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歌舞伎界の新スター・市川染五郎の素顔とは?

市川染五郎(昨年3月に撮影)
市川染五郎(昨年3月に撮影)

 歌舞伎俳優の八代目市川染五郎が、初めて映画に挑んだのがアニメーション映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』。本作では、コミュニケーションが苦手な俳句少年チェリーの声を担当している。以前から映像の仕事に興味があったが、「まさか声の仕事とは……」とやや意外な部分もあったと明かす染五郎が、本作出演への経緯などを語った。

麗しすぎる市川染五郎!【写真】

 七代目市川染五郎(現・十代目松本幸四郎)の長男として生まれた染五郎。4歳のときには初舞台を踏み、歌舞伎の世界に足を踏み入れた。「男の子が小さいころに仮面ライダーに憧れるような感覚で、僕は歌舞伎に親しんでいたので、最初は遊びの感覚だったんです」と当時を振り返ると「初舞台のとき、父から『歌舞伎をやりますか?』と聞かれて『やります』と言ったらしいのですが、4歳なので、一生仕事にする覚悟はありませんでした」と笑う。

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 気づいたら歌舞伎役者になっていたという染五郎。それでも「八代目市川染五郎を襲名したとき、歌舞伎に対する向き合い方が変わったと思う」と述べると、歌舞伎と同時進行で映像の仕事へ興味があることも明かした。「小さいときから、誰に見せるということはなかったのですが、人形やぬいぐるみを使って、お芝居を自分で作っていました。そういうことがとても楽しかったんです」。

 いつか映像の世界でも演じること、本を書くこと、撮ること……そんな思いが心に宿るなか、イシグロキョウヘイ監督からオファーを受けた。「三谷幸喜さんの歌舞伎(三谷かぶき『月光露針路日本』風雲児たち)に僕が出演しているのを監督が観てくださって『チェリーの声を見つけた』と熱いお手紙をいただいたんです。まったく映像の仕事の経験がなかったし、声の演技も初めて。最初はびっくりしましたが、三谷さんの舞台は、本当にいろいろなことを学べた場だったので、思い出に残る舞台が、新しい出会いに繋がったことが嬉しくて。ぜひやりたいと思ったんです」

 父・幸四郎からは「きっとためになる」という言葉をもらったが、いざ仕事を受けてからは「一切なにもアドバイスはありませんでした」と笑う。イシグロ監督と試行錯誤しながらチェリーを作っていった。大切にしたのは自分との類似点。「台本を読んだとき、人見知りだけれど、好きなものには熱くなるところが自分と似ているなと思ったんです。だから役を作るよりかは、自分半分、チェリー半分という気持ちでアフレコに臨みました」

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 劇中では、地方都市を舞台に夏のさわやかで切ない青春が描かれている。染五郎は「いままでの自分も、これからもこんな青春はないと思います」とやや自虐的に笑うと、「僕は東京生まれ、東京育ちなので、自然がたくさんあって人の温かさが感じられるこうした青春はいいなと思います」と羨ましそうな表情。それでも、物語後半、感情を露わにするシーンは、青春を疑似体験できたようで「好きなシーンです」とはにかむ。

市川染五郎
市川染五郎の美しい横顔(昨年3月に撮影)

 一方で、叫ぶシーンは歌舞伎の発声とは喉の使い方がまったく違ったようで「リアルなお芝居のなかで、大きな声を出すのはすごく難しかった。でも学ぶことは多かった。特に声だけで相手に伝えることの大切さはとても勉強になりました」と得ることも多かった。

 「『ジョン・ウィック』シリーズが大好きで、ああいうバリバリのアクションをやってみたい」と実写作品への思いを馳せた染五郎。以前のイベントで歌舞伎役者として“足の長さ”がコンプレックスだと話していたが、映像の世界、特にアクションでは足の長さは長所になるかもしれない。さらに「眉毛の濃さやまつ毛の長さも、白塗りのときやり辛いのでコンプレックスなんです」と言うが、こちらも端正なマスクは、大きな武器になりそうだ。

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 そんな染五郎に、フェイバリットを問うと「ずっとマイケル・ジャクソンにはまっているんです」とやや意外な回答。マイケルが死去したのは2009年、染五郎は4歳でリアルタイムではないはずだが……。「僕は吉本新喜劇が好きで、アキさんという芸人さんのコントでマイケル・ジャクソンを知って以来、そこから好きになったんです」ときっかけを語る。

 歌舞伎役者としての凛とした佇まいのなか「人見知りなんです」と恥ずかしそうにはにかむ姿や、吉本新喜劇について楽しそうに語る笑顔、さらにはアクションへの思いを述べるなど、さまざまな顔を見せる染五郎。初めての声優業でも、そんな豊かな感性を思う存分発揮している。(取材・文・撮影:磯部正和)

映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』は7月22日公開

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