『ウィキッド』豪華カメオ出演シーン秘話！続編のヒントもたくさん

　映画『ウィキッド　ふたりの魔女』のジョン・M・チュウ監督が来日時にインタビューに応じ、舞台版のファンを感激させた豪華なカメオ出演シーンにまつわる秘話を明かした。

【画像】超仲良しな来日時のアリアナ・グランデ＆シンシア・エリヴォ

　『ウィキッド　ふたりの魔女』は、「オズの魔法使い」に登場する西の悪い魔女・エルファバ（シンシア・エリヴォ）と南の善い魔女・グリンダ（アリアナ・グランデ）の知られざる友情を描いた人気ブロードウェイミュージカルの映画化作品。エルファバとグリンダがエメラルドシティを訪れた際のミュージカルナンバー「ワン・ショート・デイ」には、オズの国の歴史を物語る劇中劇「Wizomania（魔法マニア）」が含まれているが、この劇にメインで登場するのが舞台版のオリジナルキャストであるイディナ・メンゼル（エルファバ役。映画『アナと雪の女王』のエルサ役でも有名）とクリスティン・チェノウェス（グリンダ役）だ。

　この豪華なカメオ出演についてチュウ監督は、「彼女たちに、どうにかして本作に出てほしいとずっと思っていた。だけど、“ただ通り過ぎるだけの人たち”にはしたくなかったんだ。絶頂期にいる人たちだし、ちゃんとしたスペースを作りたかった。いろいろなバージョンを考えたんだけど、どれも正しいと思えなくて」と二人へのリスペクトゆえに頭を悩ませたと明かす。しかし、「Wizomania」について考え始めた時、「これだ！」と腑に落ちたという。

　「“彼女たちが実際に舞台をやった”という現実の鏡映しになっていて、楽しいだろうと思ったんだ。エメラルドシティで最も有名な2人の俳優たちが、クリスティンとイディナというのはね！　それに加えて、多分こういう風にも言えるかもしれない。グリンダとエルファバが『Wizomania』を観て、グリマリー（魔法書）とは何かを観客と共に学ぶでしょ？　一部の人は指摘しているんだけど、予言ではグリマリーを読める人のことが言明されている。そこで、イディナが例の雄たけび、アアア～ア！（※名曲「ディファイング・グラヴィティ」のラスト）をやる。それを観ていたエルファバは、そのメロディーが頭に残っていたから後に『ディファイング・グラヴィティ』を歌う時にそれをやると言えるかもしれない。もしくはそれは予言であり、彼女はあれを歌うことで予言を成就したのかもしれない」

　「それに舞台のセリが下がって、彼女たち（イディナとクリスティン）が沈んでいくシーンがあるけど、それも“溶けていく”のを暗示しているかも、とかね。だから、あのシーンには第2部に関するたくさんのヒントがあるんだよ」

　このシーンの撮影に与えられたのは、ロンドンでの一夜だけ。イディナとクリスティンに事前に振り付け映像を送って練習してもらい、撮影前日にリハーサルをしてからの撮影となった。「ここでちょっとジャンプしたい！」「あの時みたいに戦ったらどうだろう？」などイディナとクリスティンもアイデアを出し、二人が演じた舞台版のアイコニックな瞬間も多数取り入れられている。

　「誰にも知られてはいけなかったから、彼女たちをこっそりロンドンに飛ばしたんだ。美しい夜だったよ。彼女たちに面と向かってそう言えた。朝4時に（笑）。みんな疲れ果てていて、激しい雨も降り続いていたけど」と笑って振り返ったチュウ監督は、「僕たちは、これを彼女たちのための映画にしたかった」と言い切る。

　「彼女たちはあの日、彼女たちが初めて『ウィキッド』をやった時に僕たち全員に与えてくれたものはどんなものだったかを体感することができたのではないかと思う。彼女たちが生み出したキャラクターたちを見て、初めて二人に会った時のような気持ちになったはずだ。それはとても特別なことだった」

　さらにその日は二人のみならず、舞台版の製作陣も勢ぞろいしていた。「その日はスティーヴン・シュワルツ（作詞作曲）──彼はこのナンバーに出演もしている──、ウィニー・ホルツマン（脚本）、デヴィッド・ストーンとマーク・プラット（製作）らオリジナルメンバーがそろっていた。顔を合わせた彼らにとっては、癒やしの時間だったと思う。『なんてことだろう！　わたしたちはこんなことを成し遂げたんだ！』とね。初演から約20年がたって、今、実際にエメラルドシティに立っている。セットじゃなくて、本物の石畳の上に。それはとても特別だったよ」と感慨深げに語っていた。

　『ウィキッド　ふたりの魔女』は公開中。第2部にして完結編『ウィキッド：フォー・グッド（原題） / Wicked: For Good』は今年11月21日に全米公開される（日本公開日は未発表）。（編集部・市川遥）