トム・クルーズ、危険な空中スタント中にニコニコしすぎて監督に注意されていた

極限のスタントが代名詞となっているトム・クルーズ主演の映画『ミッション:インポッシブル』シリーズ。第8弾となる最新作『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』には複葉機での危険な空中スタントがあるものの、トム本人は楽しすぎて笑みがこぼれっ放しだったといい、クリストファー・マッカリー監督が「『笑うのをやめて』と常に言わなければならなかった」と来日記者会見で明かして会場を沸かせた。
この空中スタントについて「言っておくべき重要なことがある。トムは言わなかったけど、僕は言いたい」と切り出したマッカリー監督は、同シーンではトムが実際に飛行機に一人きりなのだと語る。「映画を観ていて皆さんが気付かないであろうことは、カメラは飛行機の中やトムの周りのさまざまなものにピントを合わせていて、照明もあり、そうした操作のすべてがきっちり決められているのだが、実際、トム以外は誰も飛行機に乗っていないということだ。そこにはカメラオペレーターも、フォーカスを絞る人も、どこに照明を当てるか決める人もいない。すべてトムがやっているんだ」と衝撃のコメント。
「事前にショットの打ち合わせをして“カメラの動きはこう、フォーカスはこう”などと決めてから、トムが上空へ行き、飛行機を飛ばして演技をしながら、フォーカスも操作している。たった一人の“空中クルー”というわけだ。彼は言わなかったけど、どうしても言いたくてね」と空中クルーまでまさかの一人でこなしてしまう主演俳優をたたえた。
トムが「彼(マッカリー監督)はヘリコプターにいてそれを見ているから、『満足? 撮れた?』と僕が聞くと、『フォーカスを変えるのがちょっと速すぎる』と言われたりしてね」と笑うと、「そんなこと言ってない」とマッカリー監督。
マッカリー監督がトムに指摘したのは技術面ではなかったといい、「常に言わなければならなかったのは、『笑うのをやめて』ということだった。彼は楽しんでいたから。ずっと言わなくちゃならなかったのはそれだけだ」と続けると、トムは「確かに! その通りだ。『そんなに笑わないで、これは危険なんだから』と言っていたね」と大笑いした。マッカリー監督いわく、スタントシーンを楽しみすぎてしまうのはグレース役のヘイリー・アトウェルも同様だったといい、「ヘイリーも笑うから、何度かカットしないといけなかった。『“怖がらないといけない”と覚えておいて』と言ったよ」と振り返っていた。
マッカリー監督はこの空中シーンに関して、トムがアイデアを提案した時の記憶が鮮やかに残っているという。「それを実現するには、トムが極限のスタントをしている中で、ピンポイントのカメラの動きが必要だった。僕が『やりたいけど、それを可能にするカメラの機材はないから無理だよ。僕たちにはそれをやるためのテクノロジーがない』と言うと、トムはいつも通り『じゃあ、その方法を見つけよう』と。そして次の日になると、そのカメラの機材は存在していた。チームが作ったんだ。彼らはそのためのテクノロジーを作り、僕たちはショットをデザインし、リハーサルし、その午後までにはそのショットの専門家になっていた。主演俳優がこういったことをやるというのは、本シリーズ以外では見られないだろう」
「だから、僕たちは実際、実現不可能なものに直面すると興奮してしまう。いつだって解決策はあるのだから。劇中、キャラクターたちがずっと『なんとかする(we’ll figure it out)』と言っているが、それは僕たちがモデル。僕たちはいつだってそうするんだ」とマッカリー監督。
トムも「そう、そのシーンが終わる頃には、僕たちはその専門家になっているけど、最初は何もわからない状態だ。この映画の空中のシーンについて、僕たちは空想し、できると思った。僕は飛行機を理解しているしね。だけど、テストをするまでは、実際にうまく行くかはわからなかった。わかっていることは一つだけ、僕たちは絶対に諦めないということ。絶対に」と力を込めた。
なお、今回の空中シーンには、トムが高速で飛行中の複葉機の翼の上に出るというスタントもある。これは数々のスタントをこなしてきたトムにとっても一筋縄ではいかないすさまじい難易度だったそうで、「人間はエネルギーが完全になくなると、ただ動けなくなるんだ。腕は震えるし……。それが、数分、翼の上にいたら起こること。だから筋肉がそれに素早く対処して、すぐ復活できるように体を訓練しなければならなかった。あんなのは今まで本当になかった」という彼の言葉からもその過酷さがうかがえる。(編集部・市川遥)
映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』は5月23日より全国公開 5月17日~22日まで先行上映


