パク・ヒョンシク×パク・シネ！現代人の心に刺さるドラマ「ドクタースランプ」の魅力とは？
話題作の配信が続くNetflixの韓国ドラマ。その中でも、1月28日から配信されている「ドクタースランプ」は週間グローバルトップ10（1月29日～2月4日）のテレビ・非英語部門で1位を獲得するなど人気だ。日本国内でも好調な同作、何が注目を集めているのだろうか。（文・前田かおり）※本文には一部内容に触れる部分があります。
「ドクタースランプ」とは？
高校時代のライバル同士でそれぞれ医師の道に進んだ2人の男女が、人生の崖っぷちで再会したことから始まる恋と成長を描くラブコメディー。主演を務めるのは、「花郎 〈ファラン〉」や「力の強い女 ト・ボンスン」などで知られるパク・ヒョンシクと、「美男（イケメン）ですね」や、「ピノキオ」など数々のラブコメディーで活躍してきたパク・シネ。
パク・シネは出産後初の復帰作で、パク・ヒョンシクとは「相続者たち」以来、約10年ぶりの共演ということでも注目のドラマだ。脚本は「キム秘書はいったい、なぜ？」のペク・ソヌ、演出を「その男の記憶法」「恋のゴールドメダル ～僕が恋したキム・ボクジュ～」のオ・ヒョンジョンが手掛けている。
あらすじは？
ソウルの高校で全国一位の成績を収める秀才＆イケメンで人気者だったヨ・ジョンウ（パク・ヒョンシク）。だが、釜山から同率1位の美少女ナム・ハヌル（パク・シネ）が転校してきたことで、トップの座をめぐって2人は激しく競い合うことになる。それから十数年後、ジョンウは韓国最高峰の医大を経て、人気美容整形外科医になっていた。だが、医療事故が一大スキャンダルとなり、名声は地に堕ち、莫大な借金を抱えることになってしまう。
一方、ハヌルは大学病院の麻酔科医になり、相変わらず努力を惜しまず仕事をしていたが、担当教授のパワハラに耐えに耐えた挙げ句、ブチ切れて退職。燃え尽き症候群になった彼女は、うつ病と診断されてしまう。そんな最悪な状況の中、ハヌルが家族と住む自宅ビルの屋根部屋に、ジョンウが越してきたことで再会した2人は、やがて互いの存在に癒やしを感じるようになる。
ロマコメ得意の2人が魅せる等身大のヒーリングドラマ
主演カップルをロマコメ達者な2人が演じていることで話題の本作。パク・ヒョンシクは、ボーイズグループの一員としてデビューした後、俳優としては高視聴率を記録したドラマ「家族なのにどうして ～ボクらの恋日記～」で注目される。その後、パク・ソジュンと共演した「花郎 〈ファラン〉」で初の時代劇に挑戦し、「力の強い女 ト・ボンスン」で本格的なラブコメディーを大ヒットさせて人気を確立。日本でもリメイクされた米ドラマの韓国版「SUITS／スーツ」ではチャン・ドンゴンと共演するなど着々とキャリアを積んできた。
軍除隊後は比較的シリアスな役どころが続いていたが、この「ドクタースランプ」では久しぶりにコミカルな役どころで楽しませてくれる。特に、高校時代、転校生のハヌルが現れるやいなや、対抗心を燃やしてムキになったジョンウのドタバタぶりなど第1話から振り切った演技で爆笑を誘い、新境地も覗かせている。もちろん端正な顔立ちのヒョンシクが演じるロマンス演技は健在だ。共演のパク・シネとのやり取りが軽妙なだけに、2人の関係の変化が楽しみになってくる。
一方、子役出身のパク・シネは、日本でも大ヒットした「天国の階段」でチェ・ジウ演じるヒロインの子ども時代を演じ、さらに、日本でチャン・グンソクブームを呼ぶことになった「美男（イケメン）ですね」で男装女子を演じて、一躍人気に。その後、ヒョンシクも出演していた「相続者たち」や、イ・ジョンソクと共演の「ピノキオ」、ヒョンビンと共演の「アルハンブラ宮殿の思い出」など多数の話題作に出演。ラブコメには欠かせない女優として活躍してきた。
プライベートでは、2022年に「だから俺はアンチと結婚した」などのチェ・テジュンと結婚、一児の母になり、本作が復帰作になった。演じているハヌルは子供の頃から勉強が好きで成績も良く、やがて周囲の期待に応えるために1分1秒も惜しんでがむしゃらに勉強するようになったガリ勉娘。トイレに行く間も惜しいからと水分は取らず、粉末コーヒーをそのまま口に入れたり、体力は落としたくないからとフラフープをしながら参考書を読んでみたり。真面目だからこその滑稽さを好演している。
ドラマは、全国一位の成績を競い合った同士が、共に人生のスランプに陥る。同じように挫折を味わった2人が互いの痛みを分かち合い支え合い、どうやってどん底から這い上がっていくのか、そして2人の間に芽生える恋の行方が見どころになっていく。
にぎやかな家族をはじめ、韓国ドラマお馴染みの脇役たちが集結
脇を固める顔ぶれも個性的だ。母親を演じているのは、『パラサイト 半地下の家族』でソン・ガンホ演じる主人公の妻や、「愛の不時着」のソン・ダンの母親で北朝鮮デパートの女社長などで知られるチャン・ヘジン。ロングヘアーが特徴的な人のいい叔父には「京城クリーチャー」での怪演も記憶に新しい名脇役としてお馴染みのヒョン・ボンシク、そして無職なくせに態度はデカい弟を「シュルプ」のムアン大君役で注目された新人俳優のユン・サンヒョンがふんしている。
ほかにも、ジョンウの大学の同期で、いつもジョンウに出し抜かれてばかりの美容整形外科医デヨンを演じるのは、「気象庁の人々：社内恋愛は予測不能?!」でヒロインを裏切る婚約者を演じていたユン・パク（ヒョンシクとは、「家族なのにどうして」でも共演）。ハヌルの親友で産科麻酔医のホンランを、「今日もあなたに太陽を ～精神科ナースのダイアリー～」で精神科医を演じていたコン・ソンハが、うつ病になったハヌルの主治医を「無人島のディーバ」で極悪非道な父親を演じたばかりのイ・スンジュンが担当している。
また第6話には、「浪漫ドクター キム・サブ」のS2、S3でヒロイン、チャ・ウンジェ役で知られるイ・ソンギョンが2人の同級生役として特別出演し、制服姿も披露している。
心和むロケーションも魅力
かつての同級生が、傷ついた心を癒すという設定は、「サムダルリへようこそ」と似たテイストで、本作もヒーリング効果抜群。またドラマ前半には、束草（ソクチョ）の海辺や、昔懐かしい雰囲気が漂う花本（ファボン）を訪れるシーンがあり、旅気分も味合わせてくれる。加えて、ジョンウが住む屋根部屋がある建物の屋上から見るソウルの景色も心和むシーンになっている。今後、どんなロケーションが出てくるのかも楽しみにしたい。
