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表現の不自由展・その後で大論争勃発の大浦監督新作を配信 収益の半分はミニシアター基金へ

『遠近を抱えた女』のワンシーン
『遠近を抱えた女』のワンシーン - (C)ハイクロスシネマトグラフィ

 “異端の美術家”であり、作家・見沢知廉の実像に迫ったドキュメンタリー『天皇ごっこ 見沢知廉・たった一人の革命』(2011)など映画監督としても知られる大浦信行の未公開映画『遠近を抱えた女』(2019)が、5月8日までの期間限定でVimeoで配信中だ。現在の社会状況を鑑み、収益の半額をミニシアターの支援を行っている「ミニシアター・エイド基金」に寄付するという。

遠近を抱えた女
『遠近を抱えた女』のワンシーン(C)ハイクロスシネマトグラフィ

 同作は、全身にタトゥーを施し、生活のために身体を売りと、自分自身を傷つけることで生を体感するかの如く生きる一人の舞台女優(あべあゆみ)と、米国滞在をきっかけに日本人としての自身の内なる自画像を表現することに挑み続けている大浦監督の人生が交錯するドキュメンタリーだ。今年2月にベルギーで開催された第40回ブリュッセル独立映画祭でオープニング作品として上映されている。

遠近を抱えた女
『遠近を抱えた女』のワンシーン(C)ハイクロスシネマトグラフィ

 ただし日本では、同作に登場する大浦監督の版画連作「遠近を抱えて」を燃やすシーンと、前作『靖国・地霊・天皇』(2014)の映像を合わせた映像作品『遠近を抱えてPart II』を「あいちトリエンナーレ2019」の「表現の不自由展・その後」に出品し、大論争を巻き起こしたことで知られる。騒動が尾を引き、今現在、劇場公開がなかなか実現しないという問題作でもある。

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遠近を抱えた女
『遠近を抱えた女』のワンシーン(C)ハイクロスシネマトグラフィ

 それでもミニシアターを支援したいという思いは、他の映画監督と同じように大浦監督はもちろん、プロデューサーと撮影を担当した辻智彦は『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』(2007)をはじめ晩年の若松孝二監督作品を支えた一人で、ミニシアターに育ててもらったという思いがあるからに他ならない。

遠近を抱えた女
『遠近を抱えた女』のワンシーン(C)ハイクロスシネマトグラフィ

 また問題のシーンを実際に鑑賞することで、時間を経て「あいちトリエンナーレ2019」騒動とは何だったのか? を考える機会となりそうだ。

 なお鑑賞料金は1,000円で48時間視聴可能だが、成人向けコンテンツとなる。(取材・文:中山治美)

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