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【ネタバレ】「相棒」誤解と思い込みの事件 前回から一変、振り幅の広さに驚愕

振り幅の広さも「相棒」の魅力
振り幅の広さも「相棒」の魅力 - (c)テレビ朝日・東映

 9日に放送されたドラマ「相棒season21」(テレビ朝日系)第5話「眠る爆弾」で特命係の杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)が直面したのは、大学構内での爆破事件。犯人が仕掛けたさらなる爆弾の場所を探すうちに、事件の陰にあるもう一つの事件が判明し、その真相が「悲しい」「今日的な題材」と話題になっている。(以下、ネタバレを含みます)

 爆弾を仕掛けた犯人を名乗るのは、その大学に籍を置く平山翔太(山本涼介)だった。彼は共にチームを組んで農業工学の研究を行っていた准教授の三沢(山崎潤)を監禁し、教授の野々村に「真実を公開しろ」と迫る。それは、女子学生・森原真希(大坪あきほ)が実験中に死亡した事故についてだった。平山は、三沢が真希と不倫をし、邪魔になった真希を殺すためにバルブに細工をした殺人だと主張する。ところが、右京と薫が探り当てた真実はまったく違っていた。真希は研究予算が不足していることを世間にアピールするために、わざと摩耗したバルブを使用して事故を起こそうとし、誤って巻き込まれて死亡してしまったのだ。

特命係を翻弄した平山 - (c)テレビ朝日・東映

 先週放送の第4話「最後の晩餐」がホロリと感動できるラストだったのに対して、今週は現代日本の未来に関わる大問題とされている「大学などの研究機関の深刻な予算不足」というシリアスな題材が事件の原因で、しかも爆弾事件と監禁事件はすべて平山の誤解と思い込みによる勘違いから引き起こされたものだったという皮肉な物語。三沢への罠に、真希の死因となったクラッシュ・シンドローム(圧挫症候群)を使う平山の仕掛けもシニカルだ。先週のほんわかしたラストシーンとの落差がすごいのだが、そこが多くの脚本家が関わる「相棒」の魅力の一つだろう。

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 「最後の晩餐」は「相棒」初登板となった光益義幸の脚本で、初めてとは思えない見事なストーリーテリングを見せた。今週の「眠る爆弾」を担当した岩下悠子はseason3から参加し、薫時代の物語を多く担当していた、初期「相棒」ではお馴染みの脚本家。薫がサルウィンへわたったseason7以降はしばらく登板がなかったが、season20で復帰し、今回に至る。こだわりが強い人や犯人を描くことも多く、今回の平山もその一人といえる。薫と伊丹のじゃれあいのような応酬や、「相変わらず細かいことを気にするねえ」という角田課長(山西惇)に「ええ、僕の悪い癖」と右京が応える決まり文句など、ファンにはうれしいシーンが続いた。

薫ちゃんは警察手帳を持ってない? - (c)テレビ朝日・東映

 第1~2話「ペルソナ・ノン・グラータ~殺人招待状」「~二重の陰謀」は「相棒」生みの親の輿水泰弘、第3話「逃亡者 亀山薫」の川崎龍太(崎は「たつさき」)はseason20、来週放送の第6話「笑う死体」の瀧本智行はseason19からの参戦だ。多彩な経歴を持つ脚本家がそれぞれの個性を発揮することが、「相棒」の面白さを形成する大きな要素となっている。

 なお、今回で明らかになったのは、嘱託職員の薫はどうやら警察手帳を所持していないだろうということ。手帳を示して身分を名乗る右京に、「同じ」と称してついて回っていた。今後、この事実が事件捜査に何か関わってくるのだとしたら、初期とはまた違う展開が見られることになる。(文・早川あゆみ)

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