人気脚本家・吉田玲子に聞く!おすすめ映画5選

『誘惑のアフロディーテ』より
『誘惑のアフロディーテ』より - Miramax / Photofest / ゲッティ イメージズ

 『けいおん!』『映画 「聲の形」』など数多くの名作アニメで脚本を手掛け、最新作『のぼる小寺さん』の公開を7月3日に控えている人気脚本家・吉田玲子に、“おすすめの脚本が完璧な映画5作品”を聞いた。吉田が「脚本が完璧……というよりは、好みの映画を5本選びました」と前置きした上で選んだ、偏愛的傾向にある5作品をコメントと共に紹介する。

最新作『のぼる小寺さん』オフショットギャラリー

『救命艇』(1944)

 1本目に選ばれたのは、ジョー・スワーリングが脚本を手掛け、巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督がメガホンを取ったサスペンス。ノーベル賞作家ジョン・スタインベックの小説を基に、第二次大戦下、攻撃を受けて沈没した船から命からがら脱出し、一隻の救命艇にたどり着いた数名の男女の漂流を描く。ヒッチコックは本作で第17回アカデミー賞監督賞にノミネートされた。

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 「深夜にたまたまテレビで観たのですが、目が離せませんでした。ほぼ洋上に浮かぶ救命艇の中だけでストーリーが進行しますが、人物の描き方、心の動きが巧みで、しかも映画! な感じが凄いです」(吉田)

『誘惑のアフロディーテ』(1995)

 2作目は、ウディ・アレンが監督・脚本を務めたコメディー。養子に迎えた子どもの実の母親探しを始めた男が巻き起こす騒動を描いており、ウディ・アレンらしい皮肉たっぷりのユーモアが炸裂する。タイトルにあるアフロディーテは、愛と美を司るギリシア神話の女神のこと。

 「途中途中にギリシア悲劇(もどき)が挿入されるのが構成として面白かったです。テンポ感もよく、セリフも楽しい。すごぶるオツムの弱い、でもどこか憎めないヒロインのキャラクター像がすばらしい」

『ワン、ツー、スリー』(1961)

 3本目の『ワン、ツー、スリー』は名匠ビリー・ワイルダーがメガホンを取り、『アパートの鍵貸します』でもタッグを組んだI・A・L・ダイアモンドと共同で脚本を執筆した作品だ。コカ・コーラ社の西ベルリン支店長が本社の重役から娘の旅行の世話を頼まれるも、なんと彼女が旅先で東ドイツ出身の青年と結婚してしまい、ピンチに陥るさまを描き出す。

 「東西冷戦コメディ。発想も面白いですが、セリフも面白い。同監督・脚本の『ねぇ!キスしてよ』も大好きです(監督ご本人は失敗作とおっしゃっているようなのですが)」

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『華氏451』(1966)

 4本目は、ヌーベルバーグの名匠フランソワ・トリュフォーが監督を務め、ジャン=ルイ・リシャールと共に脚本を書き上げた『華氏451』が選ばれた。本作はレイ・ブラッドベリの小説を映画化したSF作品で、読書が禁じられた近未来の超管理社会が舞台。禁止されている書物を焼却する焚書係の主人公が、ある女性との出会いを機に本の虜になっていく物語だ。

 「本作を観たのは小学生の時なのですが、夜、親に隠れて見ていたのもあって、めちゃくちゃスリリングでした。後に読んだ原作もよかったんですが、脚色がすばらしかったんだなぁと思いました」

『椿三十郎』(1962)

 5本目は、日本を代表する名匠・黒澤明監督と三船敏郎がタッグを組んだ『椿三十郎』。黒澤監督が菊島隆三小国英雄と共に脚本を手掛け、不正を暴くために立ち上がった9人の若侍に、ある凄腕の浪人が力を貸す姿を活写した。アクションも見どころとなっており、ラストの決闘シーンでの殺陣はあまりにも有名。

 「主人公から脇役の造形、痺れるセリフ、運びの小気味よさ、小物の使い方……。何もかも巧くて、のけぞりまくりです」

吉田玲子の最新作!工藤遥主演『のぼる小寺さん』

のぼる小寺さん
7月3日より新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開 - (C)2020「のぼる小寺さん」製作委員会  (C)珈琲/講談社

 自身が脚本を手掛けた最新作『のぼる小寺さん』について、吉田は「まぁ……この5本をあげたあとに、おススメポイントを語るのは難しいですね……」と謙遜しつつも、「ただそこはかとなく上記作品の影響はあるかもしれません」とコメント。『ロボコン』『ホームレス中学生』など多くの青春ものを世に送り出してきた古厩智之監督が珈琲の同名漫画を実写化した同作は、クライミング部に所属している何事にも一生懸命な女子高生・小寺さんと、彼女に出会ったことで一歩を踏み出していく若者たちの青春模様を爽やかに描きとっている。

 本作で映画初主演を飾った元モーニング娘。工藤遥は、3か月強の猛特訓を経てボルダリングに挑戦しただけなく、愛嬌たっぷりのキャラクター像も見事に表現。彼女の脇を固めるキャストには伊藤健太郎鈴木仁吉川愛小野花梨らが名を連ねており、注目の若手俳優の共演にも視線が集まっている。(編集部・吉田唯)

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