン国際映画祭パノラマ部門での上映が決まり、今までの行定ワールドとは異なる作品に仕上がっている。新たな局面を迎えた行定監督の今後にますます期待がかかる。

『クローズド・ノート』は2月11日よる8:40よりWOWOWにて放送

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