有害図書「アシュラ」がR指定映画にならなかった訳

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『アシュラ』のさとうけいいち監督、次回作は劇場版フルCGアニメ『聖闘士星矢』

 ジョージ秋山原作のアニメ『アシュラ』のさとうけいいち監督がこのほど、参加していた第60回サンセバスチャン国際映画祭でインタビューに応じた。

映画『アシュラ』写真ギャラリー

 同作品は、「ワンピース」などテレビ局主体のアニメが中心となった老舗・東映アニメーションが、東洋のディズニーを目指して立ち上げた初心に立ち返るべく手掛けた意欲作。「どうせやるなら中途半端なものじゃないものを」(池澤良幸プロデューサー)と、1970年に有害図書として発禁処分を受けた「アシュラ」に着目。当初は同社の森下孝三副会長が監督を手がける予定だったが体調不良などもあり降板し、企画そのものが頓挫したこともあったという。

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 そんな中、監督に抜テキされたのがさとう監督だった。さとう監督は「最初に話を受けた時は、(発禁など)ネガティブなことを聞いていたので、自分のキャリアの中でも覚悟のいる仕事だと思いましたね」と当時の心境を振り返る。ただし、さとう監督が参加した段階ですでにシナリオがありファンタジー色の強いテイストに違和感や、そもそもなぜこの時期に「アシュラ」を映画化するのかで迷走したという。

 そんな最中に起こったのが、東日本大震災だった。作り手をして何ができるのか? 戸惑うさとう監督の目に飛び込んで来たのが、若いお坊さんが吹雪舞う中に瓦礫の前に立ち、念仏を唱えていた写真だった。それは原作で法師が、飢餓や洪水で荒涼とした街を念仏を唱えながら歩く姿と重なった。さとう監督は「写真を見て後頭部を撃たれたような感覚がありましたね。きれいごとを言うような立ち上がろうニッポンではなく、もっとストレートに、個人個人がどうこの現実と向きあっているのか? そして、人間は過酷な状況でも生きなければいけないということを伝えたいと。それが、原作の絵の力を借りてできるんじゃないかと思ったんです」と思いの丈を打ち明けた。

 そうした作者の思いが作品を通して伝わったのか、本作は主人公アシュラが生きるために人を殺害するシーンもあるが、映画倫理委員会では異例のR指定なしのG区分(どなたでもご覧になれます)という判断を下している。さとう監督は次回、劇場版フルCGアニメ『聖闘士星矢』を手がける。(取材・文:中山治美)

映画『アシュラ』は全国にて公開中

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