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庵野秀明も登場!?『イチケイのカラス』監督が語る、法廷ものだからこその遊び心

(C) 浅見理都/講談社 (C) 2023 フジテレビジョン 東宝 研音 講談社 FNS27社

 竹野内豊が主演したフジテレビの月9ドラマを映画化する『映画 イチケイのカラス』が1月13日から劇場公開。『コンフィデンスマンJP』シリーズなどでも監督を務めた田中亮が連続ドラマから引き続いてメガホンをとった。連ドラから随所に“遊び”が挟み込まれていたが、劇場版でもその魅力は変わらない。監督が作品に込めた思いを明かした。

【画像】『イチケイのカラス』豪華キャスト、スーツ姿で集結!

 2021年に放送された「イチケイのカラス」は、浅見理都の同名コミックを原作に、東京地方裁判所第3支部第1刑事部(イチケイ)の裁判官・入間みちお(竹野内)と坂間千鶴(黒木華)のコンビをはじめとする仲間たちの活躍を描く物語。劇場版では、みちおがイチケイを去ってから2年後、瀬戸内に異動となったみちおと、その隣町で弁護士として働く坂間が、イージス艦の衝突事故と大企業の秘密という国を揺るがしうる二つの巨大な闇に挑む。

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新たな立場で二人が向かい合う

Q:連続ドラマから2年後が舞台ですが、坂間の異動などの変化がありますね。

連ドラの最終回では、みちおが熊本に異動したので、どのように坂間と再びバディを組むことになるのかを考えました。裁判官監修の水野智幸先生から「裁判官は必ず2年は他職を経験しなくてはならない」という他職経験制度について教えていただいて、だったら坂間って何にでもなれるんだな、と。そこからアイデアを膨らませました。

イチケイのカラス
(C) 浅見理都/講談社 (C) 2023 フジテレビジョン 東宝 研音 講談社 FNS27社

Q:坂間の職業にはほかに候補はあったのでしょうか。

坂間が学校の先生になってヤンキーに囲まれるというのもおもしろいアイデアだと思ったのですが、それだとみちおと絡むことがないな、と(笑)。やはり法曹関係の仕事に就く方が多いとも聞いたので、坂間が弁護士という立場であれば、裁判官のみちおと法壇の隣同士ではなく、上と下で対峙できる。構図も変わって、異なる立場で組む二人であれば、きっとおもしろいなと思いました。

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Q:イージス艦の衝突事故が起こるなど、スケールも大きくなります。岡山が舞台になった理由は?

今回、海の事故から始まるので、海がそばにある場所でいうと瀬戸内が魅力的だなと。僕は橋などの巨大建造物が好きで、実は連ドラもファーストカットはレインボーブリッジでした。瀬戸内海で瀬戸大橋があるところというと、岡山であれば、映画的にいいビジュアルが撮れるんじゃないかという思いがありました。

法廷ものだからこそ“遊び”を

Q:ドラマでは毎話、裁判の傍聴席に「みちおを見守る会」としてお笑い芸人が登場するなど、小ネタも話題になりました。今回は庵野秀明監督がサプライズ出演していますね。

僕自身が遊びを入れないと気が済まないタチで(笑)。裁判官を主人公に法律や裁判を扱う作品だと、どうしても堅苦しく小難しくなってしまう。それをエンターテインメントに仕上げるために、楽しんでもらうための仕掛けとして入れています。ワンシーンだけでも印象に残る人に出ていただきたいなと思い、竹野内さんとは『シン・ゴジラ』で、斎藤(工)さんとは『シン・ウルトラマン』で繋がりがあり、ダメ元でお願いしたら、快く受けていただきました。ほかの方にはない空気感でお芝居していただけました。

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Q:事件や法廷でのシリアスな雰囲気とのバランスはどう取っているのでしょう?

法廷は緊張と緩和を作り出すには最高の環境で、このシリアスさを笑いに活かさない手はないなと。シリアスであればあるほど、コミカルに振り切れる。監督として現場で生まれたものをキャッチしていくということを大事にしてるんですが、シリアルとコミカルのバランスをどれだけ計算しても、計算外のおもしろさが生まれてくる。撮影を重ねていくと、日に日にバランスが変わっていく。毎日、やりすぎじゃないか、足りないのではないか、とドキドキです(笑)。どんな塩梅に着地するのかわからない。ゴールが見えなくて難しいからこそ、たまらなくおもしろい。いい作品にできるかは挑戦であり、監督しての何よりの楽しさですね。

イチケイのカラス
(C) 浅見理都/講談社 (C) 2023 フジテレビジョン 東宝 研音 講談社 FNS27社

Q:連ドラに引き続いて草野球の場面が登場しますね。

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草野球は、大人たちが恥ずかしげもなく青春をやれるところが好きですね。堅い仕事のプレッシャーから解き放たれた少年少女のような顔を見ることができるし、キャラクターにも温かみや深みが出る。ただ、撮影は大変です(笑)。法廷みたいに限られた空間に全員がいるわけではなく、グラウンドやベンチなどあらゆる場所にたくさんのキャストが一気に集うので、それを一つずつ映像に捉えていくのは労力がかかるわけです。よくスタッフに「野球は本当に必要ですか?」と聞かれるんですが、その大変さがあっても「絶対に入れよう」と。遊びだからこそ、何としても入れたいなと思っています。

竹野内さんの中にあるものを引き出す

Q:職権発動ができなくなるなどのピンチもあります。監督が思うみちおの魅力とは?

みちおというのは飄々としているし、怒られるようなこともたくさんする。何を考えているのかわからない部分もあるのですが、法律や真実には本当に真摯に向き合っていて、ど真ん中の正義を語ることができる。ほかの作品でもなかなかいない、稀有なキャラクターです。どんなに大きい事件や敵と対峙しても、その芯が変わらないというところはしっかり描きたいと思っていましたし、最後の長い法廷シーンでは、そんなみちおの魅力を表現できたのかなと思います。

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Q:演じる竹野内さんとの再タッグはいかがでしたか?

竹野内さんとは仕事をさせてもらうなかで、すごくチャーミングなところが魅力的な人だなと感じていますし、もともとみちおの要素を持っている方なので、竹野内さんの中にあるものを引き出すというのが、僕の一番の仕事かなと思っています。

Q:連ドラから劇場版を監督するのは『コンフィデンスマンJP』シリーズに続いてですね。連ドラと劇場版での違いは?

監督としては、脚本の行間を読んでキャストの魅力を引き出すという仕事は変わりません。ただ、映画は観客のみなさんが劇場を出たあとに、それぞれにいろいろな感情を持って帰ってもらえる良さがあるなと。テレビは瞬間瞬間でビビッドにおもしろさを感じてもらいたいので、逆に削ぎ落としていくようなイメージです。映画で意識しているのは余白を作ることです。余白からお客さんが感じとってもらったり、考えたりしていただきたいですね。

イチケイのカラス
(C) 浅見理都/講談社 (C) 2023 フジテレビジョン 東宝 研音 講談社 FNS27社

Q:劇場版で改めて「イチケイのカラス」の魅力をどこだと感じましたか?

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法律や裁判が遠い話ではなく、みなさんにも起こりうるものですよ、と語りかけられる作品にしたいなと。今回の作品には、悪い人は誰もいない。それぞれの思いが複雑な人間関係の中で悲劇的な結末を迎えてしまうわけです。社会で生きていくなかで幸せになるのは難しくて、社会との繋がりが大事だということを劇中の裁判を通じて描いた作品なので、自分ごとのように見て何か受け取ってもらえたら嬉しいなと思います。

Q:続編も気になるところですが……?

今回の劇場版でも連ドラに加えて魅力的な“イチケイファミリー”が増えたので、僕自身としてはもちろん続編はやりたいです。今回のように物語の舞台が変われば、新たな人間関係も生まれますし、新たなみちおや坂間の魅力を見せられるとわかったので、広がりはあるのかなと思っています。ただ、みちおと坂間にはいつまで言い合っていてもらいたいですね。やはり、ぶつかり合ってこその二人なので(笑)。

『映画 イチケイのカラス』は1月13日より劇場公開

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