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河瀬直美監督、辻村深月「朝が来る」を映画化

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原作は辻村深月の長編小説「朝が来る」
原作は辻村深月の長編小説「朝が来る」 - (C)『朝が来る』Film Partners

 カンヌ国際映画祭など海外での評価も高い河瀬直美監督が、直木賞作家・辻村深月のベストセラー小説「朝が来る」を映画化することが明らかになった。すでに4月16日に都内でクランクインしており、6月上旬にクランクアップ予定。2020年に全国公開される。

【写真】辻村深月原作の映画『太陽の坐る場所』(2014年)

 原作は、長く辛い不妊治療に取り組むも自分たちの子を産めず特別養子縁組を選んだ夫婦と、中学生で妊娠して断腸の思いで子供を手放すことになった幼い母親の物語。

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 二人の母親の物語だと言われてきた原作のなかで、二人の母をつなぐ子供・朝斗の“まなざし”に注目した河瀬監督に、原作者の辻村は「震えるような感謝とともに、この人に、朝斗と二人の母親を、『朝が来る』の世界を託したい、と強く思った」と絶大な信頼を寄せており、「ラスト、『原作でもこうすればよかった』と思える構成がある。けれど私が小説で書いてもきっとその光景には届かなかった。映画だからこそ監督が彼らをここに送り届けてくれたのだということが、はっきりわかる」と惜しみない称賛を贈っている。

 一方、河瀬監督は「原作『朝が来る』をこの世界に誕生させた辻村深月の才能に嫉妬する。その物語を映画化できる喜びに打ち震えている」と作品への熱い思いをにじませる。脚本は河瀬監督と高橋泉が共同で手掛け、東京の湾岸エリア、栃木、奈良、広島、似島(広島市)、横浜で撮影を敢行中。「とにかく俳優が素晴らしい。生きているのだ。息づいているのだ」と河瀬監督が太鼓判を押す俳優陣にも注目だが、気になるキャストは後日発表される。(編集部・吉田唯)

<コメント全文>

■河瀬直美監督
撮影中、涙する場面に遭遇する時がある。
それは、俳優達がその日常を生きて、脚本からもはみ出る感情を発露させた瞬間。
こういった現場は自分にとっても稀だと実感している。とにかく俳優が素晴らしい。生きているのだ。息づいているのだ。
日本全国6か所のロケ場所で撮影は決行されている。
海があり、森があり、都市があり、旧所名跡があり、それぞれの街の特長が四季を通して旅の記録を「記憶」するように映画を創っている。
生まれるはずのなかった命はやがて望んでも我が子を授からない夫婦の元にやって来る運命。
そこに差し込む光、眩いばかりのそれが、雨上がりの世界を浄化させてゆく光景と相まって、人々の運命を切り開く物語。
原作「朝が来る」をこの世界に誕生させた辻村深月の才能に嫉妬する。その物語を映画化できる喜びに打ち震えている。
小説の中で、二人の母をつなぐ子供「朝斗」のまなざしが表現されている部分を読んだとき、ああ、この世界を映像化できれば素晴らしいなと感じた。その「まなざし」が見る未来を美しく描くことができればと願っている。
誰しもが誰かの「子」であり、「母」から生まれてきた事実を思えば、この物語の根幹で心揺さぶられる感情があるだろう。
そこには、この世界を美しいと想える、無垢な魂が見た、世界の始まりがある。

■辻村深月(原作者)
「この映画を撮るにあたって、朝斗のまなざしというものは必要不可欠だと思っています」
河瀬直美監督と初めてお会いしたホテルのラウンジで、正面に立った監督が開口一番、私をまっすぐに見つめて、そう言った。
まだ互いに自己紹介もしていない、目が合った瞬間のことだった。
原作「朝が来る」はよく、産みの母親と育ての母親、「二人の母の物語」だと言われてきた。しかし、河瀬監督はそこに、幼い「朝斗」のまなざしなくしては成立しない世界をはっきり見ておられた。
その瞬間、震えるような感謝とともに、この人に、朝斗と二人の母親を、「朝が来る」の世界を託したい、と強く思った。
脚本を読みながら、河瀬監督に何度も感謝を覚えた。
それは、彼らの物語を最初に生み出した私以上に、朝斗の、ひかりの、佐都子の、清和のことを考え、彼らの思いがより強く届くためにどうしたらよいのかを、心を砕いて考えてくれている人がいるということに対する途方もない感謝だ。作家として幸せを感じた。ラスト、「原作でもこうすればよかった」と思える構成がある。けれど私が小説で書いてもきっとその光景には届かなかった。映画だからこそ監督が彼らをここに送り届けてくれたのだということが、はっきりわかる。
映画『朝が来る』。
私が見たもの、河瀬監督がその先に見たもの、幼い子ども「朝斗」が見た世界を、できることなら、あなたにもぜひ見てほしい。

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