加瀬亮、学生時代に「引き返せない選択」

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『旅のおわり世界のはじまり』ウズベキスタンロケより。カメラマン・岩尾役の加瀬亮

 俳優の加瀬亮が、日本・ウズベキスタン合作映画『旅のおわり世界のはじまり』(初夏公開)で黒沢清監督と5度目のタッグを組んだ。ウズベキスタンロケの最中にインタビューに応じ、前田敦子演じるヒロイン・葉子と同様、人生の岐路に立った時期を振り返った。

【写真】加瀬亮、カメラマンに!ウズベキスタンの撮影風景

 ウズベキスタンで1月にわたるロケを敢行した本作。テレビ番組の撮影で、伝説の怪魚を探すためクルーとともにウズベキスタンを訪れたリポーターの葉子(前田)の成長を追う物語で、加瀬はカメラマン・岩尾役に。ドラマ「学校の怪談 物の怪(け)スペシャル」の「花子さん」、映画『アカルイミライ』『』、ドラマ「贖罪」に続き、黒沢作品への出演を決めた理由を以下のように明かしている。

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 「基本的に黒沢監督からお話をいただいたら、よほど自信が持てない場合を除いて参加させていただきたいと思っています。ロケ地がウズベキスタンという、これまであまり行くことを考えたことがなかった国だったのも面白そうだなと思いました。今回の台本が『本当に黒沢監督の脚本なのかな』と思うぐらい意表を突かれたのも大きかったです。昔、監督から『ワケのわからない役は加瀬君って決めてますから』って言われて、今までは実際にそのような役が多かったのですが、今回はかなり真っ当な人だったのでちょっとびっくりしました(笑)」

加瀬亮、ウズベキスタンのスター、アディズ・ラジャボフ、黒沢清監督らと

 黒沢監督と言えば、『CURE キュア』『回路』などホラー&スリラー映画の名手として知られているが、本作は打って変わって、人生に迷える等身大の女性の物語。加瀬は作品に強く興味をひかれたものの、演じる役柄に対して自信が持てなかったという。「最初にいただいた台本ですと、僕が読んだ印象では55歳ぐらいの年齢のしゃべり方だったんです。何回か読んで、これはちょっと自分には台詞が言えないなと思ったんですけど、これまで自分から監督に提案するようなことはしていなかったので迷ってしまって。それでも、あまりにも台本が素晴らしかったので、思い切って監督に『もう少しだけ自分の年齢と近いように言葉を変えていただけませんか』とお願いしました」

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 前田演じる葉子はリポーターの設定だが、現在の自身に疑問を感じており、ウズベキスタンという異国でその感覚を一層強めていくこととなる。加瀬にとって、葉子と同じく「人生の岐路」に立ったのは、俳優になる決意をした大学4年生のころ。大学を中退して俳優になる道を選んだ。「大学を卒業する道もあったんですけど、卒業すると自分の中で保険をかけることになってしまいそうで。中退することで『もう引き返せない』という覚悟ができたと思いますし、もし大学を辞めてなかったらある時期でくじけていたような気がします」

 現在の姿からは想像がつかないが、役者を志した当時は友人を含め誰もが「俳優を目指すのはやめた方がいい」という反応だった。「事務所に入る前は舞台をやっていたんですけど、そのころ皆に才能ない、やめた方がいいと言われました。初めての舞台でそう言われたのでショックで一か月ぐらい引きこもりました(笑)。その時に考えたのが本当にやりたいのか、好きかということ。結論は、やってみたい、でした。もちろん、現実的な問題として自分でお金を稼いで食べていかなくちゃいけないっていうのもありましたし、食べていけない時期には何度もまた迷いましたね」

 なお、本作では2台のカメラで撮影しているが(一台は黒沢組常連の芦澤明子)、加瀬が劇中手にしているカメラでも撮影を行っており、加瀬にとって本作は実質的なカメラマンデビュー作でもある。完成した作品で、加瀬が撮影した映像がどこに用いられているのか、注目したい。(取材・文:編集部 石井百合子)

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