1日100回エゴサーチしたと深夜アニメ「ポプテピピック」の須藤Pが告白

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究極の深夜アニメ「ポプテピピック」より - (c)大川ぶくぶ/竹書房・キングレコード

 このほど北海道で開催された第5回新千歳空港国際アニメーション映画祭で、特集企画「TVと実験」と題して1963年に放送された日本初の長編アニメシリーズ、手塚治虫さん原作の「鉄腕アトム」から近年の深夜アニメの究極「ポプテピピック」までを上映。その後、伝説の子供向けバラエティー番組「ウゴウゴルーガ」の総合演出を務めていた福原伸治と、「ポプテピピック」の須藤孝太郎プロデューサーの座談会が行われた。

 同映画祭はインディペンデントのアニメーション作家たちにフォーカスするというコンセプトで行われているが、最近復活して話題になった「ウゴウゴルーガ」のアニメコーナーで放送されていた「ミカンせいじん」をイラストレーターの白佐木和馬が手がけていたり、同映画祭に『あいたたぼっち』(2016)などで参加していた小野ハナや『きつね憑き』(2015)の佐藤美代らが「ポプテピピック」に携わるなど、多くの作家たちがテレビで挑戦的な活動をしていることから本企画が組まれたという。

「ウゴウゴルーガ」の総合演出・福原伸治(左)と「ポプテピピック」の須藤孝太郎プロデューサー

 須藤も、CGアニメーションを多用して子供向けを装いつつシュールなコーナーが満載だった「ウゴウゴルーガ」の影響を受けて育ったそうで「ずっと頭の片隅に残っている」という。

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 福原も同じ匂いを感じたが、YouTubeにアップされていた1993年の「ウゴウゴルーガ」の放送回を振り返りつつ「ポプテピピックを超えているかも」とTwitterでつぶやたところ、ネットで「自分たちの方がすごい」と、さも優越感に浸っているように曲解されてしまったという。

 福原は「以後、これは容易に(『ポプテピピック』を)触ってはいけないと思って(苦笑)。ウチの子も『ポプテピピック』をケラケラ笑いながら観てますし、須藤さんが『ウゴウゴルーガ』の影響を受けたと言っていることを知って、すごくうれしかった」と語り、「ポプテピピック」の登場を手放しで喜んだようだ。

 それだけ興味津々の作品だっただけに、座談会では福原から須藤への質問攻めとなった。まず最近のアニメでは異例の製作委員会方式ではなく、キングレコード1社での体制になったことについて、理由を尋ねた。須藤は「製作委員会はそれだけいろんな人が絡むし、人が増えるということはいろんな選択肢が増える。ことポプテに限ってはジャッジを迫られる場面が他のパロディーより多いと思い、時間もないので僕の方で“これはOKです”と返していかないと作品として成立していかないかないと思った」という。

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 しかし有名アニメのパロディーはもちろん、大川ぶくぶの原作を出版している竹書房の本社の破壊やキングレコードを連想させる“キング”という悪の組織を登場させるなど身内にも容赦ない内容もあり、福原からは「会社に怒られなかったのですか?」という疑問が。これに対して須藤が「一回“ちょっと来い”と呼ばれたことがあって怒られるかなと思ったのですが、逆に褒められました。売れたもん勝ちです」と答えると、会場からも笑いが起こった。

「ポプテピピック」の登場を喜んだという福原伸治

 続けて須藤は「もともとも原作がパロディーが多いので、それをアニメにしたときに全部なくすと原作の良さもなくなってしまいます。でも悪意を持って入れているパロディーはないので、もし(他社からクレームを)言われたときはごめんなさいをして、放送も打ち切ってこのプロジェクトを畳みます。そういう気持ちでやってました。なので(強い)メンタルが必要かな」と覚悟を持って臨んでいたことを明かした。

 自分がすべての責任を負う分、参加しているクリエーターに須藤は「アクセル全開で上げてきてください。何かあったからキングレコードの方で止めますので」と伝えていたと語る。中には制作ユニットAC部が手がけたアニメ「ボブネミミッミ」のように、アフレコの段階で初めて映像をチェックしたという作品もあったとか。須藤は「確認したとしても“ここをちょっとこうした方がいい”とかの次元じゃなく、自分が入る余地がない。あの方達のクリエイティブを優先してあげることがプロジェクトにとって良いと思いました」と説明した。

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 もっともSNSでの視聴者の声は相当、気になったようで、須藤は「1日100回はエゴサーチしたと思います」と告白した。しばしばテレビ番組の作り方を変えたと言われるSNSの功罪は議論の対象となるが、須藤もやはり声に引っ張られたという。

 ただし須藤は「制作前に、みんなが作品に対してどういう思いを抱いているのか検索したら“このキャラクターは男性でも女性でもどちらでもハマりそう”という声が半々あったので、いっそ、皆さんが考えていることに全部応えてあげようと思いました。また放送中、“これって実はループしているSF的なものがあるんじゃないか”のつぶやきに、確かにそうだなと視聴者の意見で知りました。そういうところにこの作品の面白さがあるのだと知り、途中から意識的にSF要素を入れたのもあります」と明かし、SNSを楽しみつつ活用していたようだ。

 そんな2人も、この日上映された「鉄腕アトム」の第1話や、手塚治虫さんの実験アニメーション、さらにアニメーターのクリヨウジ(久里洋二)が大人の情報番組「11PM」(1965~1990)内で発表していたミニミニアニメーションに改めて刺激を受けたという。

手塚治虫さん原作の「鉄腕アトム」より -(c)手塚プロダクション

 須藤が「今のアニメは男性向けとか女性向けとかターゲッティングして作っていて、それはそれでプロモーションがしやすいですけど、クリさんも手塚さんも誰に向けて作っていたのかな? と感じました。自分たちが面白いと思ったものを発表して、それを感じる人がいれば良いんじゃないかという気持ちだったのでは。ポプテもウゴウゴも共通項としてそれがあるのかも」と語ると、福原も「僕は(『11PM』と同じ日本テレビの元ディレクター井原高忠が企画した)『巨泉×前武ゲバゲバ90分!』と同じスタッフが制作したぶっ飛んだ子供向け番組『カリキュラマシーン』(1974~1978)の影響を受けて、テレビ局に入ったときにあのエッセンスを『ウゴウゴルーガ』に入れた。さらにそのエッセンスが『ポプテピピック』のアニメーションに出たのかな。歴史は繰り返されていて、また次の世代に受け継がれていくんでしょうね」と分析した。

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 福原は2018年3月末にフジテレビを退職し、現在はニュース&エンタメサイト BuzzFeed JAPAN で動画統括部長を務めている。一方、須藤は2019年4月1日に放送が決定した「ポプテピピック」の新作スペシャルに取り組んでいるという。

 すかさず福原が「ウゴウゴルーガ」のエイプリルフール放送時に、洋式便器からうんちがひょっこり顔を出し豆知識やウンチクを語ってくれる物知りキャラ「プリプリはかせ」をオープニングからエンディングまで延々と放送したら抗議の電話が殺到したエピソードを披露し、「そういう感じですよね?」と須藤を煽る一幕も。

 須藤は「すごくためになるなと思いました」と煙に巻きつつ、「ここにいる皆さんが想像していないことをやる必要があるなと思いました」と語り、来るべき放送に向けて、気合いを入れ直していた。(取材・文:中山治美)

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