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『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、ロバート・ゼメキス監督とスピルバーグの出会い

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、ロバート・ゼメキス監督とスピルバーグの出会い
ロバート・ゼメキス監督

 映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズや『ファレスト・ガンプ/一期一会』などのハリウッドの大作を手掛けてきたロバート・ゼメキス監督が、ニューヨーク映画祭で開かれたHBOが主催するダイアローグ・シリーズで、過去の作品について語った。

 同イベントは、ニューヨーク映画祭のディレクターを25年間も務めたリチャード・ペーニャが司会を務め、毎作エンターテインメント性のある作品でメガホンを取ってきたロバート・ゼメキス監督にインタビューをしている。

 ロバート・ゼメキス監督は、南カリフォルニア大学(USC)時代に学んだ影響が大きかったそうだ。「南カリフォルニア大学では、できるだけ低予算で制作する手法を学び、そのほとんどはフィルムストックにつぎ込んでいたんだ。それと、当時はよく映画を観ていたよ。まだビデオが出てくる前だったからね。南カリフォルニア大学は、ハリウッドの配給会社とは良好な関係にあって、大学にフィルムを貸し出していて、毎週末、フランク・キャプラ監督やジョン・フォード監督などの巨匠の作品を上映していて、それらをたくさん観ていた記憶がある。さらに僕と同じように映画が大好きな連中と常に話せる環境にあったことも大きかったと思う」と当時を振り返った。

 スティーヴン・スピルバーグとの出会いについて「彼が映画『続・激突!/カージャック』の上映で、南カリフォルニア大学を訪れた際に、上映後に僕は彼に声をかけて、僕が製作した短編を彼に観てほしいと言ったところ、彼が『ぜひ観てみたい!』と言って、後でユニバーサルの試写室でそれを観てくれたんだ。彼はその際に、ぜひこれからも連絡を取り合おうと言ってくれたんだ。その後、僕と共同脚本家ボブ・ゲイルが書いた『1941(いちきゅうよんいち)』を彼が監督することになった。その『1941(いちきゅうよんいち)』と同時期に書いていたのが、僕のデビュー作となる『抱きしめたい』で、その脚本を仕上げたときに、スティーヴンに批評してもらおうと思って渡したら、『君がこれを監督すべきだ!』と言って、(配給会社となる)ユニバーサルに電話をしてくれたんだ」と明かした。

 映画『ロマンシング・ストーン/秘宝の谷』について「前2作品『抱きしめたい』『ユーズド・カー』の批評は良かったものの、興行的には成功せず、ハリウッドの間で僕はアンラッキーな男という烙印(らくいん)が押されていた。実は、その間にも高校生を題材にしたコメディ作品を監督するオファーはあったが、僕自身は興味がなく、その間に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を執筆していたんだ。この間ずっと(約4年間)、僕は監督をすることができなかった。ところがあるとき、マイケル・ダグラスが、『この男のエネルギーに満ち溢れているところが好きだ! ぜひ彼と仕事がしたい』と言ってくれたんだよ。もっとも、この映画の脚本はめちゃくちゃで、当時僕のように2作品も連続して興行に失敗しているような監督は、そういった駄目な脚本を修正するしか仕方なかったんだ……」と語ったが、見事にこの映画は興行的成功を収めている。

 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』について「当初、すべてのハリウッドの制作会社がこの脚本の映画化を断っていた。それも、これまで“フューチャー”がタイトルに付いている映画や、タイムトラベルを描いた映画の興行が悪いとか、さらに若者を描くならもっと下品なものの方が売れるなどという、くだらない理由で断られていたんだ。ところが、『ロマンシング・ストーン/秘宝の谷』が興行的に成功した途端、急にハリウッドの制作会社が、この映画を製作したがったんだ。でも僕は、もともとこの脚本を最初から気に入ってくれていたスピルバーグ監督にあえて声を掛け、彼が一緒にやろうと言ってくれて、この映画の製作を始めることになったんだ」と述べた。同作は空前の大ヒットを繰り広げ、続編2作も手掛けていくことになった。

 映画『ロジャー・ラビット』について「後の編集作業でアニメを加えるため、ゴム状のラビット人形を用意した際に、あまりに長い間主役のボブ・ホスキンスが、そのゴム状のラビットの前で演技していたので、何も感じないこの人形の前で演じさせて申し訳ないと僕が言ったら、彼は、『僕もこの人形のように何も感じることのできない俳優(大根役者)の前で、たまに演じることもあるから大丈夫だよ!』と言っていたよ(笑)。ただ、もし『ロジャー・ラビット』の続編を製作するならモーション・キャプチャーではなく、手描きか、あるいはCGで描いたアニメになると思う。オリジナルを執筆した脚本家が、すでにディズニーのもとで続編を執筆したが、今ディズニーのエグゼクティブの間で変動があったため、製作できるかはわからない。でも製作できるなら、きっと面白いものにはなるとは思っているんだ」と答えた。

 『フォレスト・ガンプ/一期一会』について「最初に脚本を渡されたときに、脚本を置き忘れるほど夢中になったんだ。映画内で主役フォレストが、I Love Curious Georgeという台詞があるが、初稿の脚本では、その Curious Georgeは、アニメの猿というフォレストの別人格(オルター・エゴ)の設定だったんだ。そんな内容を読んだときに、脚本は好きだが、このアニメの猿の箇所は取り除いてほしいと脚本家エリック・ロスに言ったんだよ。実は、そのアニメのシーンがあったために、以前『ロジャー・ラビット』を製作した僕に、白羽の矢が立ったらしいんだ。それでも僕は猿の箇所は取り除いて、あえてロビン・ライトが演じるジェニーとフォレストのラブストーリーにこだわったんだ。個人的にあの映画が良かったのは、悪役らしい人物が出てこないにもかかわらず、すごくドラマチックなところだと思う」と話し、さらにこの映画こそが、本格的にCGを手掛けた最初の映画であると彼は語っている。

 映画『ポーラー・エクスプレス』について「当時、モーション・キャプチャーのテストを集中してやっていたんだ。俳優が直感的にすることを、アニメでやろうとすると何か月も掛かり、予算もずいぶん掛かるからね。ところが、ある装置を俳優に付け、俳優が動くだけで、それがコンピューターにレコーディングされていく。すぐに俳優ができることをエッセンスとして抽出できるんだ。ただ、モーション・キャプチャーは一つのアートの形態ではあるが、決して実写やアニメの代わりになるとは僕は思っていない。あくまで、動くグラフィックノベルのような感じなんだ」と彼なりの持論があるようだ。

 最後に、影響を受けた監督は「アルフレッド・ヒッチコック、スタンリー・キューブリック、フランク・キャプラなどに惹かれた。高校一年のときに映画監督がどのような仕事をしているのかを知るために鑑賞したのが、あのアーサー・ペン監督の映画『ボニーとクライド/俺たちに明日はない』という作品だった。あの映画で、僕は感情を揺さぶられたんだ。そこで、もっと知りたくなって映画の道に進むようになったんだよ」と明かした。まだまだ聞きたい作品もたくさんあったが、時間の関係上聞くことができなかったのは残念だった。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)


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