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『キングダム』佐藤信介監督、山崎賢人との3年にわたる絆「仕事をしている感覚すらない」

『キングダム2 遥かなる大地へ』より山崎賢人演じる信
『キングダム2 遥かなる大地へ』より山崎賢人演じる信 - (C) 原泰久/集英社 (C) 2022映画「キングダム」製作委員会

 映画『キングダム』シリーズ(2019~)やNetflixのドラマシリーズ「今際の国のアリス」(2020~)で山崎賢人(※崎はたつさきが正式表記)を主演に迎えタッグを組んできた佐藤信介監督。現在公開中の『キングダム2 遥かなる大地へ』で主演を続投する山崎について「信の成長はすなわち、役者としての山崎さんの成長ではないか。3年前の信と、今の信の違いがちゃんと見える」と評する佐藤監督が、山崎の魅力を語った。

【画像】山崎賢人インタビュー撮りおろしカット<7枚>

 累計発行部数9,000万部(2022年6月現在)を突破する原泰久の漫画を実写映画化した2019年公開の『キングダム』では、紀元前の春秋戦国時代の中国を舞台に、秦国で天下の大将軍となる夢を抱く戦災孤児・信を演じた山崎。麻生羽呂の漫画を原作にした「今際の国のアリス」(2020)シーズン1では、謎の世界・今際の国で命を懸けた“げぇむ”に挑む主人公・アリスを演じた。『キングダム』は興行収入57.3億円のヒットを記録(日本映画製作者連盟調べ)。「今際の国のアリス」シーズン1も世界50以上の国や地域でトップ10入りし、日本発のNetflix実写オリジナル作品のなかで、世界で最も視聴されたシリーズとなった。

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戦場で歩兵5人組の“伍”として戦う信。左から濱津隆之、山崎、三浦貴大、岡山天音、清野菜名

 共にヒット作を生んできた山崎について、佐藤監督は「人間として年々大きくなっている感じがします。ただ山崎さんは胸を張るような方ではないし、非常にひょうひょうとしている。そこがすごくユニークだし魅力的でもある」と飾らない自然体な人柄に触れる。『キングダム』の3年ぶりとなる続編『キングダム2 遥かなる大地へ』では、前作では名もなき戦災孤児だった主人公・信が歩兵として初陣に挑み、心身共に見違えるほど成長しているが、それは山崎自身にもつながるという。

 特に佐藤監督が「グッときた」山崎の演技が、信らが支えるヒョウ公(豊川悦司※ヒョウ公のヒョウは鹿にれんがが正式表記)軍所属の千人将・縛虎申(ばくこしん/渋川清彦)が壮絶な戦闘の中で叫ぶシーン。それを見つめているときの信が「なんて表情なんだ」と胸を打つものがあった。

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 「『キングダム2』は、信がいろんなものを目撃する話ともいえるのですが、あのシーンは特に好きで。『2』では信が天才的な武術を見せたりもするんですけど、一方で田舎から出てきた等身大の人間でもあり、観客の皆さんは彼と一緒に戦場に出ていくような感覚があると思います。いろんな人の生きざまを観てきたような、そんな眼差しがいいなと。実際に、撮っている最中は、電柱は立っているわ、車もあるわ、ブルーバックがあるわで、現代物に囲まれた中で古代の世界を作っているわけですが、役者というのはすごいもので、『ヨーイ、スタート』の声がかかると途端に、紀元前の古代中国に立つ一人の人物がそこで何か壮絶なものを見た、という雰囲気になってしまうんですよね。まだCG合成も何も入っていない編集を見ただけでも、そうした役者の雰囲気にのまれ、感動してしまいました。あらためて役者の想像力、入り切っちゃう感じというのはものすごいパワーなんだと圧倒されたし、そこに支えられたとも思います」

馬上のアクションにも圧倒される

 山崎とは『キングダム』と「今際の国のアリス」と立て続けに組んでいるが、「信とアリス、同じ役者がやっている感じがいまだにしない。不思議な感じがする」と言い、山崎の俳優としてのポテンシャルを感じるという佐藤監督。初めて組んだ3年前とは、関係も変わっているのだろうか。

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 「出会った当時はお互いにどういう人なんだろうと探っているようなところもあったんですけど、前作のときからすごく自然な感じでお互いを理解し受け入れていたように思います。彼は小難しい演技論みたいなものが一切なくて、常に目の前の現実なんですよね。例えば、山崎さんが台本や段取りで違和感があったりすると『だよね、じゃあこうしようか』と変えてみる。そうしたら『あ、今のでしっくりきました』と。あるいは難しい動きであっても「わかりました!」と躊躇することなくやってくださって、それが当初の予定と違っても『全然違う感じになりました!』と。成功しても失敗しても動じない。体に正直だし、そのあっけらかんとした感じがすごく好きなんです。肩ひじ張らない感じでやってくださるのが、僕とすごく合うんです。やりやすくて、仕事をしている感覚すらないような」

 そう撮影を振り返りながら、性格面での相性の良さも挙げる。「僕も映画を作るのが大好きで息を吐くように作りたいと思っているんですけど、山崎さんも演じることがすごく自然なんじゃないかなと。『演技をやるぞ!』とか、そういうことではない。その辺は感じるんですよね。ちょっと誕生日も近かったりして、性格も似ているんじゃないかなと思ったりします(笑)。(※山崎は9月7日、佐藤監督は9月16日)」

 今後も「今際の国のアリス」シーズン2の配信を12月に控えるなど、まだまだこの名コンビの快進撃が見られそうだ。(編集部・石井百合子)

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