『サンダーボルツ*』白石充、バッキーへの感謝と希望 日本版声優歴14年「これからもついて行きます」

映画『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011)から、スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカの親友バッキー・バーンズ(セバスチャン・スタン)の日本版声優を担当している白石充。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の無法者たちがチームを結成する公開中の映画『サンダーボルツ*』でも、バッキー役で続投している。14年間共に歩んできたキャラクターについて「ここまでたくさん話すのは初めて」と緊張気味の白石がインタビューに応じ、バッキーとの出会いや変わらない魅力、今後のバッキーへの期待を語った。
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初登場作『ザ・ファースト・アベンジャー』でバッキー役に抜てきされた白石は、「決まった時は素直に嬉しかったです」と当時を回顧。2025年5月現在、『サンダーボルツ*』まで計36本のMCU映画が製作されているが、14年前は指で数えられるほどの本数しか公開されておらず、「後にこんなにも巨大な世界観に参加することになるとは、当時は思ってもいなかったです」とマーベルの世界的人気を改めて実感したという。
バッキーは、スティーブとの任務中に崖底へ落下し、命を落としたかに思われた。しかし、超人血清を投与していたバッキーは生き延び、秘密組織「ヒドラ」によって洗脳を受け、冷酷な暗殺者ウィンター・ソルジャーとしてスティーブの前に現れる。
『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)では、洗脳状態にあるウィンター・ソルジャーと記憶が蘇り始めたバッキーの演じ分けに挑戦した白石。「セバスチャン・スタンのちょっとした目の動き、表情の変化を感じ取って、数少ないセリフに日本語でニュアンスの違いを入れられるかどうか、すごく考えていました」と収録当時を振り返った。

バッキー役のセバスチャンは、MCUの全フェーズに参加している、数少ない俳優の一人だ。日本版声優を14年務めている白石も、「お話をいただく度に『また会えるんだ!』という気持ちになります。バッキーは主役でもなく、いつ出てこなくなるのかわからないので、毎回『もう登場しないかもしれない』と思いながら演じています。なので、新作のオファーが届くと純粋に嬉しいんです」と次の再会を期待しながら演じているという。
最新作『サンダーボルツ*』では、過去にヒーローに敗れたり、悪事を働いたMCUの無法者たちがチームを結成する。暗殺者としての過去と長年向き合ってきたバッキーも、「サンダーボルツ*」の一員となり、同じ境遇のクセ者たちを導く役割を担う。
白石は、今作におけるバッキーの立ち位置について「新鮮でした」と回答。「長い間苦悩と向き合ってきたバッキーは、そこから脱出しつつある状態で、今は前を向き、人の役に立ちたいと思っています。しかし、周りのメンバーは過去に囚われ、下を向いている状態です。バッキーは苦しみを知っているからこそ、気持ちの面で寄り添い、彼らの背中を押す役割を担っていると思います。スティーブやサム・ウィルソンのように、リーダーとして仕切ることは考えていないかもしれません。どちらかと言えば、頼れるアニキみたいな存在です」とキャラクターの魅力を語る。

日本でのバッキー人気は作品を重ねるごとに高まっており、セバスチャンが来日してイベントを開催した際には、彼に一目会おうと多くのファンが会場に足を運んだ。人々を虜にするバッキーの魅力を、白石は「とにかくカッコいい。だけど、時にクシャッと笑う顔がとても魅力的なので、男性でも撃ち抜かれてしまいます。セバスチャンの役者としてのポテンシャルも高く、振り幅が凄まじいんです」と分析。「『サンダーボルツ*』でも自分のメタルアームを食器洗浄乾燥機で洗ったり、ピザを落としたり、隙を見せる感じがたまらないですよね。すごく人間味があるところも大きな魅力かもしれません」と笑顔で続けた。
バッキーと出会えたことが声優を続けてこられた「大きな要素」になっているという白石は、「チャンスをいただけたことに感謝しています」としみじみ。セバスチャンは、2026年5月全米公開の『アベンジャーズ:ドゥームズデイ(原題)』にも出演が決定しており、バッキーのさらなる活躍も注目される。白石も「これからも(バッキーに)ついて行きます。バッキーと向き合い、『日本版もいいね』と思っていただけるように、必死にくらいついていきます」と意気込み、「バッキーが誰かの背中を押したり、誰かのそばで助けたり、大きな戦いの決定打となるきっかけを生み出す存在になってほしいです」と期待を寄せていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
映画『サンダーボルツ*』は全国公開中