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マーク・ラファロ、本物のヒーローが辿る道とは?念願の意欲作『ダーク・ウォーターズ』公開

映画『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』が12月17日に公開
映画『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』が12月17日に公開 - (C) 2021 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC.

 『アベンジャーズ』シリーズのハルク役でおなじみのマーク・ラファロが主演とプロデューサーを務めた映画『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』が12月17日に公開。マークにとって待望の企画を実現した社会派ドラマであり、そこでは並々ならぬ役づくりも行われた。

映画『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』予告編【映画】

 『アベンジャーズ』シリーズではブルース・ハナ/ハルク役でも好評を博しているほか、これまで『キッズ・オールライト』『フォックスキャッチャー』『スポットライト 世紀のスクープ』でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたマーク。監督としても『シンパシー・フォー・デリシャス』を手掛けるなど、多彩な顔を見せているが、環境活動家としても気候変動運動への取り組みなどで影響力を発揮している。

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 そんなマークが目にした1本の新聞記事から『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』の製作は始まった。2016年1月6日、ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された記事には、米ウェストバージニア州のコミュニティーを蝕む環境汚染問題をめぐり、一人の弁護士が十数年にもわたって巨大企業との闘いを繰り広げてきた軌跡が綴られていた。この闘いを描く映画は、自分の仕事と環境に対する熱意の両方を融合できるものだと感じたという。

 物語は1998年、オハイオ州の名門法律事務所で働く弁護士ロブ・ビロット(マーク)が、ウェストバージニア州の農場主ウィルバー・テナントからある調査依頼を受けることから始まる。大手化学メーカーであるデュポン社の工場から出た廃棄物が土地を汚染し、190頭の牛が病死したというもので、廃棄物について調べるロブは、デュポン社が発がん性物質の危険を隠蔽(いんぺい)し、40年にわたってそれを廃棄していたことを知る。ロブは住民7万人を原告にして、デュポン社に対する集団訴訟を起こす。

ダーク・ウォーターズ
(C) 2021 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC.

 実力派として知られるマークにとっても、今回の役はたやすいものではなかった。役づくりのためにビロット本人とも連絡を取ったマークは「僕がロブから聞きたかったのは、この訴訟を進めるうえで、化学会社だけを顧客に持つ法律事務所に属していることで余計に大変だったかどうか、ということなんだ。するとロブは『聞いてくれ。すべてを話すから』と言ってくれた。それがプロジェクトを進めるために僕が本当に必要としていたことだった」と振り返る。

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 「ヒーローになるまでには、多くの反対意見をぶつけられることになる。ときにはありとあらゆる方面からね。それこそ、本物のヒーローの旅路だし、最高のストーリーテリングでもある。そうした複雑な問題を重ねれば重ねるほど、より良いストーリーになっていくし、ヒーローが当初の目的を果たしたときの功績がより大きくなる。最初のうち、ロブは、企業は人間ということ、そして自己統治というコンセプトを信じているから、何か単純なミスがあったに違いないと考えるんだ。ところが実際には、彼が明らかにしたのは、デュポン社による汚染と隠ぺいが40年にもわたって行われていたことだった」

ダーク・ウォーターズ
(C) 2021 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC.

 また、ビロットは二つの世界の板挟みになった男だということも、マークにとっては重要だった。「今のロブは、かつて彼自身が育った階級よりも上の階級で生活している。だから家族の中でも階級間の争いがある。そうしたことすべてが綱渡りを構成する要素になる。彼は弁護士たちの階級に足を突っ込んでいるけど、本当の意味でその階級に属しているわけではない。それに加えて、原告/被告の弁護士という分裂もある。そうしたいくつもの二分された要素があるからこそ、ロブは世界有数の巨大企業に勝つことができたんだと思う」

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 その驚くほど綿密な役づくりのアプローチには、監督のトッド・ヘインズも感銘を受けたという。「マークはものすごく細かいところまで注意を払っていたし、ロブとその家族と長い時間を共に過ごして、彼の身体や仕草、歩き方、立ち方を観察していた。劇中、マークは滅多に笑顔を見せない。鎧をまとっているようだ。それは完全に彼がロブ・ビロットを観察したことの成果なんだ」

ダーク・ウォーターズ
(C) 2021 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC.

 マークのほかにも、ロブの妻サラ役のアン・ハサウェイや、ロブの威厳ある上司タープ役のティム・ロビンスなど、名優たちが集結。アンは「こういうダビデとゴリアテ的な物語に私たちが期待するのは、最後にゴリアテが倒れることですよね。でも、そんな簡単な物語ではなかった。このストーリーはもっと現実を、そして私たち全員に関わる何かを映し出している。だから最後に私は目を見開かされた気がして、自分もこの作品に参加したいと思ったのです」と明かす。

 最近では『魔女がいっぱい』なども話題を呼んだアンだが、本作では正義のために自身の健康や家族との幸福な時間を犠牲にするロブを奮起させる、重要な役どころを静かに熱演している。(編集部・大内啓輔)

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