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自治体が支援物資を10円で売る現実…映画『パッチギ!』の主演俳優・塩谷瞬が被災地の現状を伝える

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塩谷瞬と被災地の子どもたち
塩谷瞬と被災地の子どもたち - (c)Shun Shioya

 3月11日に発生した東日本大震災直後から、ボランティア活動を続けている俳優の塩谷瞬が、被災地の現状を訴えた。

 塩谷は、井筒和幸監督の映画『パッチギ!』の主人公を演じて以来、舞台、テレビドラマ、映画などで活躍をするかたわら、震災以前から、東ティモール、アフリカ等、途上国を訪問するなどの国際支援や、子どもたちの環境作り、日本初の子どもたちによる映画の製作などさまざまな活動に積極的に参加してきた。  
 
 東日本大震災発生直後も、渋谷区にいた塩谷は、地震直後からカメラ片手に自転車で都内を走り回り、今までにない事態を受け止めた。ドラッグストアで水やおにぎり、ホッカイロを買い込み、交通機関がストップした影響で立ち往生していたお年寄りや、妊婦さん、子ども連れの女性たちに配り、夜通し、最寄りの避難所まで案内し、即座に行動を始めた。

 そして震災から2か月がたった今も、塩谷は役者としての仕事をこなすかたわら、オフの日には被災地を訪れ、炊き出しや被災地の子どもたちとの交流を精力的に続けている。

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 仲間たちと共に何度も被災地を訪れるうちに、塩谷はさまざまな問題にぶつかったという。「あまり報道されていないことですが、避難所には大量に支援物資があって、余っているほどなのに、集落で自宅避難している方々の方には回っていないという問題があります。3回目に訪れた時、自治体が支援物資を1個10円で売り出していて支援団体と口論になっているのを発見しました。複雑な気分になった、僕たちが回っている個人宅や動けないおばあちゃんの家には取りに行っても最近はくれないんだよって話を聞いたばかりだった、どうか視野を広く持ち、みんなが幸せになるために日々行動して欲しい。沢山の方の善意がなくなってしまう。そんな問題を解決するために、本当に必要とされているものを被災地の皆さんに供給できるようなサイトを立ち上げて、仲間たちと活動をしています」という言葉のとおり、塩谷は、仲間たちとともに「TSUNAGARI」というボランティア団体を立ち上げ、被災地のニーズの高い物資を迅速に被災地へ届けている。70人から始まった団体が今は500人近い有志が集まっているそうだ。
 
 被災地に多くのボランティアが訪れたゴールデンウィーク後、ボランティアは確実に減っている。コンスタントにボランティア活動を続ける塩谷は、「やっぱりどんどん被災地に応援に行った方がいいと思うんです。これからは、みんなエネルギー不足になっていくと思うし、避難所での精神状態も上げて行かなきゃ行けない」と被災地の現状を語る。「避難所では、毎日朝、昼、晩と交代でお母さんたちが炊き出しをしています。一日だけのボランティアじゃ、お母さんたちも台所の使い方や料理の仕方の説明で休めないんですよね。だから、一日よりも、二日、二日よりも一週間、少ない日数でも何度も訪れることでぜんぜん違ってくる。お母さんたちの疲れも軽くしてあげられると思います」と震災後も変わらず過酷な生活を強いられている被災地への切実な思いを訴えた。

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 「被災地の方々のつながりは本当に強くて、皆が悲しみを共有して力を合わせながら生きている姿に、すごく力を頂きました。沢山の人たちに声を伝えていきたい」。その言葉の通り、「伝え続けること」これが、塩谷の行動のすべてだ。東京に帰るたびに、大きな温度差を感じるいう塩谷は、「人には、自分たちの家族があって、家があって、それがすべてだと思うんです。親にとっては、子どもがすべて。子どもにとっては、親がすべて。人や土地にはそれぞれ長い歴史があって、それが一気に失われてしまった。どんなに頑張って復興したり、ボランティアをしても、その失われた歴史や、命は再生できない。今回、人の歴史が数多く失われていて、被災地は、今もその悲しみであふれています。その悲しみに触れるたびに、何もできない自分がすごく苦しいです」と語った。

 塩谷は被災地と日本中をつなぐかのように毎日ツイッターやブログを通して、被災地への想いを伝え続けている。(編集部・森田真帆)

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