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「べらぼう」小芝風花の瀬川に代わる二人のキャラクター

福原遥演じる誰袖
福原遥演じる誰袖 - (C)NHK

 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜NHK総合よる8時~ほか)の序盤戦が終了した。横浜流星演じる主人公・蔦屋重三郎の進む道に大きな影響を与えた吉原随一の花魁・瀬川(小芝風花)と、類まれなる発想力で世の中を飛び渡っていった才人・平賀源内(安田顕)との別れを経た蔦重は、次にどんなステージに向かうのだろうか。チーフ演出を務める大原拓が、序盤戦の総括と今後の展開について語った。

【画像18枚】喜多川歌麿(染谷将太)、大田南畝(桐谷健太)らビジュアル

吉原の“光と闇”を表現

吉原の光と闇を担った瀬川(小芝風花)

 横浜演じる蔦屋重三郎は、江戸時代中期、花街・吉原の貸本屋から身を興し、書籍の編集・出版などに取り組み、後に江戸のメディア王として時代の寵児になった。そんな蔦重の序盤の人生に切っても切り離せないのが色街・吉原だ。そこには美しい花魁たちの華やかな姿が描かれる一方、過酷な現実もある。

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 本作では、第1回放送の「ありがた山の寒がらす」から、蔦重や花の井(後の瀬川)が幼少期から本の楽しさや面白さを教えてくれた元松葉屋の花魁・朝顔(愛希れいか)の非業の死を生々しく描くなど、吉原の“闇”もしっかりと描いてきた。

 大原は「取材を進めていくうちに、吉原の平均寿命が20歳そこそこだという衝撃的な現実を知りました。調べれば調べるほど、過酷な状況が見えてくるんです」と語ると、だからこそ表面的な華やかさだけではない“闇”の部分も目を背けずに描かなければいけないという思いで作品に向き合ったという。

 一方で、作品にこうした吉原の“闇”を描くうえで、自分事として捉えてもらうための工夫も施した。「吉原の例は極端かもしれませんが、今を生きる社会でも、同じような問題は内在している。だからこそ、一面的な見方ではなく、視座をしっかり広げて、ステレオタイプな描き方にならないように心がけました」

 第1回での、朝顔の描かれ方に対する視聴者の賛否両論も把握しているという。大切なことは「真摯に向き合うこと」。とにかく一方の見方だけで沙汰を下さない。しっかりと問題提起することで「さまざまなモノの見方」を持ってもらうという作りにこだわっている。

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 そんな作り手の思いを担ったのが、小芝演じる瀬川だ。大原は「小芝さんとはいろいろなことを話しました」と語ると「常に疲れている部分は纏わせておきたいですねという話をしていました。同時に、必ず翌朝は朝日を見る。それがいいことなのか、悪いことなのかは日によっても違う。でも、吉原で生きているんだということをしっかり表現したいですねという話はしていたんです」と小芝演じる瀬川に託した思いを語る。

 大原の思いを、切なさと愛おしさ、気丈さと儚さで表現した小芝演じる瀬川。蔦重にとっても瀬川が自身の元を去ったのは大きな喪失だが、その分、瀬川と共に語り合った夢への思いは強くなった。

新キャストの福原遥&橋本愛は「瀬川とは全く違うアプローチ」

蔦重の妻となるてい(橋本愛)

 そして物語は第2章へと展開するが、大原はカギを握る2人の女性の存在を明かす。「福原遥さん演じる誰袖(たがそで)と、橋本愛さんふんするていちゃんが、蔦重の人生に大きく関わってきます。どちらも蔦重にとって非常に重要な女性ですが、瀬川とは全く違うアプローチです」

 大原いわく、蔦重は「女性の気持ちが分からない男」という設定であり「そのあたりは今後も変わっていきません。人間なんてそんなに簡単には変わらないですからね」と笑う。そんな変わらぬ蔦重が、誰袖という花魁、妻になるていとどのように関わっていくのか「ぜひ楽しんでいただきたいです」と期待を煽っていた。

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 また「出版」という部分でも、今後歴史の教科書に登場するような有名人が多数登場してくるという。

 「いわゆる江戸中期の文化を支えた作家や絵師たちが続々と登場します。でも大田南畝や喜多川歌麿など、名前は知っていても、実際はどういう人なのかというのはあまり知られていないと思うんです。しっかりと史実を踏まえながら、(脚本担当の)森下佳子さんと魅力的なキャラクターを作っていきたいですねと話をしています。でも彼らも作家、絵師という側面を持っていながら、普通の人間なんです。そんな人間味をしっかりと伝えて行けたらと思っています」

 今後も蔦重を取り巻く人物たちのキャラクターは「とても面白い人たちばかりです」と語った大原。小休止を挟んだ中盤戦の「べらぼう」にも注目だ。(取材・文:磯部正和)

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