『犬鳴村』監督、清水崇が描きたかった恐怖

清水崇監督
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 『呪怨』などで知られる清水崇監督が、実在する心霊スポットをテーマに描き、三吉彩花を主演に迎えた最新作『犬鳴村』にまつわる制作の裏側について語った。

【動画】清水崇監督、旧犬鳴トンネルに実際に行った…インタビュー動画

 福岡県に実在する心霊スポット・旧犬鳴トンネルを抜けた奥には、日本政府の統治がおよばない集落“犬鳴村”があり、そこに立ち入った者は決して戻ることが出来ないという都市伝説がある。現在はダムが建設され、日本地図に“犬鳴村”は残っていないが、この周辺ではこれまでも数々の事故、事件が起きてきた。そしてそのうわさを聞きつけ、この地を訪れた人々はSNSなどに次々と恐怖体験を書き込んでいる。

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 東映の紀伊宗之プロデューサーから、そんな最恐の心霊スポットを映画にできないだろうかと相談された清水監督は「突撃レポートや、投稿ものといった作品は数多くあるけれど、もし自分がやるとしたら、やはりドラマにしたい。若者が騒いでいるだけの心霊スポットや、数々のうわさが、自分の逃れられない血筋や出生などにつながっているとしたらどうだろうと。それなら面白くできるかもしれない」と物語作りに取り組んだ。

 「紀伊プロデューサーは、『犬神家の一族』(1976・市川崑監督)といった衝撃的な怖い映画体験をした世代なので。ああいう忌まわしいドロドロした怖さが、逆にいまの時代の若い客には新鮮なのではないかと。そこに僕が考案していた家系の因縁や、血筋のあらがえない怖さを乗せたらどうかと思いました」

(C) 2019 「犬鳴村」製作委員会

 そこでまずは脚本作りのために、プロデューサー、脚本家らとともに、実際の旧犬鳴トンネル周辺をリサーチすることに。「実際に行ってみたら、昼間でもゾッとする雰囲気に包まれていた」という清水監督は、「7月の暑い盛りに山道だったので汗がダラダラ出てくるんですよ。でもトンネルが見える瞬間にスーッと汗が引いて。鳥の鳴き声もピタッと止んだんです。周辺は伸び放題の木に覆われて、陰っているし。これはうわさになるよなと理解しましたね」と振り返る。そして、そのなんともいえないざわついた感じが、本作の物語づくりや、映画のトーンなどにも大いに役に立ったという。

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 いわく付きの場所であるだけに「地元の協力は得られないだろう」と撮影は別のトンネルで行った。「(本作の)制作担当者が一人で山ほどトンネルを見てまわって。ここならいけるだろうというところを探して、犬鳴トンネルのように作り替えました。でもどうやらそこも、心霊スポット呼ばわりされている場所で。なんだか怖い雰囲気が漂っていたんですけどね」と清水監督は語る。

 だが、エンドクレジットに登場する旧犬鳴トンネルは、実在のものを撮影しようということになった。「それで完成間際に旧犬鳴トンネルの映像を撮りにいったときに、宮若市の方から、市長に会ってほしいと言われて。そのときに市長から、映画に協力したいとおっしゃっていただいた。それで協力クレジットに、地元の宮若市が載ることになったんです。こんなことならはじめから相談を持ちかけておけば良かったなと思いますね」と笑う。

 その言葉通り、1月22日には宮若市の協力により、旧犬鳴トンネルに一番近い、福岡県宮若市で廃校となった小学校の体育館で本作の試写会が行われた。「日本だとどうしても、ネガティブな要素は排除して、見て見ぬふりをしがちだと思うんですが、それだけホラー映画も市民権を得た影響なのかなと思います。ひと昔の怪奇映画の時代だったら、冗談じゃないと毛嫌いされていたでしょうし、その辺が変わりつつあるのかもしれないです。コンプライアンスが厳しくなりすぎて、誰がなにに対して、なにを気にしてバッシングするのか遠慮するのか? わからないなかで、今回の協力体制は嬉しい」と笑顔で付け加えた。(取材・文:壬生智裕)

映画『犬鳴村』は2月7日より全国公開

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