「べらぼう」仲良しの横浜流星&中村隼人、現場でも「めちゃくちゃバディ!」 演出・深川貴志が見た絆

大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合・日曜午後8時~ほか)の第7回「好機到来『籬(まがき)の花』」が16日に放送される。この回の演出を担当した深川貴志が、前6回で関係の変化が見られた横浜流星演じる“蔦重”こと蔦屋重三郎と、視聴者の間で“カモ平”と呼ばれ親しまれる長谷川平蔵宣以(中村隼人)の関係や撮影中の二人の様子について語った。
【画像】カモ平、イイこと言って“キマッた…!”の瞬間 第6回
「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」は、吉原の貸本屋から身を興し、書籍の編集、出版でヒットを連発して、のちに東洲斎写楽や喜多川歌麿を発掘する“江戸のメディア王”蔦屋重三郎の生涯を描く大河ドラマ第64作。連続テレビ小説「ごちそうさん」(2013)や大河ドラマ「おんな城主 直虎」(2017)などの森下佳子が脚本を手掛け、NHKドラマ初出演の横浜が主演を務める。
中村は、青年時代に遊里で放蕩(ほうとう)の限りを尽くし、のちに老中・松平定信のもとで「火付盗賊改方」を務めて凶悪盗賊団の取り締まりに尽力する平蔵を演じる。序盤では、蔦重が吉原を救うために花の井(小芝風花)にぞっこんの平蔵を利用する(カモる)展開もあった。すがすがしいまでにカモられることから視聴者の間では“カモ平”のあだ名をつけられ人気を博していたが、6回から7回にかけて二人の関係に変化が見られる。
NHK総合で放送されているトーク番組「土スタ」に横浜が出演した際に、横浜本人も蔦重と平蔵の関係に言及し、“当初は平蔵と蔦重はバディで、のちにライバル関係になるみたいなふうに聞いてたんですけど、どうやらもうすでに違うので(中略)あとで(スタッフに)聞こうと思います”と話していたが、深川に真相を尋ねると「二人の変化は森下さんの台本によるところが大きい」との答え。
「変化ということで言うと、平蔵は、蔦重を積極的に元気付けようとか、そういうことは思っていないと思うんです。ありのままに接しているだけ。でも、蔦重はそんな平蔵からエネルギーをもらっています。その関係は、これからどうなるかはまだわかりません。でも、とても対等な関係性だとは思います。(平蔵が)武士だから偉いとかではなくて、武士、町人という違いを感じさせない、対等な関係というのが二人の間に見え始めてきていると思うんです」と自身の見解を述べる。
横浜の「平蔵=バディ」発言についても「制作統括が横浜さんとどういう話をしていたかの前提を存じ上げないのですが、ある意味バディのようにも見える関係だと思います。蔦重さんがよく一緒にいるのは次郎兵衛(中村蒼)さん。でもあの二人はバディという感じではない。蔦重が本を一緒に作っていくのは誰かと考えると、鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)ではないか。蔦重が人として支え合うのは、花の井がそうかもしれません。でも、6回あたりでの平蔵との関わりを見ると、やっぱり平蔵がバディかなと思ったりもします。蔦重と平蔵の関係がどうなるか、僕もまだわかりませんが、バディになっていったら面白いなと思います」と話す。
横浜と中村は、2023年に上演された舞台「巌流島」で、宮本武蔵(横浜)、佐々木小次郎(中村)として共演。以降、横浜が中村の舞台を観に行くなど、プライベートでも仲が良い。深川もそれをよく知っていて、「もともとすごく仲が良くて、今回も、僕が撮影に入る前から、この作品での演技について二人で相談しあったりしているようです。6回の最後のシーンも話し合ったりしていたみたいですし……」と撮影現場での二人の様子を振り返る。
深川は「ドライ(カメラなしのリハーサル)の時からとてもいい空気感で接していたのを見ていました。一方で、平蔵が真面目な好青年になりすぎているんじゃないかという不安もあったりして、その辺りも交えて、中村さんと話し合いました」と撮影を回顧し、「平蔵がどんな人なのかを話し合って、『ちょっと平蔵らしさを高めよう』とお話しさせていただきました。平蔵が蔦重を愛しすぎて寄り添いすぎているように感じたので、ちょっと引いてもらったんです」と中村とのやりとりも紹介する。
「瞬発力が良くて、いろいろと試してくださる」と、深川は中村の役者としてのチャレンジ精神を高く評価し、そんな中村と横浜の様子について「『今のはどう見えるかな』って中村さんが言うと、横浜さんが『僕はこういう印象を受けるよ』というやりとりをしていたりするんです。撮影中も二人ですごく演技を高め合っている感じがして、そういう意味では、二人はめちゃくちゃバディでしたね。役柄でもそうだし、現場での高めあい方を見て(俳優としてもバディのようだと)そう感じました」と話していた。(取材・文:名鹿祥史)


