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「大奥」村雨辰剛、自身を重ねた青沼役 予想していなかったくらい感情があふれたシーンも

村雨辰剛演じる青沼
村雨辰剛演じる青沼 - (C)NHK

 よしながふみの同名漫画を実写化するNHKドラマ「大奥」シーズン2(NHK総合・毎週火曜午後10時~10時45分)で蘭学者の青沼を演じる村雨辰剛が、自身の体験を重ねながら演じた同役についての思いや、「心臓がバクバクしていた」という17日放送・第13回の撮影を振り返った(※ネタバレあり。第13回の詳細に触れています)。

【画像】青沼・源内・意次に理不尽な暴力が…第13回場面写真

 シーズン2の前半「医療編」の舞台は、8代将軍・徳川吉宗(冨永愛)の死よりおよそ20年後。彼女の遺志を引き継いだ若き医師たちは、理不尽な権力・悪にも抗いながら謎の疫病、赤面疱瘡を撲滅すべく奔走していく。第13回では、本草学者・平賀源内(鈴木杏)が赤面疱瘡の治療法を「人痘接種」と名付け、青沼(村雨)たちは大奥内で接種を望む者を募る。実績を増やし、徐々に大奥内での評判を広めようと試みるが、未曽有の治療への理解は思うように得られず、青沼への反発も膨らむ一方。そして、意次(松下奈緒)も源内や青沼を引き入れた責任を擦(なす)り付けられ、懸命に歩んできた者たちを理不尽な暴力が襲った。

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 青沼は、オランダ人と丸山遊女の間に生まれ、長崎で育った設定。大通詞であり蘭方医の吉雄耕牛に師事する。思慮深く実直な蘭方医。蘭語や蘭学に精通していることから源内に見込まれ、御右筆として大奥入りした。青沼は幼いころから出自に対する差別を受け、大奥入りした当初も腫れ物に触るような扱いを受けてきたが、村雨はそんな青沼に「ほとんどの人が外国人を見たことがなかった時代。当時の日本人からすれば、“鬼”を見るような感覚だったでしょうし、差別もあっただろうと思います。青沼が当時の日本で生きていくには、強じんな精神、逆境の中で生きていくだめの洞察力が必要だったでしょうし、周囲に対しても、すごく敏感な人だったのかなと想像して演じました」と想像を巡らせる。

 青沼に自身と重ねながら役をつくっていったという村雨。「青沼に比べたら大したことなかったなとは思いますが、自分の経験も思い返しながら演じました。昔、周りの目を気にしてしまっていたことや、ネガティブな気持ちになったこと。青沼も長崎や大奥に来たばかりの頃はきっとこんな気持ちだったのかなと想像しました。そして、ネガティブな面だけではなく、ポジティブな面もそうです。周囲の人と容姿が違っていても、受け入れて貰えた時は本当に嬉しいし、落ち込むこともあるけれど、その何倍も嬉しいことがある。今作でもそういう描写があったので、自分自身とも重ね合わせながら役をつくることができました」と振り返る。

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 青沼が大奥入りしたのは、源内から誘いを受けたことがきっかけ。好奇心旺盛で無鉄砲な源内を演じる鈴木杏には大いに刺激を受けたようで、村雨は青沼と源内の関係をこう語る。

 「源内は色々な面を持っている人。勢いがあったり、コミカルな面もあったり、怒る時は怒って感情的になる時もある。源内を演じられた鈴木杏さんご自身も、役者としての引き出しが凄い方だなと思っていて、ご一緒出来てすごく勉強になりました。源内の第一印象は、青沼的には「何だ、こいつは」という感じだったと思いますが、仲良くなるにつれて、源内は青沼のポテンシャルを引き出してくれるし、互いに支え合っていくような関係性に変化していったと解釈しています。源内との出会いがなければ、青沼は長崎の狭い世界にとどまったまま。知識量もポテンシャルもあるはずなのに、生かしきれなかっただろうなと。それを自由に解放してくれたのが、源内だったのかなと思っています。多くの人が青沼に対して偏見を持つ中、源内は青沼を一人の人として向き合ってくれる。青沼にとっては欠かせない、パートナーのような存在かなと思っています」

~以下、第13回のネタバレを含みます~

 また、右筆助となり青沼の補佐する黒木(玉置玲央)、もとは呉服の間の御針子で青沼が教える蘭学の講義へ顔を出すようになる伊兵衛(岡本圭人)とのにぎやかな掛け合いは、ネット上では「男子校のようなノリ」だと反響を呼んだ。

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 「身分やヒエラルキーが絶対な世界なのに、講義部屋の中だけは、そういう厳しい縛りから解き放たれるような感じがあって。身分関係なく、フランクに皆が仲間になる感覚は、大奥の通常の空気とはギャップがあるし、素敵だなと思っていました。そんな講義部屋で育まれた黒木さん、伊兵衛さん、青沼の3人の関係姓も良いですよね。黒木さんは、最初は冷たくて嫌な感じ、感情を押し殺して生きているようだったのが、青沼と出会って講義部屋で時間を共にするうちに、彼がどんどん人間らしく変化していく。伊兵衛さんは当時には珍しく、相手が誰であろうと言いたいことを言える面があったり、『俺はどうなってもいい』と先陣をきって皆をひっぱってくれるところもあったり。3人のバランスも良いし、関係性がすごく素敵だなと思いながら演じていました」

 13回では、青沼が死罪を言い渡される理不尽な展開となるが、村雨は本シーンの撮影を「末永創監督からもご指導頂きながら撮影しましたが、自分が感情的になっていて自分を客観的に見られなくなるので、監督から指摘して貰えるのは有り難かったです。まだ教え子たちに伝えたいこともあるけれど、話せる時間は僅かしかない。慌てながらも、自分の思いをしっかり伝えるというのは結構難しくて。僕も予想していなかったくらい感情があふれて、撮影しながら心臓がバクバクしていました」と述懐。

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 志半ばで倒れた青沼の気持ちを「もちろん悔しかったと思います。若いですし、やり残したことも沢山ある。もっと生きたい、世のために働きたい、役に立ちたい、ありがとうって言われたいという気持ちはあったでしょう」と想像しつつ、「でも、彼が何より先に思い浮かべたのは、教え子たちのことだったのかなと想像しました。次世代に残したい自分の知識や技術を受け継いでいる教え子達は、これからも大奥の外で生き続けてくれる。皆が死刑になってもおかしくない時代だったと思うので、『私だけでよかったんです』というセリフもあるように、教え子達の命が奪われずに済むことにほっとする気持ちの方が大きかったのかなと思いました」と、青沼の志を受け継ぐ教え子たちに思いを馳せる。

 特に印象に残っているシーンとしては、長崎から大奥へ旅立つ前のシーンを挙げ「いくつかあるのですが、まずは長崎から大奥へ旅立つ前に、耕牛先生とお別れするシーン。庭師の修行をしていた自分が、親方とお別れした時に似ていたということもあり、印象的でした。6年ほど親方のもとで修業して、その後上京したのですが、僕の親方も最初はどちらかというと上京せずに修行を続けて欲しいと思ってくれていて。お別れする時、親方が泣いてくれた時のことを思い出しました」と庭師の親方とのエピソードを紹介。そのほか、「あとは、先程お話しした死罪を言い渡されるシーンもそうですし、源内さんの死が近いことに青沼が気付くシーンも心に残っています。当時は絶対治せない病にかかっているということに気が付いて、それを源内さんに伝えなければならないという。青沼の心もぐちゃぐちゃだったと思います」と悲劇的なシーンを振り返っていた。(編集部・石井百合子)

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