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『溺れるナイフ』から9年 重岡大毅&上白石萌音、夫婦役で阿吽の呼吸「この人についていこう」

9年ぶりの共演で夫婦役!重岡大毅&上白石萌音
9年ぶりの共演で夫婦役!重岡大毅&上白石萌音

 読み書きができないまま大人になり定年退職してから字を習い始めた夫と、それを支える妻の優しい愛を描く映画『35年目のラブレター』で、主人公・西畑保(笑福亭鶴瓶)とその妻・皎子(きょうこ・原田知世)の若かりし頃を演じた重岡大毅WEST.)&上白石萌音。役柄上だけでなく、共演経験もあって息もぴったりな二人が、役づくりや思い出に残る手紙について語った。(取材・文:浅見祥子、写真:杉映貴子)

【画像】重岡大毅&上白石萌音、ほっこり2S!撮り下ろしカット

 本作は、最愛の妻へラブレターで感謝を伝えるために、定年退職してから夜間中学に通って字を習った男の奮闘を描いたヒューマンドラマ。ドキュメンタリー番組がつくられ、創作落語にもなった実話をもとに、『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』『今日も嫌がらせ弁当』の塚本連平監督が映画化した。

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「笑った顔がちょっと似ていた」

(C) 2025「35年目のラブレター」製作委員会

Q:オファーを受けたときの心境は?

重岡大毅(以降、重岡):びっくりしました、鶴瓶さんや! と思って(笑)。なんどか共演させていただいたこともあり、シンプルに鶴瓶さんのことが好きだったので嬉しくて。鶴瓶さんって、なんやろな……鶴瓶さんじゃないですか。

上白石萌音(以降、上白石):そうですね、唯一無二の存在で。

重岡:みなさん、大好きですよね。テレビで観ても直接お会いしても同じ、誰もを包み込むよう。僕が言うのも失礼かもしれませんが、“人たらし”トップのような方です。そんな鶴瓶さんと同じ役を!? と、同時にプレッシャーも感じました。なんで僕やったん? といろいろな方に聞いたのですが、「笑った顔がちょっと似ていた」って。

上白石:それは映画を観て、すごく感じました。重岡さんも人たらしですしね。

重岡:ほんま? とにかく嬉しかったなぁ。

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上白石:私は、「どうしよう、(原田と)似てない……」って思いました(笑)。私も原田さんが大好きで、出演された作品も観ていましたし、歌声が本当に好きでずっとCDを聴いていて。どうしたら自然なかたちでバトンパスができるだろう? というのをいちばんに考えました。

Q:物語に触れた感想は?

重岡:台本を読ませていただき、絶対にやりたいと思いました。この台本が手元に届いたことがもう嬉しくて。監督とも一度ご一緒させていただいていますし。

上白石:実話というのにもびっくりしました。それを知って読むとまた味わい深いです。現実に起きた出来事として、その一部になれるのが嬉しいなと。それから私自身は関西出身ではないので、ならではのやりとりが、すごく関西してるな! と(笑)。会話のなかで自然にボケたり、ツッコんだりしますよね。関西の方が読むと、そのあたりはどうですか? 

重岡:日常。

上白石:(笑)。どう演じようかと、ワクワクしました。

『溺れるナイフ』以来9年ぶりの共演

(C) 2025「35年目のラブレター」製作委員会

Q:共演はいかがでしたか?

重岡:今日これ死ぬほど話すと思うんですけど、上白石さん、天才や! と思って。台本の読み合わせから、もう原田さんやったもん。本当にびっくりした。関西弁も完ペキやし。

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上白石:気持ちいい~!

重岡:(笑)。関西人でも関西弁が下手な人もいるし。ハートやから、ようは。気持ちが伝わればいい。しかも原田さんのまとう雰囲気とかオーラを出していて、なんやねん! 自分もがんばらな! と。

上白石:わたしも腹が立ってました(笑)。シゲちゃん(重岡)のお芝居が好きで、作品もよく観させていただいて。最初に共演したときから、なんだこの人は!? と。台本を読んだときはキャスティングを聞いていませんでしたが、シゲちゃんにやってほしい! と思ったんです。それで本読みのときも、これこれこれ! という感じで。やっぱりお国の言葉でしゃべっているときの……。

重岡:「お国の言葉」!? 同じ国なんですけど(笑)。

上白石:私たち、早めに入って鶴瓶さんや原田さんのお芝居を見させていただいて。そのあと本読みに入ったんですけど、シゲちゃんのお芝居に鶴瓶さんが見えるようで。監督から「もうちょっとこういう風に」というお話をしていただいて終わることが多いんですけど、「もう一回やっていいですか?」とおっしゃって。その素敵さに腹が立ちました(笑)。まるで保さんだな、この人についていこう! と。

重岡:言いましたね、大汗かきながら。僕も、上白石さんが演じられると聞いて安心しました。一度共演させてもらった(注:二人は映画『溺れるナイフ』で共演)し、それから10年ほど経ったのかな?

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上白石:2016年ですね。

重岡:続けていると、こういうことがあるんだなって。

上白石:それでシゲちゃんは、体の使い方が自由なんですよね。

(C) 2025「35年目のラブレター」製作委員会

重岡:何かに縛られるのが苦手やねん。上白石さんは、お芝居のときに意識していることはある?

上白石:現場で対峙している相手の方の言葉をよく聞くとか、よく見るとか。それでもらえるものを全部もらう。ひとりでお芝居はできないので。

重岡:わかるわかる。この映画はコロナ禍前から製作が進められていて、脚本、音楽と、多くの人がかかわってこの場所がある。最近、そうしたことを一つひとつ考えています。自分のお芝居もそうで……って、なんかええこと言ってる!?

上白石:ええこと言ってる声でしゃべってる。

重岡:(笑)。30代に突入して改めて、一人じゃやれないなって思うんです。

上白石:いろいろな人が準備してきて、役者が最後にそれを決定してしまうというか。

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重岡:そういう怖さもあります。どうしても自分のペースでしゃべってしまって、説明が足りなかったりするんだけど、(上白石が)まとめてくれて、本当に助かります。

上白石:(笑)。

35年後は「でっかい犬を飼いたい」

(C) 2025「35年目のラブレター」製作委員会

Q:ご自身にとって、心に残る手紙はありますか?

重岡:(上白石に)手紙をよく書くと言ってたよね?

上白石:誕生日とか、お世話になった人に久々に会うときとか。今思い出したのは、中学3年生で東京の高校を受験するときにもらった手紙です。鹿児島出身ですが、上京の前日、いちばんの友達がノートの端っこを破って、「東京に行くんだね。スゴイね。がんばっておいで」と書いてくれて。今でも保管しています。キレイな便箋を選んで準備して書いてくれた手紙も嬉しいですけど、ノートの切れ端ってもう臨場感しかない。文字で残してくれたことが嬉しくてよく覚えています。ポケットに入れて、受験会場に行きました。

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重岡:とってもええやん。

上白石:(重岡に)さあ次どうぞ!

重岡:(笑)。いままで親に手紙を書いたりせえへんかったから、20歳になったとき、「育ててくれてありがとう」って。こっぱずかしくなりながら、メッセージカードに書きました。ほんならオカンが、仕事から帰ったオトンに「これ……なんか大毅が書いたんやって」って皿洗いしながら。

上白石:全員が手紙に慣れてない(笑)。

重岡:どうしていいかわからん! みたいな。

上白石:いい話ですね。

重岡:自分は字が汚いんやけど、手紙は好きです。最近はよく書きます。自分で曲をつくってメンバーに歌ってもらうわけだから、思いを手紙に書いて一人ひとりに渡したりする。「何が書いてあるかわからへん!」って言われるけど。

上白石:照れ隠しでね(笑)。

重岡:でもそれで歌が全然違ってくるから、やっぱり思いがのっかるんだなと。手紙は体温があって血が通っているようで好きですね。

上白石:熱い男ですね!

Q:35年後、ご自身の理想像は?

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重岡:いま32歳だから、70歳手前くらいか。でっかい犬を飼いたいねん。実は名前も決めてる、けどそれは秘密。

上白石:その名前を聞いて、爆笑した覚えがあります。重岡さんがつけそうな名前だなと思って。35年後に答え合わせですね。

重岡:大型犬を飼って散歩したい。『アルプスの少女ハイジ』のアルムおんじ、ああいう生活いいなあって。悠々自適に、田舎に引っ込みたい。

上白石:70歳で大型犬と走ってるってスゴイ。

重岡:元気いっぱいでいたい(笑)。

上白石:私は還暦を過ぎたくらいですね。家族はいるかなあ? 猫を飼いたいです。コタツを置いて、縁側があって。ゆくゆくは髪の毛を真っ白にしたいので、その準備をはじめたら、グレーくらいになっているかも。

重岡:猫の名前は?

上白石:まだ決めていません。35年かけて決めます(笑)。

Q:完成した映画を観た感想は?

重岡:何かを始めるのに遅いことはない。それが心に刺さり、勇気づけられました。どの年代でもそうかもしれませんが、あのとき、もっとがんばっておけばよかった……と思うことばかりで。でもそうではないと信じたいと思う自分もちゃんといる。そう信じられるきっかけをくれそうな気がしました。

上白石:この人の役に立ちたい! と思う気持ちが、どれだけ強くてあったかいものか。そう思える人がいるという生きがいって、本当に素敵だなと。それが結果的に、自分の心身を支えてくれるものになると思うんです。だから夫婦っていいな、愛っていいなって。そう思ったとき、なかなか恥ずかしくてできないですが、ちゃんと伝えるというのも大事だなと思いました。

映画『35年目のラブレター』は3月7日(金)全国公開

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