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『MINAMATA』日本人役は日本人が演じるのが絶対条件

映画『MINAMATA-ミナマタ-』メイキングより真田広之とアンドリュー・レヴィタス監督
映画『MINAMATA-ミナマタ-』メイキングより真田広之とアンドリュー・レヴィタス監督 - (C) 2020 MINAMATA FILM, LLC (C) Larry Horricks

 ジョニー・デップ真田広之ら日本人キャストと共演する映画『MINAMATA-ミナマタ-』(公開中)。日本で起きた歴史的な惨事を、アメリカの写真家ユージン・スミスを通して真っ向から描いたアンドリュー・レヴィタス監督が、「日本人以外が日本人を演じることは一秒たりとも考えなかった」というキャスティングについて語った。

【動画】ジョニー・デップとの共演を振り返る美波

 水俣病が公式に確認されてから65年(公害病認定は1968年)。1971年から1974年の3年間にわたって水俣で暮らしながら、公害に苦しむ人々の日常と闘いの日々を撮影し、1975年に当時の妻アイリーン・スミスと写真集「MINAMATA」を発表したユージン・スミス(ジョニー・デップ)の軌跡をたどる本作。ジョニーの指名によってメガホンをとることになったレヴィタス監督だが、実話ゆえに批判を受ける恐怖はなかったのか。

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 「批判や圧力は一切なかったです。水俣に赴き、患者の方やご家族とお会いしましたが皆さん激励してくださいました。そして、史実においてリサーチを進めるうえで、多くの方が協力を申し出てくれました。撮影や配給に関して、わたしたちの描きたかった正義の在り方に同調していただけない方も一部いましたが、とりわけアイリーン・スミスさんはわたしたちをずっと応援してくださった」

 本作では多くの日本人キャストを起用。日本の大企業チッソに補償を求める運動の先頭に立つヤマザキ・ミツオ役の真田広之をはじめ、美波國村隼浅野忠信加瀬亮岩瀬晶子青木柚らが名を連ねる。製作国はアメリカであり、日本人役に外国の俳優を起用する選択肢も考えられるが、レヴィタス監督は「一秒たりとも考えなかった」と一蹴。あくまで日本人の俳優が日本人を演じることが絶対的な条件だったという。

 「この映画は日本人の方に向けて作った映画でもあるので、外国人の俳優を起用することはあり得ませんでした。日本人以外の応募や推薦もありましたが、考慮しなかったですね。國村隼さん以外、このキャラクターを誰も演じられません。真田広之さんだけではなく、全員わたしの夢のキャスティングでした。浅野忠信さんがあの役を受けてくださり、非常にこのテーマに関心を持ってくださってすごく嬉しかったです。加瀬亮さんはずっとファンでして、素晴らしい演技を披露してくださいました。(水俣病の)患者を演じてくれた若手(青木柚)も信じられないほどの実力を持った方でした」

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アイリーン(美波)と、ユージン・スミス(ジョニー・デップ)

 そう念願のキャスティングだったことを振り返りながら、アイリーン役に関しては難航したとも。アイリーンは、ユージンに水俣の被害を世界に知らしめるべく撮影を依頼し、現地で通訳として水俣の人々との懸け橋になる重要な役どころだ。

「アイリーン役は決めるのが大変で、何人オーディションしたかわかりません。というのも、アイリーンさんは非常にユニークな方で、日本人だけれどもう長年日本に住んでいなくて、一般的な日本人とはちょっと違っていたからです。キャスティングに長い時間をかけましたが、美波さんのオーディションテイクを見て、この人しかいないとすぐわかりました。あのジョニー・デップと共演するのは本当に容易なことではないです。彼女にとって挑戦だったと思いますし、彼女の成し遂げたことをとても誇りに思います」

ユージン・スミスと患者の青年(青木柚)

 ジョニー・デップと日本人キャストたちの撮影は、実際、どのような雰囲気だったのか。レヴィタス監督は「家族のような雰囲気が生まれました」と当時を振り返る。「皆さんが本当に楽しんで映画に参加してくださいました。それは使命感があったからだと思います。オフの日でも現場に来てくれたんです。そして、撮影が終わった後の食事でも、どうやって映画をより良くできるか話をしました。その中ではやはりジョニーが大きな役割を果たしてくれましたね。確かに言葉の障害はあったのですが、それをものともせず、とても楽しかったです」

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 本作で大スターであるジョニーを主演に据え、多くの日本人キャストと時間を共にした経験に大いに触発されたというレヴィタス監督。風化してはならない史実をたどるなかで見えてくるのは、「声を上げることの重要さ」という万国共通のテーマでもある。本作はレヴィタス監督にどのような影響をもたらしたのか。「映画で表現するために水俣の方々を深く理解しようと努めました。そのためには、まず自分が彼らの経験を理解しないといけません。その結果、彼らはわたしのことを知りませんが、自分の家族のように愛情を感じます。そして、痛みを自分のことのように感じます」と思いを巡らせていた。(編集部・石井百合子)

ジョニー・デップとの共演はセッションのよう『MINAMATA-ミナマタ-』美波インタビュー » 動画の詳細
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