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刺激強め!松坂桃李に沼る映画7選

松坂桃李に沼っちゃう?
松坂桃李に沼っちゃう? - Sports Nippon / Getty Images

 日曜劇場「VIVANT」に満を持して登場、ダークヒーローぶりが反響を呼んでいる松坂桃李。公開中の映画『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~』ではしんのすけと対峙する非理谷充の声を熱演。週間グローバルTOP10入りを果たしたNetflixシリーズ「離婚しようよ」ではポンコツ2世議員に。どんな役柄も幅広く請け負い、私たちを時にほっこり、時にヒリヒリさせてくれる。今回は出演作の中でも名刺代わりの代表作7本を紹介する。(文 ・高山亜紀)

【画像】「VIVANT」についに登場した松坂桃李

『流浪の月』(2022)

 本屋大賞受賞の凪良ゆうの小説を映画化。被害女児と誘拐犯にされた2人が15年後に再会、世間に許されずとも2人だけの愛を紡ぐ物語。10歳時と大人になった更紗を白鳥玉季広瀬すずが2人1役で演じるのに対し、大学生の文とその後を1人で演じ、空白の時間を埋める役割を果たすのが松坂。公開時、8キロ減量がニュースになったが、欲も希望も感情も何もかもを削ぎ落とし、枯れ切った文の姿には崇高さすら漂う。誰とも違う体質に苦しむ文をよくぞ実体化したものだ。静の松坂と動の広瀬は好タッグ。『いのちの停車場』(2021)でも共演。

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『空白』(2021)

 万引き未遂事件が元で交通事故死した中学生の少女をめぐり、モンスター化した娘の父親が事故のきっかけを作ったスーパーの店主を追い込んでいくヒューマンドラマ。何が正義なのか。誰が被害者で、誰が加害者なのか。強面の古田新太演じる父親に脅かされ、寺島しのぶふんするパートのおばちゃんに迫られ、立ちすくむしかない小市民代表のような松坂による店長に同情するばかり。古田×松坂コンビは前述の「離婚しようよ」とはまるで違うテンション。映画『パディントン』シリーズの吹替でも共演(パディントンとブラウンさん)している意外性も。

『あの頃。』(2020)

 劔樹人のエッセイを基にした、ハロプロオタクたちの青春群像劇。生きているのに死んでいるようなどん底生活から、あややの姿で覚醒する主人公の実にリアルな表情。アニメやゲームが好きで自らもオタク体質である松坂氏の細胞レベルでの役作りに脱帽する。仲野太賀山中崇若葉竜也とオタ活仲間が演技派揃いで、それぞれのその後を想像してしまうエンディングの余韻がまたいい。オタクへのリスペクトと愛がダダ漏れている松坂は、ドラマ「あのときキスしておけば」でもいい演技を見せている。

『蜜蜂と遠雷』(2019)

 映画化不可と言われた直木賞と本屋大賞を史上初ダブル受賞した恩田陸の長編小説が原作。ピアノコンクールに挑む若き天才ピアニストたちの苦悩と葛藤を描く。風変わりな天才たちに囲まれ、唯一、誰よりも冷静で普通寄り、年齢のために最後のチャンスとなるコンクールに臨む妻子ある楽器店勤務のピアニストを演じた松坂。“生活者の音楽”を信条とする彼が奏でる、松坂自身の穏やかな性格が滲み出てくるような音楽に魅せられる。ピアノを触ったこともなかった松坂が、1日3時間、約1か月の猛特訓で挑んだ演奏シーンに加え、幼い子供を愛でる柔らかな表情が秀逸。

『新聞記者』(2019)

 東京新聞の記者・望月衣塑子の著書が原案の本作は、実在の事件を匂わせ、フィクションか現実かが大いに話題になった。チャレンジングな作品にも躊躇なく出演するところに松坂の株が上がり続ける理由がある。ここでは理想と現実に揺れ動く若きエリート官僚役。目前の家族の幸せか、国の将来か。松坂の持ち味である青い炎のような冷静且つ燃え続ける演技が炸裂している。本作で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を獲得した松坂は前年、『孤狼の血』で最優秀助演男優賞を受賞しており、2年連続の快挙。

『孤狼の血』(2017)

 広島の架空の都市を舞台に警察と暴力団の抗争を描いた物語は現代版『仁義なき戦い』と評価され、大ヒット。役所広司のヤクザまがいのベテラン刑事にオタオタしながらも食らいついく松坂による新米刑事の日岡はドロドロに濃厚な空気の中、一服の清涼剤。その日岡が3年後、大変身を果たす『孤狼の血 LEVEL2』(2021)もまた快作。前作はフリだったのか。シリーズ3作目に期待が高まるばかりだ。そして白石和彌監督作品は、ここでしか見られない松坂のオンパレード。『彼女がその名を知らない鳥たち』(2017)のクズ男も衝撃的。

『娼年』(2017)

 石田衣良の小説を舞台にした演出・三浦大輔×主演・松坂コンビが映像で再タッグ。「ここまでやるのか!」と圧倒されるR18+作だ。何せ松坂が劇中、ほとんど服を着ていない。性描写に妥協のない『愛の渦』(2014)の三浦監督と躊躇わない松坂だからこそ生まれた出物だ。娼夫となった大学生リョウが、様々な女性たちをセックスによって癒していくストーリーだが、脱ぐ女性たちの誰より断然、エロティックな松坂の体当たり演技。誰にでもどんな要求にも真摯な態度で真正面から取り組む姿に骨抜きになる。江波杏子との濡れ場は『ピアニスト』(2001)のイザベル・ユペールブノワ・マジメルのように映画史に残したい艶かしさすら。

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