吉田羊、子を虐待する母を熱演 初の国際映画祭で葛藤振り返る

第23回釜山国際映画祭

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釜山で取材に応じた吉田羊

 映画、ドラマ、CMなどを通して、役者としてさまざまな姿を見せる実力派女優の吉田羊。彼女が出演する最新映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』が、韓国で行われた第23回釜山国際映画祭(10月4日~13日)でワールドプレミアとして上映された。実は国際映画祭に参加したのは今回が初めてだという吉田に話を聞いた。

【動画】吉田羊が母親役で壮絶演技!『母さんがどんなに僕を嫌いでも』予告編

 漫画家・小説家として活躍する歌川たいじが自身の壮絶な母子関係を赤裸々に描いた同名コミックエッセイを映画化した本作で、主人公タイジ(太賀)の母・光子を演じた吉田羊。外出先では美しく立派な母として振舞っているが、家の中では情緒不安定となり、息子のタイジに容赦なく手を上げてしまう光子について吉田は、「未成熟のまま母親役を強いられた人」だと理解しているという。続けて「最近では、こうあるべき、という姿を他人から強いられて窮屈に生きている人が少なくないのではないかと思います。そういう意味でも、多くの方に共感いただける部分があるキャラクターだと思います」と答えた。

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 上映後の質疑応答では、すすり泣く声と大歓声の中多くの質問の手があがった。韓国の観客の真摯な映画への姿勢に驚いたという吉田は、「映画に対する理解がとても深く、映画のテーマが韓国のみなさんにも届いたのかなと思う」と語った。

映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』より (C) 2018「母さんがどんなに僕を嫌いでも」製作委員会

 吉田は、光子を演じるにあたり、原作者の歌川氏に母親とのエピソードなどのリサーチを行ったが、「聞けば聞くほど、彼女についての理解が遠く離れていってしまって。どんな理由があるにせよ、虐待に至る気持ちがわからず、本当に困ってしまった」と振り返る。そんなとき、御法川修監督の言葉が理解への助けとなったそうだ。「『不完全の状態のまま演じてください』と監督が言ってくださったのです。その言葉を聞いて以来、わたしの中の『光子さんが分からない!』という感情と、光子さんが内包している不安定さが、うまくリンクできたと思います」と役作りの過程について言及。キャラクターを作り上げる苦労を明かした。

 愛を求めながらも自分のイラつきから理不尽に攻撃してくる光子のような人物に対して、タイジのように愛し続けられるか聞いてみると、「言葉に限らず攻撃を受けたら、まずは受け入れる努力をする」と回答。「映画の中でタイジの友人であるキミツ(森崎ウィン)の言葉に『相手に変わってほしければ、まずは自分が変われ』とある通り、理不尽だと思っても、こういう表現しかできない人だとしたら、他の言葉や行動のチョイスがあるとアドバイスをするという闘い方を、最初はすると思います」と答えた。

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 さらに、母から教えられたこととして、「幼少のころいじめられたときに、母が『もしからしたら今のあなたに必要なことを教えてくれているのかもよ』と言ってくれたのです。それは視点を変えることであり、許すこと。それを母が教えてくれたのだと思う」と自身の体験を語った。

太賀演じる息子との壮絶な親子関係を演じた吉田 (C) 2018「母さんがどんなに僕を嫌いでも」製作委員会

 また、映画作りは共同作業だと語る吉田は、「自分の台本の読み方を信じていない」と笑う。その真意は、「自分の考えだけでなく、監督や俳優たちによる第二の目、第三の目を持ちながら共同作業で作り上げる、それが映画や作品を作り上げていくこと」。その証しの一つとして、さまざまなキャラクターを演じ分けるのは「衣装とメイクで大幅に解決してしまう」そうだ。

 特に役作りで意識していることは、キャラクターの日常生活が見えるようにすること。「何時に起きるのか、どんな目覚まし時計を使うのか、朝食を食べるのかなど、ちょっとした所作やしぐさから、その人の背景が見えると、アドリブにも説得力が出てくる」という。何度も台本を読み、思いついたことを台本に書き込む。そして「現場でのセットや小道具、俳優たちや監督からのヒントからインスピレーションを得てキャラクターの肉付けをします」と続け、決して一人ではできない作業であることを強調した。

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 俳優という職業について吉田は、「5人兄妹の末っ子のわたしは、優秀な姉たちに認められたかった」と語る。「自分に自信が持てずに今もふわふわ生きているような、半人前感が抜けない」というが、「一つの役柄のフィルターを通すことで、自分ではない何かになれる」のだとか。「その意味で、俳優はわたしの天職だと思っています。そして自信を持って地に足をついて立たせてくれる存在、それがわたしにとっての俳優です」と胸を張った。

 「自分がワクワクするかどうか」で作品を選ぶという吉田。今後やってみたい役があるか聞くと、好きな俳優であるケイト・ブランシェットが演じた役はことごとくやりたい、と熱弁。特に『ブルージャスミン』(2013・ウディ・アレン監督)が大好きだと言い、また「狂気じみた役はやったことがないので『阿部定』のような役で面白い台本があったらやってみたい」とのこと。実力派俳優・吉田羊の活躍はこれからますます目が離せない。(取材・文・写真:芳井塔子)

映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』は11月16日より全国公開

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