「あんぱん」眞栄田郷敦「芝居の正解が分からない」手塚治虫モデルの大役にプレッシャー

放送中のNHK連続テレビ小説「あんぱん」(総合・月~土、午前8時~ほか)で漫画家・手塚治虫をモデルとした手嶌治虫を演じている眞栄田郷敦が、オファーを受けた時の心境や、役との向き合い方について明かした。
朝ドラ112作目の「あんぱん」は、「アンパンマン」の生みの親・やなせたかしさんと妻・暢さんの夫婦をモデルとしたヒロイン・のぶ(今田美桜)と夫・柳井嵩(北村匠海)の波乱万丈の生涯を描く作品。脚本は、「花子とアン」以来2度目の朝ドラ脚本となる中園ミホが手がける。
眞栄田が演じる手嶌治虫は、嵩が嫉妬している天才漫画家。 嵩の絵や「やさしいライオン」の脚本を気に入り、映画『千夜一夜物語』のキャラクターデザインを依頼する。
Q:今回、漫画家・手塚治虫さんをモデルとした、手嶌治虫役としてオファーを受けたときのお気持ちと、演じる上で準備されたことを教えてください。
「朝ドラで手塚治虫さんかぁ。めっちゃおもしろそう!」という気持ちでした。演じるにあたって、今残っている手塚さんのドキュメンタリー映像を見たり、書籍を読んだり、記念館に行ったり……手塚さんがどんな人生を歩んできたのかを知るために、限られた時間の中で、できるだけインプットして。有名作品やターニングポイントとなった作品にも目を通しました。僕は特に『ブラック・ジャック』が好きですね。手塚さんは、ふだんは温厚でユーモアがあって、ニコニコしている印象なのですが、作品になるとすごくストイックで、並外れた集中力があって。本当に天才なんだなと実感しました。そういった人柄の部分や作品に対する姿勢は、演じる上で大事にしています。若いころの映像はなかったので、そこは想像を膨らませながら、知っている人柄を、少し初々しくしたような感じで演じられたらと思って臨みました。
Q:実際に現場に入って、お芝居をされてみて、いかがですか?
やっぱり衣装を着てメイクをすると、イメージが湧きますね。意外と見た目は手塚さんに似てるんじゃないかなと思っているのですが、いかがでしょうか?(笑) 人柄の部分は、手塚さんの物事に集中する性格を細かく表現しつつ、少し早口な部分も意識して演じています。最初は演じられるのが楽しみだったのですが、いざやってみると難しくて、本当に大変です(笑)。手塚さんのイメージを残しながら、この『あんぱん』の中では何を表現しなければならないのか、嵩さんにとってどういう存在であるべきなのかを考えなくてはならないので……。いつもはあまり緊張しないタイプなのですが、撮影も緊張しました。やっぱり誰もが知っている偉大な人物を演じることのプレッシャーも大きいですし、最後まで芝居の正解が分からないんですよ。ふだんの芝居は正解がないので、作品として魅力的な方向に自分で持っていけばいいのですが、今回はいろんなバランスを取らないといけないので。悩むこともたくさんありますが、とにかく自分だからできる手嶌治虫をやろう。そんな思いで、役と向き合っています。
Q:嵩にとって、手嶌治虫はどんな存在でありたいと思いますか?
実際の手塚さんは、“神様みたいな人だけど、みんなのところに降りてきてくれる神様”だと表現されていた方がいたので、嵩さんにとっての天才でありつつも、謙虚さを持って演じたいなと。その塩梅(あんばい)はすごく悩みました。一番大事なのは、嵩さんの人生をどう色づけられるかだと思うので、少ないシーンの中で、手嶌治虫としての魅力を見せながら、嵩さんに大きな影響を与えられる人物になれていたらうれしいです。
(編集部・倉本拓弥)


