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河瀬直美監督・東京オリンピック公式映画は2本立てに 大会の影も収める

会見に臨んだ河瀬直美監督
会見に臨んだ河瀬直美監督

 24日、『あん』『殯(もがり)の森』などで知られる映画監督の河瀬直美が総監督を務める東京2020オリンピック競技大会の公式映画『東京2020オリンピック』の製作報告会見が竹芝ポートホールで行われ、本作が「SIDE:A」「SIDE B」の2本立てで公開されることが明かされた。

『東京2020オリンピック SIDE:A/SIDE:B』特報映像

 1964年以来の東京開催となった第32回オリンピック競技大会。総監督を務めた河瀬監督は、新型コロナウイルスの感染拡大により延期を余儀なくされた異例の大会を、開催に至るまでの750日にわたって追い、世界中から集まったアスリートたち、その家族、大会関係者、ボランティア、医療従事者、会場の周囲に集う人々、開催中止を求めるデモ参加者の姿を収めた。その記録は5,000時間に及ぶ膨大なものになったという。

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  表舞台に立つアスリートを中心としたオリンピック関係者たちを描く「SIDE:A」と、ボランティア・医療従事者などの非アスリートたちを描いた「SIDE:B」。 異なる視点から捉えた2作品となった公式映画。その理由について「一番はコロナです」と明かした河瀬監督は「大会が1年延期する異例の事態となった。その時点で撮影も始まっていたので、そこからの1年間を描かないわけにはいかない。オリンピック期間中のアスリートたちの模様を描くだけではなく、今回の事態を記録し、未来に伝えていかなければいけないんじゃないかと思い、撮影中から2本で作れたらいいなと考えていました」と振り返った。

 今回のオリンピックを追ううえで「もちろん、影の部分も描かなくてはいけませんでした」という河瀬監督。五輪組織委の会長だった森喜朗氏が女性蔑視発言で退任したことにも触れ「森会長の退任は非常に大きな出来事だったと思っています。森会長の発言が多くの皆さんに伝わって、このままではいけないと。この国がいい意味で変わっていくのなら、それもしっかりと記録に残すべきだと考えました」と語った。

 会見中には、公式映像ではあるものの、監督自身のジャーナリスティックな目線も必要とされるのではないか、と問われる一幕も。「そのように問われるだろうなと思っていた自分はいます」と認めた河瀬監督は「最近、『萌の朱雀』という(自身が監督した)最初の映画をあらためて観る機会があったのですが、あの時のわたしは、自分がいいな、と思ったことをシンプルに描いていたんだとを確信しました」と振り返ったうえで「もうひとりの自分が観客席にいて、こういうものを見せられたらいいな、と思うようなものを真摯(しんし)に作っていけたらいいかなと思いました」と説明。「こっちがいいとか、ジャーナリスティックな方がいいということではなく、河瀬直美として、しっかりとこの映画を世に出せたらいいなと思います」と語った。河瀬監督にとって、ある種の原点回帰という思いもあったという。

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 最後に「ウクライナで悲しい現実がある最中に、映画の会見をさせていただくのがいいことなのか、ということは個人的に考えています」と切り出した河瀬監督は、「世界には目を覆いたくなるような出来事がありますが、そういう人たちの心にも光を届けたいという思いで、わたしは映画を作っています」と語ると「この映画がこの先、歴史に残り、50年後、100年後に映画を観た人たちが分断を起こさないようになってほしい。今ある、ささやかなしあわせを守ることができるように、という願いを込めて、今日は会見に臨みました。映画が皆さんにとって光であるよう望んでいます」とコメント。「私自身、この映画の中にたくさんの希望を見出しました。みんなが人生の金メダリストになれるように祈っています」とメッセージを送った。(取材・文:壬生智裕)

映画『東京2020 オリンピック SIDE:A』は6月3日、『東京2020 オリンピック SIDE:B』は6月24日全国公開

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