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有村架純「どうする家康」築山殿事件で気持ちがうごめいた瞬間 木彫りの兎がカギ

第25回「はるかに遠い夢」より家康(松本潤)と瀬名(有村架純)
第25回「はるかに遠い夢」より家康(松本潤)と瀬名(有村架純) - (C)NHK

 大河ドラマ「どうする家康」(毎週日曜、NHK総合夜8時~ほか)で松本潤演じる主人公・徳川家康の正室・瀬名を好演した有村架純。7月2日放送の第25回では、その瀬名と息子・信康(細田佳央太)を巡る歴史的な悲劇「築山殿事件」が描かれた。有村が本エピソードの裏側や、30歳の節目で初めての大河ドラマ出演を果たした心境を語った(※ネタバレあり。第25回の詳細に触れています)。

【画像】築山殿事件、涙の名場面集

~以下、ネタバレを含みます~

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 本作は、のちに戦国の乱世に終止符を打ち江戸幕府初代征夷大将軍となった徳川家康を、「コンフィデンスマンJP」シリーズなどの古沢良太が等身大に描く物語。第25回「はるかに遠い夢」では“築山殿事件”の行く末が描かれた。歴史上では、瀬名と信康が武田勝頼と通じたことで引き起こされた事件として知られるが、本作では戦のない世を願う瀬名の企みとして展開した。瀬名の企みとは、武田、徳川、織田、北条、上杉、伊達らがあらゆる事柄を話し合いで決めていき、“慈愛の心で結びついた国”を創るという途方もない夢。一度は敵方・武田の賛同も得て成功するかに見えたが、最終的には勝頼(眞栄田郷敦)の裏切りにより失敗。瀬名、信康いずれも自害する道を選んだ。

 第25回の台本を読んだ際に涙が出たという有村。早い段階で準備稿を渡されながらも瀬名の最期を知ってしまうと芝居がしづらくなるため、細部に目を通すのは直前だったという。「瀬名が覚悟をもって企てる第23回の終わりから第25回までの流れで気持ちを積み上げていき、どういうラストを迎えるのかなと思っていたのですが、“本当”の瀬名に思いをはせながら読んだ時にグッとくるものがあって。家康さんと過ごした日々、史料に残っていない瀬名の本当の気持ちはどういうものだったんだろうと考えているうちに、きっと、瀬名の精一杯の殿に対する想いというのが本当だったのかなと思いました」

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家康に木彫りの兎を託す瀬名

 家康との“別れ”のシーンでは、第17回「三方ヶ原合戦」で家康から託された木彫りの兎を、今度は瀬名が渡す場面があった。本作では家康が弱い兎、信長が強い狼に例えられてきたが、瀬名は「兎は強うございます。狼よりずっと強うございます」と言い残す。有村は第17回の別れを振り返りながら、この言葉にこそ、瀬名が自害を選んだ真意が秘められていると語る。

 「第17回で殿が“わしの弱い心”として瀬名に木彫りの兎を預けましたが、初めは“瀬名が家康の手を握って指に口づけをする”という描写を予定していたんです。でも、わたしとしては覚悟して戦いに向かう殿に、かつての弱い殿とは別の姿を見たと感じられたので、もうそのおまじないはしなくていいんじゃないかと思って、最終的には殿は背中で語り、わたしは背中を受け止めるというシーンになりました。最後、どうして瀬名が自害をすることを決めたのかというと、そんな殿の背中を見てきたからというのもあると思います。もしも殿を置いて死ねないと感じていたら迷いが生まれていたと思いますが、今の殿だったら大丈夫だと。“兎は狼よりも強い”という言葉にはそんな気持ちを込めました。そこでは自然と涙がこぼれて、今まで見てきた殿、立派になった殿、信じていますという想いなど、殿に対する想いがセリフの中でうごめいた瞬間でした」

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 約半年にわたって演じた瀬名から、人としての学びもあった。「穏やかでいることの強さ。瀬名を見て、本当の強さとは穏やかでいることなのかなと思いました。きっと怒りたい時に怒ったり、強くなろうとしてなったりすることももちろん大事だけど、目の前にある状況や、どんなことがあっても穏やかであろうとする心が強いというか。わたしはまだそこまで至っていないので、演じながらいつもすごいなあと思っていました」

 家康役の松本潤とは、ドラマ「失恋ショコラティエ」(2014)で兄妹役、映画『ナラタージュ』(2017)で教師と生徒役で共演。本作で3度目の共演となるが、妻役として背中を見続けてきた立場として、松本演じる家康の魅力を「これまでの大河ドラマで、こんなにも感情豊かな武将は見たことがない」と評する。

 「泣く時はものすごく泣きますし、嬉しそうな時はすごく嬉しそうですし、何かごまかしたい時はダダ漏れしている素直さ(笑)。人として愛おしいキャラクターに、松本さんがしっかり落とし込んで演じられていて。こんなに素直な家康は見たことがないですし、すごく魅力的だと思いました」

 25回後、多くの視聴者が“瀬名ロス”に陥ることが予想されるが、それは松本をはじめ共演者も同様のようだ。「この先、瀬名がいなくなってからの殿がどう変化していくのかっていうのはわたし自身も楽しみですが、松本さんが瀬名との別れのシーンを撮ってから力が入らないということをおっしゃっていて。抜け殻みたいな感じなんだよねと(笑)。ある意味で家康さんにとってこれが一つの節目となり、これから次の章が始まっていくのだと思うのですが、わたしが卒業した後に松本さんがどんなふうに現場に立たれて取り組まれているのか、気になっています。皆さん、殿と共に立ち上がって平和な世を目指してほしいです」

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 初の大河ドラマを終えて「あらためて時代劇は難しいことの連続」だったと述懐する有村。「どれだけ自分のたたずまいで説得力を持たせられるか、重みを持たせられるか、ということに、わたしにはまだ足りないものがあると周りの役者さんを見ても感じましたし、本当に毎日勉強の連続でした。古沢良太さんが“瀬名は(感覚が)現代人に近いかもしれない”とおっしゃっていましたが、戦国時代と現代を結ぶ役割を担わせていただいているのかなとわたしは解釈をしていて、どこまで重みを持たせるのか、どこまで少し軽やかに見せるのかというバランスが自分の中での課題になっていました。それを毎回探って瀬名という役に向き合わせていただいたのですが、これほど全てを受け止める縁の下の力持ちのような女性、今まで演じてきたものとはまた違った役に出会えたという実感がありつつ、30歳という節目で大河ドラマに初めて出演できたことは、今後振り返った時に必ず思い出すであろう作品になったかなと思います」

 実り多き大河の撮影を、清々しい表情で振り返っていた。(編集部・石井百合子)

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