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2008年のリーマン・ブラザーズの経営破綻を含め、世界的な経済不振に陥った本当の理由とは?

2008年のリーマン・ブラザーズの経営破綻を含め、世界的な経済不振に陥った本当の理由とは?
チャールズ・ファーガソン監督

 ブッシュ政権下のイラク戦争の対応を描いた前作『ノー・エンド・イン・サイト / No End in Sight』(日本未公開)で、アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされたチャールズ・ファーガソン監督が、現在行われているニューヨーク映画祭(N.Y.F.F 48th)に参加し、新作『インサイド・ジョブ / Inside Job』(原題)について語った。

 同作は、2008年に起きたリーマン・ブラザーズの経営破綻を含め、世界的な金融危機に陥った理由を、直接金融業界を代表するインサイダー、政治家、大学教授、ジャーナリストから聞き出し、単に理由の1つとされるサブプライム・ローン(通常の住宅ローンの審査には通らないような信用度の低い人向けのローン)の空売り問題だけでなく、あらゆる観点からメスを入れた本格的な経済ドキュメンタリー作品になっている。

 実際に、この世界的な経済不振にかかわったとされている金融業界のキー・プレイヤーに、直接インタビューを敢行しているが、チャールズ監督が映画を制作していることが、すぐに金融業界に知れ渡らなかったのか? この点については「もちろん、制作していることが知れ渡って、製作が中止なることを恐れてはいたんだ。ただ、それがマイナスになることもあったが、逆にプラスになることもあった。その1つが、ブッシュ政権下で大統領経済諮問委員会議長を務めたグレン・ハバードをインタビューしたときだった。彼とのインタビューは、かなり議論を醸し出す内容で、自分のしたことを恥じ、恐怖を抱いて、そのままほとんどの自分が招いた問題点を認めてしまうこともあったんだよ」と語った。チャールズ監督が他の金融業界のインサイダーにもインタビューしていることを知って、思わず話してしまった出来事もあったようだ。

 リーマン・ブラザーズの経営破綻の後に、当時ブッシュ政権の財務長官を務めていたヘンリー・ポールソンが、一度リーマンの救済を拒否し、その後一転し、金融機関安定化法案を設立させたが、この一貫しない行動が市場に不信を招き、世界的な株式の大暴落を招いたが、そんな彼をもっと中心に描くべきではなかったのか、との質問には「まず、リーマン・ブラザーズの経営破綻の理由は、ブッシュ政権がなぜイラクと戦争をしたのかという理由と同じくらい、それぞれ異なる20ぐらいの理由がある。もちろん、それらどの理由にも、ある程度の真実があるが、それを映画で説明していては全くきりがないんだ」と答えた。ヘンリーが世界的な経済不振の鍵を握っていた重要人物ではあるが、彼と同じくらいキー・プレイヤーも描かれているため、時間の都合上でヘンリーを簡潔にまとめたようだ。

 また、マット・デイモンがこのドキュメンタリー映画のナレーションを担当していることについて「実は、マット以外の俳優には全く依頼をしていなかったんだ。彼は、世界的に知名度のある俳優だけでなく、声もよく知られているが、彼を選択した理由は、彼が現在の政治的な懸念に対する知識を持ち合わせていたからだ。ただ決定したのは、偶然にも彼がイラクの大量核兵器の調査を扱った映画『グリーン・ゾーン』を撮影する前に、僕の『ノー・エンド・イン・サイト / No End in Sight』を鑑賞してくれていたからなんだ。どうやら彼はその作品を気に入ってくれて、今回参加してくれたみたいなんだよ」と述べたチャールズは、さらに同作の複雑だったエンディングも、マットのアドバイスのおかげで明確になったとしている。

 多大なリサーチと数々のインタビューが、これほどまで根深い理由があったのかと感心させられる映画に仕上がっていて、現在アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞の最有力候補とされている作品だ。最後に、個人的に気になったのは、この世界的経済不振をもたらした金融界のキー・プレイヤーが、今もオバマ政権で重要な地位に就いていることだった。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)


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