『マーティン・エデン』監督が追う映画の可能性

『マーティン・エデン』のピエトロ・マルチェッロ監督
『マーティン・エデン』のピエトロ・マルチェッロ監督 - (C)Kazuko Wakayama

 映画『マーティン・エデン』が18日に日本で初日を迎えたピエトロ・マルチェッロ監督がリモートでの取材に応じ、本作、そして自らの映画づくりについて語った。

【動画】映画『マーティン・エデン』予告編

 『マーティン・エデン』は「野性の呼び声」などで知られる作家ジャック・ロンドンの自伝的小説を、舞台をイタリアにうつして映画化した作品。主人公は労働者地区で育った青年マーティン・エデン。上流階級の女性エレナと出会い、無学だった彼は内に秘めていた文学への関心に目覚め、独学で作家を目指していく。マーティン・エデン役の主演ルカ・マリネッリは第76回ベネチア国際映画祭コンペティション部門にて最優秀男優賞を獲得した。

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 原作を読み「若者が文化を通じて自分を実現していく、社会を見返していくという物語に惹かれました。文化は誰の手にも届くものでなければならないと感じました」とマルチェッロ監督。20世紀アメリカ文学の傑作の実写化、教養との出会い、上流階級、労働者階級……。難しそうな言葉が並ぶが、「簡単だと言う人もいるし難しいと言う人もいる。物語自体はとてもシンプルです。シンプルな物語の中に階層がいくつもあって、様々な見方ができる映画」と紹介した。

 「映画では階級との断絶が小説以上にドラマチックに描かれています。自分自身の階級を否定することは、自分が貧しいことを恥じている人間だということ。映画のマーティン・エデンは20世紀を通り抜けていくと同時に現代人でもある。階級闘争がなくなった時代に自分の出身階級を裏切ることは重大なことです」

マーティン・エデン
(C) 2019 AVVENTUROSA - IBC MOVIE- SHELLAC SUD -BR -ARTE

 マルチェッロ監督は今作でプロデューサーも務めており、自身で資金繰りにも奔走したそう。「原作もありますし、この映画はリスクの大きな作品でした。この小説を映画化しようと話していた時、私たちは酔っ払っていたんだと思います(笑)」と笑いつつ、「自分がプロデューサーであることによって自由に作品をつくることができました」と振り返った。

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 「大衆的であると同時に実験的な映画にしたいと思っていました。私は常に映画というものはどう撮るべきなのかを考えていて、これからもいろんなかたちを追い求めていきたい。映画というものはまだまだ発展する可能性を秘めていると思っています」

 「自分の仕事に対してはとても批判的ですが、どんどん映画づくりを続けていきたいです。自己批判という精神は何をする上でも重要だと思っています。なので自分の作品に対して私は批判的であるようにしています。映画が公開から何年か経ったあとにどう人々に思われているかが大事。映画によっては公開当時はウケがよくても何年か経過したら忘れられてしまう映画もある」と映画への情熱にあふれ、理想の映画を追い続けるマルチェッロ監督であった。(編集部・海江田宗)

映画『マーティン・エデン』は公開中

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