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小松菜奈&坂口健太郎が織りなす恋…藤井道人が描く恋愛映画のカタチとは?『余命10年』撮影現場レポート

小松菜奈&坂口健太郎が共演する『余命10年』の撮影風景
小松菜奈&坂口健太郎が共演する『余命10年』の撮影風景 - (C) 2022映画「余命10年」製作委員会

 小松菜奈坂口健太郎が主演を務める映画『余命10年』(2022年全国公開)の撮影現場が今年3月に報道陣に公開され、監督の藤井道人が撮影の舞台裏を明かした。

小松菜奈&坂口健太郎『余命10年』撮影風景【写真】

 『余命10年』は、2007年に刊行された小坂流加さんの同名小説を原作に、数万人に一人という不治の病で、余命が10年であることを知った20歳の茉莉(まつり)を主人公としたラブストーリー。生きることに執着しないよう恋だけは決してしないと心に決めていた彼女が地元の同窓会で和人(かずと)と出会い、心を動かす姿が描かれる。

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 この日、撮影が行われたのは、茉莉(小松)と和人(坂口)が飲み会に参加した後で、ライトアップされた桜並木が続く川沿いを二人で歩くシーン。本作では10年という月日が描かれるなかで、四季が色鮮やかに映し出されていくが、この桜吹雪が二人を包む場面はとりわけ印象的だ。息をのむほどの美しい情景が二人の距離を近づけることになるだけではなく、作品全体を象徴する場面にもなっていると藤井監督は語る。

 「恋愛映画のドラマツルギーとしては、二人がどこでお互いのことを好きになったのか描くべきなのですが、今回の映画はそういったわかりやすいシーンを用意してはいないんです。これは恋愛映画でもあっても、人間ドラマでもあるんだということに重点を置きました。そのことを象徴しているのが、このシーンなんです」

 重い病によって変化していく茉莉にとって幸福な時間として記憶に刻まれる桜吹雪。気候に左右される桜をカメラに収めるために、絶好のタイミングを狙って撮影が行われたが、演じる小松は体重制限を行うなどの役づくりを行い、多忙な日々のなかで作品に挑んだ。

 藤井監督は小松について「一生に一本という気持ちで賭けてもらわなきゃいけないので、僕らの意気込みも伝えて応えてくれました。綺麗なことばかりではないし、美しく映る必要もない。ドキュメンタリーのように10年をつないでいこうと思って撮影しています。実際、撮影が始まった夏には、彼女はこういう芝居をするんだなという“お見合い”の時期だったのが、1月には茉莉にしか見えなくて、たまたまテレビで見たりすると、こんな綺麗な人と仕事していたの? と驚くくらいで(笑)」

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 一方、茉莉との出会いを経て絶望していた人生を変化させていく和人を演じた坂口。藤井監督たっての希望でキャスティングされたが、監督は何より佇まいが好きだという。「この二人が街にいても気づかないくらい素朴な部分もあり、それでいても華もある。最初の撮影から、和人そのものが来てくれた! という思いで、間違いなく二人のベストアクトを撮れている自負があります」と自信を見せる。

 そんな二人は、茉莉と和人がさまざま場所で時間を過ごすなかで「役とシンクロしていくのがわかるんです」という藤井監督。彼らは経験も豊富ですし、役を演じるという意識、ということではなく、一主演俳優同志としてお互いの呼吸を感じている。監督としては、もう一回カメラを回すだけでいいな、というタイミングが撮影で何度もある。それが本当にうれしいんですよね」。そう語る二人の化学反応をこのシーンでも垣間見ることができるはずだ。

 だが、これまで『新聞記者』で数々の映画賞を受賞し、その後も『ヤクザと家族 The Family』などの話題作で注目を高めてきた藤井監督とは、意外な組み合わせとも思える純愛のラブストーリー。原作小説の著者である小坂さんは作中の茉莉と同様に難病を抱え、2017年に文庫化を待たずして38歳の若さでこの世を去った。藤井監督はなぜ今作を手掛けようと思ったのだろうか? 

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 企画について初めて聞いたのは『新聞記者』のオールアップの日だという。「『余命10年』というタイトルを見て、一瞬躊躇したのは事実です。余命10年という直球なタイトルで、タイトルと企画書を読んだだけの段階では、恋愛映画で人の命を扱うということにピンと来ていなかった」と振り返る藤井監督だが、そこから意識の変化があった。

 「原作も読み、実際に小坂さんの人生について知るなかで、確かに人生を生きた人がいたんだということがわかりました。そのときはインディーズしか手掛けてなかった自分に『人間を描くことができる』ということで声をかけてくれたと言われ、小坂さんの人生と小説のストーリーが交差するような映画にできたらという言葉に魅力を感じたんです」

 どのような作品にすべきか手探りだったなかで、小坂さんの遺族と対面したことが大きく作用することになる。「娘さんがどう生きたかという話を何時間にもわたってお話しいただいて、娘さんが生きた証を託したいと言ってくれたことで、彼女が亡くなるまでの10年間ではなく、彼女が10年間をどう生きたのかをしっかり描こうと思いました。これが今回、自分に課したことです」と力強い言葉で明かす。

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 藤井監督の新境地ともいえる恋愛映画。そうした作品の色合いだけでなく、コロナ禍という悪条件も重なった。「何より腐っちゃいそうになるときに、自分もこの映画に励まされているという感覚があります。今までは煩わしいとさえ思っていたものも、生きてさえいれば愛おしいと思えるような感覚がある。茉莉の背中を見て前向きになってもらえるかということは意識しているところ。坂口くん演じる和人は僕自身のことを反映した役なので、茉莉から影響を受けた和人の表情からも何か感じてもらえるとうれしいですね」

 そんな藤井監督は「この作品で燃え尽きたので、次の映画が心配なくらい(笑)。監督はもうできないよと言われてもいいくらいの気持ちでやっています」と語るほどの『余命10年』。小松と坂口の代表作になると自信をのぞかせる藤井監督が手掛ける恋愛映画のカタチとは? ぜひともスクリーンで目撃したい。

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