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地震被害の岩手・一関シネプラザ、クラウドファンディングの支援で再開へ

地震被害を受けた、2スクリーンを持つ一関シネプラザ(写真:一関シネプラザ提供)
地震被害を受けた、2スクリーンを持つ一関シネプラザ(写真:一関シネプラザ提供)

 3月16日深夜に福島沖で発生したマグニチュード7.4の地震で被害を受け、休業を余儀なくされていた岩手の老舗映画館・一関シネプラザが、4月15日にプレオープンし、4月22日に完全再開することとなった。

再開の告知
再開を告げる劇場前の張り紙(写真:一関シネプラザ提供)

 地震発生時、岩手県一関市は震度5強を観測。同館は天井のダクトや通気口が外れ、石膏ボードが落下したほか、肝心の電源の変圧器が故障して映写機を動かすことができず、実質的に営業ができないという状況に陥った。変圧器の新規購入や修繕費用の見積もりを取ったところ、総額660万円。コロナ禍で客足が落ちているところにさらなる試練が重なって、廃業も考えたという。

事務所
震災後の事務所(写真:一関シネプラザ提供)

 しかし一縷(いちる)の望みをかけて、クラウドファンディングで工事費用の支援を呼びかけたところ、わずか24時間で目標金額の50万円を大きく上回る114万5,000円の支援があった。同時に「映画館の灯を消したくない」という地元の方や、各地のミニシアターがSNSで発信した情報などで同館の状況を知ったという全国の映画ファンから応援メッセージが届いたことが、何よりの力となったという。

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天井
天井のダクトや通気口が外れ、地震の揺れの大きさを物語っている(写真:一関シネプラザ提供)

 そこでネクストゴール(第2の目標金額)として450万円を目標とし、4月21日までクラウドファンディングを実施。同時に、資金のめどがついたことから館内の修繕に着手し、約1か月で再開に漕ぎ着けたという。再開を飾るのは、上映中だった濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』をはじめとする4作。新たにアカデミー賞国際長編映画賞受賞の冠を引っ提げての再上映だ。

劇場内
天井の石膏ボードなどが落下して劇場内に散乱した(写真:一関シネプラザ提供)

 同館は、1949年(昭和24年)開業の新星映画劇場が前身で、一関東映劇場を経て、1990年(平成2年)に現在の一関シネプラザに改名。2011年の東日本大震災の際にはスクリーンが裂けるなどの甚大な被害を受けたが、名古屋のシネマスコーレや三重・伊勢新富座ら中部地方のミニシアターの協力を得て、約1か月後に再開した。幾多の荒波を乗り越えて、一関市唯一の映画館は街の娯楽と文化を守り続ける。(取材・文:中山治美)

一関シネプラザ・クラウドファンディングサイト
https://readyfor.jp/projects/cineplaza

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