「べらぼう」寺田心の成長に演出・深川貴志、感動…「8年前は膝に乗っていたのに…」

横浜流星主演の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合・日曜午後8時~ほか)で田安賢丸(のちの松平定信)を演じる寺田心。寺田にとって本作は「おんな城主 直虎」(2017)以来、8年ぶりの大河ドラマ出演となるが、本作のほか「おんな城主 直虎」や連続テレビ小説「らんまん」(2023)などで撮影を共にした深川貴志が、寺田の成長について語った。
「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」は、喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝、滝沢馬琴、東洲斎写楽らを世に送り出し、“江戸のメディア王”として時代の寵児になった、蔦屋重三郎の生涯を描く大河ドラマ第64作。連続テレビ小説「ごちそうさん」(2013)や大河ドラマ「おんな城主 直虎」などの森下佳子が脚本を手掛け、NHKドラマ初出演の横浜が主人公の“蔦重”こと蔦屋重三郎を演じる。

寺田演じる賢丸は、1月12日放送の第2回から登場。寺田にとって、8年ぶりの大河出演となる。前作「おんな城主 直虎」では井伊直政(菅田将暉)の幼少期・虎松を演じ、当時は8歳だった。寺田の成長や印象について問われると、深川は感慨深げに「『おんな城主 直虎』でご一緒していたんですけど、その頃は心くんを抱っこしたりもしていたんです。ご本人に話したら覚えていないっておっしゃっていましたけど(笑)」と「おんな城主」から8年を経た寺田の印象を語る。
また深川は膝を叩き「ここに乗ったりもしていたんです」と、当時の寺田を思い返しながら「やっぱり8年過ぎて、身体が大きくなり本当に成長しているので(笑)」とにっこり。「当時は可愛いお芝居だと感じていましたが今回ご一緒して、こんなに繊細さを表現できる役者さんなんだと勝手にジーンとしています」と寺田の成長に目を細める。
寺田が演じる賢丸については「兄が病弱だったため、賢丸が将軍後継者となる可能性もあったと思うんですけど、もちろん兄の下であることは絶対。その中で賢丸は爪を研いでいて、文武ともに立派な青年だったと言われている。それをしっかり心くんが表現してくれていると思っています」と感想を述べる。
また深川は、複雑な境遇の中で成長する賢丸を演じる寺田について「寺田さんが演じられることで不安定になっていく様子を表現できていると思います。幹ではない枝のようなしなやかさというか、それをご本人が意識されているかはわかりませんが、どんと構えるではなく、風でしなってしまうような、若い賢丸というものをすごくうまくやってくださっているなと思いました」とその演技力を評価している。
その上で白河藩への養子入りを田沼意次(渡辺謙)に強行された際の賢丸の心中を見事に演じた寺田について「本当は田沼のことが憎いんでしょうけど、今はすごくか弱くて、兄が亡くなって心細い中、立ち向かいたいけどできないという葛藤がきちんと見られた。田沼に偽文書を見せられた時の心の揺れ動きの表現は特に素晴らしかったと思います。繊細さを表現できる貴重な俳優さんだなと思います」と成長を実感している様子だった。(取材・文:名鹿祥史)