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実写「岸辺露伴」で泉京香が全エピソードに登場する理由

『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』より岸辺露伴(高橋一生)と泉京香(飯豊まりえ)
『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』より岸辺露伴(高橋一生)と泉京香(飯豊まりえ) - (C)2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会(C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

 荒木飛呂彦の漫画「ジョジョの奇妙な冒険」「岸辺露伴は動かない」に登場する漫画家・岸辺露伴を主人公にしたドラマシリーズのスタッフが再集結し、同原作者のフルカラー読切作品を実写化した映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(公開中)。実写版における最大の魅力の一つが、高橋一生演じる岸辺露伴と、飯豊まりえ演じる担当編集・泉京香コンビの掛け合い。ドラマシリーズから続投する脚本の小林靖子渡辺一貴監督のインタビューを通じて、露伴&京香コンビの魅力を探ってみた(※一部ネタバレあり)。

【画像】ルーヴルでそろって黒の露伴&京香

 相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる特殊な力“ヘブンズ・ドアー”を持つ漫画家・岸辺露伴が取材の過程でさまざまな怪現象や事件に遭遇する実写ドラマは、2020年に第1期が放送されると反響を呼び、2021年に第2期、2022年に第3期が放送された。露伴の相棒となる京香は、ドラマ1期が制作される段階では原作「岸辺露伴は動かない」の「富豪村」一編にのみ登場するキャラクターだった(のちに「JOJO magazine 2022 SPRING」収録の「ホットサマー・マーサ」にも登場)。しかし、ドラマシリーズでは3期まで全8エピソードに露伴の相棒として登場し、神経質な露伴とどこかトボけた京香の掛け合いが人気を博した。京香がシリーズを通じて登場することになった経緯について、小林と渡辺監督は以下のように語る。

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 「京香に関しては1期からレギュラーで出そうというのは決めていました。荒木先生から“うざい”ところはなくさないでほしいというリクエストがあったので、1期の1話『富豪村』の時からそこは変えていません」(小林)、「京香はドラマを通して最も膨らんだキャラクターで、実写化においてはなくてはならない存在。露伴との間にラブはないんだけど、もしかしたら父性的な部分を感じているところが少しあるのかもしれない」(渡辺監督)

オークション会場に向かう京香と露伴

 小林いわく、露伴&京香コンビの肝は「どこまで行っても変わらないところ」。「どんなに長い付き合いになっても、何となくお互いの癖なんかはわかってきてはいるんでしょうけど、だからといって距離を詰めていく関係でもない。そこがいいと思うんですよね。ドラマが1話完結だったこともあり、縦軸で人間関係が変わっていく構成ではなかったので、いろんなことが起きる中で二人のスタンスは変わらない方がいいかなと思っています」

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 作品のリアリティーを追求する露伴はこれまで「見てはいけない、触れてはいけない領域」に首を突っ込んでは死のリスクも伴う窮地に追い込まれてきたが、京香は同じモノを見ても無傷で露伴を“感心”させることもあった。ある意味で互いにないものを補い合っているのかと思いきや、小林は「そういう意識はおそらくないでしょうね。結果的にそうなることがあったとしても、お互いが、事件が起きた時に“この人がいないと”というような関係にはなっていないと思います。露伴はおそらく京香がいなくても変わらないんでしょうけど、京香がいてくれるおかげで彼の人となりが視聴者にわかりやすく伝えられているのではないかと思いますし、露伴も少しはコミュニケーション能力を持っているのかなと感じられるのではないかと」と話す。一方、渡辺監督は「露伴にとっては、京香は動じない強さや鈍感力を持つ異質な存在で、自分の想像を超えたところにいる。だから局面局面では、彼のイメージの基になるようなミューズ的な存在にもなっているんじゃないかなと思いました」と解釈する。

~以下、映画のネタバレを含みます~

パリのカフェで

 映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』では、露伴が「この世で最も黒い絵」の謎を追ってパリ・ルーヴル美術館へ赴き、京香も密着取材と称して旅に同行する。ここで二人はいまだかつてない危機にさらされることになるが、だからといって二人の絆を劇的に盛り上げようとすることはない。「京香の方は最初から露伴との距離を詰めようとしているんですけど一方通行のまま。変に馴れ馴れしくならず、それは映画でも変わっていないところですね。だからドラマを観てくれている方々には“いつもの二人だな”と感じていただけるのではないかと」(小林)
 
 ところで、映画では露伴と同様、初めて京香の過去に触れる描写があるが、渡辺監督いわくこれはドラマ1期の「富豪村」から引き継がれたものだという。

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 「『富豪村』で京香がヘブンズ・ドアーをかけられて本になるシーンがあるんですけど、その中身(原稿)を助監督さんに作ってもらったんです。そこには彼女の生い立ちや趣味、仕事への姿勢などが詳細に書かれていて、ドラマではアップでは映っていないんですけど、今回はその設定の一部を生かそうと。映画では露伴の過去に焦点が当てられていますが、明るくてちょっと空気の読めない京香にもいろいろな歴史があって、こういう性格になったんだと。そういう意味では京香も重層的なキャラクターになっていると思います」(渡辺監督)

 露伴と京香と言えば、露伴が京香を締め出すシーンが“お約束”として親しまれているが、もちろん映画でも健在。話が進むにつれ、ある時は露伴が京香の何も入らなそうなバッグに興味を示したり、ある時は露伴が京香の手をつかんで腕伝いにバッグを渡したり、ゆっくり扉を閉じてみたりと変化があったが、映画ではどんなシチュエーションが用意されているのか。(編集部・石井百合子)

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