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若き日のジョン・レノンを描いた映画、オノ・ヨーコに電話で曲の使用を許可されるまでの苦労

若き日のジョン・レノンを描いた映画、オノ・ヨーコに電話で曲の使用を許可されるまでの苦労
サム・テイラー=ウッド監督

 ザ・ビートルズ結成前のジョン・レノンの青春時代を描いた伝記映画『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』について、監督のサム・テイラー=ウッドが語った。

 同作は、1950年代のリバプールが舞台。伯母ミミ(クリスティン・スコット・トーマス)に育てられていたジョン・レノン(アーロン・ジョンソン)は、音楽好きの問題児だった。ある日、近所に自分の実母ジュリア(アンヌ=マリー・ダフ)が住んでいることを知り、普通の少年とは違う境遇から、孤独感を味わい始めていたが、そんな矢先、ポール・マッカートニーとの運命的な出会いを果たす。ザ・ビートルズを結成する前のジョン・レノンの葛藤が見事に描かれている秀作だ。

 この映画で流れている曲の使用権について「この映画には3つの重要なシーンがあって、そこで扱われていた3曲すべてが使用権を獲得できるか、できないか全くわからなかったの。もしできなければ、それらすべてのシーンを変更する可能性もあったわ。要するに、撮影し終わってオノ・ヨーコに映像を見せるまでは、それら3つの曲の使用権の許可が降りるか、全く分からなかったということなの。そして、その3つの曲というのが、ジョン・レノンの処女作「ハロー・リトル・ガール」、ザ・ビートルズの前身であるクオリーメンの曲「イン・スパイト・オブ・オール・ザ・デンジャー」、そしてジョン・レノンの曲「マザー」だった。結局、彼女(オノ・ヨーコ)がこの映画を観た日に、私に電話をくれて、ようやく曲の使用権を得ることができたの」と製作過程で、かなり不安だったことを語った。

 ジョン・レノン役を演じたアーロン・ジョンソンのキャスティングについて「彼はオーディションで、私(監督)を見たり、私に話しかけたりもせずに、まるで気でも狂ったかのようにジョン・レノンの真似をしながら、独り言を言っていたの! ただ、彼の振る舞いがもたらす緊張感が、私の目に焼き付いたの。そのとき彼は、映画『キック・アス』の撮影の合間に、このオーディションを受けたんだけれど、そんな状態であっても、オーディションでこの緊張感を保てるなら、これからジョン・レノンとしてしゃべり、ギターを弾き、そして歌うこともできると思って、最終的に彼に決めたの」とサム監督にとっては、アーロンの第一印象はあまり良いイメージではなかったそうだが、現在サム監督はその23歳年下のアーロンと婚約し、二人の間には娘も誕生している。

 オープニングシーンについては「実を言うと『ビートルズがやって来る/ヤァ!ヤァ!ヤァ!』のオープニングを意識しているの。あの映画では、ファンからビートルズのメンバーが逃げていて、ジョージ・ハリソンが転ぶけれど、この映画ではジョンが走っていて転んでいるのよ」とザ・ビートルズを描いた作品に敬意を表して撮ったシーンであること明かした。さらにこの映画では、伯母ミミと実母ジュリアが、後のジョン・レノンを形成する上で重要な鍵を握っているが、この二人の女性についてサム監督は「伯母ミミは、50年代のお堅い典型的な母親で、実母ジュリアは、むしろ60年代の自由の精神を大切にした女性なの」と説明した。

 これまで、数多くのザ・ビートルズの曲を耳にしていても、ザ・ビートルズの結成前については、あまり語られていない。だが、ジョン・レノンにとってこの結成前の時期が、特別に重要であったことが、この映画を観て良く理解できるはずだ。

 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)


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