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「いだてん」これまでの大河と一線を画す主人公像 宮藤官九郎明かす

大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」の脚本を務める宮藤官九郎
大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」の脚本を務める宮藤官九郎

 NHKの連続テレビ小説「あまちゃん」(2013)や「ゆとりですがなにか」(2016・日本テレビ系)などの人気脚本家・宮藤官九郎が、2019年1月6日より放送スタートする「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」で、初の大河ドラマの脚本を手掛ける。本作では、日本で初めてオリンピックに参加した金栗四三(かなくり・しそう)と、オリンピック日本開催に尽力した田畑政治(たばた・まさじ)という二人の主人公を軸にした物語が展開するが、これまでの大河ドラマの主役とは大きく異なる点があるという。

【写真】星野源ら「いだてん」新キャスト発表会見の模様

 社会現象を巻き起こした朝ドラ「あまちゃん」に続いて訓覇圭プロデューサーとタッグを組む宮藤。“大河”ということを意識することなく「何か面白いものをやりたい」という発想で、頻繁に話し合いをしていたと言い、アイデアを出し合うなかで浮上してきたのが「オリンピックに関する物語」だった。

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 宮藤は、いろいろな文献を調べていくうちに、金栗という人物にたどり着いた。興味を持った理由は「完璧ではないところ」。「金栗さんは、初めてオリンピックに出場した選手なのですが、一番シンパシーを感じたのが本番に弱かったり、成し遂げられなかったりした部分。僕は勝ち進み、ことを成し遂げていくような人にあまり興味がなくて、目指していたけれどできなかった……みたいな人に親近感が沸くんです。金栗さんも、期待されてオリンピックに出場したのに、レースの途中で気を失っちゃうとか、すごく人間味があって」

 宮藤らしい人物の捉え方だが、歴史的偉人が主人公になることが多い大河ドラマでは「きっと無理だろうな」と感じていた。

 そこで、再度オリンピックに関わる人々を洗い出し、浮かび上がってきたのが田畑という人物。彼にも宮藤を惹きつける“不完全さ”があったのだ。「田畑さんもすごい方で、1964年の東京オリンピック招致の中心にいた方なんです。でもあまり資料には出てこない。調べてみると、思ったことをすぐに口に出す方で、摩擦を起こして最終的に外されてしまうんです。何か愛らしいですよね」

 こうして、歴史に名を残す大偉業を達成した人物ではないが、人間味あふれる二人を主人公に据える大河ドラマの企画がスタートした。金栗には中村勘九郎が、田畑には阿部サダヲがふんする。脚本を書き始めたときには、まだキャストは決まっていなかったが、宮藤の頭の中に漠然と二人の顔が浮かんでいた。金栗のいつも走ってばかりで不器用なかわいらしさ、田畑の個性的で頭の切れるところはピッタリだと思ったという。

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 「(金栗・田畑は)それほど知名度があるわけではない二人。最初は本当に大丈夫なのかなと思っていたのですが、勘九郎くんのお芝居と熊本弁を聞いて『可愛げのある人』だと思えたし、阿部くんは(大人計画で)長く一緒にやっている人だし、役柄の説明なしにぶつけても大丈夫だという信頼感はありました」
 
 本作のもう一つの注目点が“落語の神様”五代目・古今亭志ん生が「語り手」を務めること。志ん生は、ビートたけしが演じる。

 「単なるナレーターでは面白くないので、物語と有機的に関わる人物を探していて、それなら古今亭志ん生が適任だと直接オリンピックに関係してはいないのですが、オリンピックに茶々を入れつつ “語り部”として、明治から昭和までを志ん生の目線で語るのは面白いのかなと思ったんです」

 現在も執筆は続いている。連続テレビ小説での長丁場は経験しているが、大河ドラマは1年に及ぶ。「感覚的に分量は朝ドラの方が多い気がする」と宮藤は語ると「あまり長期間というプレッシャーはないんです。逆に足りないと思うぐらい」と笑顔。歴史もの、しかも近現代ということで情報は膨大にあるため「何を書いたらいいんだろう」と行き詰まることはないという。年表と物語をリンクさせ、創作を混ぜ込ませていく作業は「とても楽しい」と目を輝かせながら語っていた。(取材・文:磯部正和)

大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」は2019年1月6日より放送(NHK総合20時~ほか)

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