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ディーン・フジオカの震災からの10年 故郷と向き合い今の自分がある

ディーン・フジオカ
ディーン・フジオカ

 俳優、アーティストとして国内外で活躍するディーン・フジオカが声優に初挑戦したアニメ映画『フラ・フラダンス』(12月3日公開)が、間もなく公開を迎える。以前から声優という仕事に興味を抱いていたというディーンだが、それにプラスして自身の生まれ故郷である福島が舞台であること、そして映画が公開される2021年が、東日本大震災から10年の節目であることなど、彼にとって本作との出会いは非常に大きな意味をなすものだったようだ。

【写真】インタビューカット集

初のアフレコで思わぬ苦戦も

『フラ・フラダンス』より(C) BNP, FUJITV/おしゃれサロンなつなぎ

 本作は、“東北のハワイ”こと福島県いわき市のリゾート施設「スパリゾートハワイアンズ」のフラガールを目指す新人ダンサーたちが、さまざまな困難に立ち向かいながらも、夢に向かって奮闘する青春ストーリー。ディーンは、フラガールたちが憧れるスパリゾートハワイアンズの先輩社員・鈴懸涼太の声を担当している。

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 自身初となる声優のオファーを受けたディーンは、「以前から声優の仕事をしてみたいと思っていた」とのこと。「子供のころからたくさんアニメを見てきて、日常のなかに自然とアニメというものがありました。映像やグラフィック、ストーリー展開などに魅了されていくなか、声の表現への可能性を強く感じるようになったんです。僕は俳優とミュージシャン活動をしていますが、声優というのは、そのどちらとも全く違う新しい表現だと感じ、いつかチャレンジできればと思っていたんです」と理由を説明する。

 アフレコでは「俳優としてのアプローチをすると、画との距離感がわからなくなってしまうんです。アニメの場合、引きになったり寄りになったり目まぐるしく変わるなか、視覚的に惑わされてしまうのが難しかった」と思わぬ苦戦も。同時に、「もっと深めていくことができるのが声優の仕事の魅力だと感じたので、また機会があれば、追及していきたいです」と声優の奥深さを噛み締める。

東日本大震災が故郷と向き合うきっかけに

ディーンが担当するスパリゾートハワイアンズの社員・鈴懸涼太(左)(C) BNP, FUJITV/おしゃれサロンなつなぎ

 声優の仕事への興味にプラスして、ディーンが本作に強く惹かれたのが、作品に込められた「乗り越えていく」というメッセージ、そして生まれ故郷である福島が舞台であることだった。

 「僕が演じた鈴懸は劇中、『誰でも乗り越えてきたんだ』と言いますが、偶然にも僕自身もそういう気持ちを抱いていて、自分の心とシンクロしていると感じたんです。この作品は、福島の方だけに向けたものではありませんが、震災があり難しい環境にある人々にもポジティブなメッセージを伝えられる可能性があると思いました」

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 この言葉に強く感情移入したディーンは、自身のこれまでの人生を振り返り「乗り越えるという意味で言えば、僕は最初日本で仕事をしていませんでした。もちろん生まれは日本だったのですが、パスポートの国籍ぐらいしか接点がなかった。そんな僕が、一から日本で活動するというのは、とても大きな壁で、決して楽な道ではありませんでした」と、日本での活動を開始した当時の思いを吐露。自身を日本に導いたきっかけとなったのが、2011年に起きた東日本大震災だったという。

 「(震災が起きた)当時、僕はインドネシアのジャカルタのレコーディングスタジオにいました。その地で、東北で震災が起きたことを知ったんです。それまで、いつか日本で仕事をしたいという気持ちはありましたが、そこまで強い思いではなかった。でも震災があったことで、生まれ故郷や祖国のことにしっかり正面から向き合いたいと思ったんです」

福島のために発信し続けること

 日本で活動するきっかけとなった東日本大震災から10年。そんな年に公開される『フラ・フラダンス』に参加したことは、どんな思いをディーンにもたらしたのだろうか……。

 「この作品に参加させていただけたことは、僕にとって宝のような時間でした。物事って何もしなければ、必ず減衰してしまうもの。どうやったら時間というものを味方につけ、福島の復興の流れを作っていくかを考えたとき、こうした作品が世に出ることは大きいことだと思います。一方で、自分一人では大したことはできないかもしれないけれど、福島に対してポジティブな流れを作るきっかけは、これからもしっかりとやっていきたいと思っています」

 さらにディーンは「この作品もしかり、どんなジャンルのものかはわかりませんが、今後も過去にやって来たことも含め、自分なりに福島のために何か提案ができれば」と故郷への思いを語っていた。(取材・文:磯部正和)

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