片岡愛之助「べらぼう」最後の出演振り返る 「クランクアップがあのシーンで良かった」

横浜流星主演の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜NHK総合よる8時~ほか)で18日放送・第19回最後の出演を迎えた鱗形屋孫兵衛役の片岡愛之助がコメントを寄せ、クランクアップのシーンや印象に残っているシーンについて語った。
鱗形屋孫兵衛は、蔦屋重三郎(横浜)にとって本屋商売の師であるのと同時に敵でもあった人物。大人向けの絵本・黄表紙「金々先生栄花夢」で黄表紙のパイオニアとなった江戸を代表する日本橋(現在の中央区)や深川(現在の江東区)の地本問屋の主。蔦重に初めて本格的な本づくりの仕事を任せるなど、商売の基礎を指南する。やがて蔦重が本格的に本屋業に乗り出すライバル関係となり、激しい争いを繰り広げた。
片岡は、鱗形屋孫兵衛の人物像について「鱗形屋さんはすごく先見の明があると思います。いろんなことが上手いんだけど、ただ一つ、商売が下手(笑)。ものすごいことをやるんだけど、自分の店は全然売れてないという。やっぱりこの時代みんな生き抜くことはとても難しい。こちらから見るとものすごい悪人に見えるけど、違う角度から見ると「この人がいるから成り立っている」みたいな感じって、今の社会でもどこでもあるわけです。彼も悪いことをやろうと思ってやっていたわけではなく、すごく人間くさい人物だったと思いました」と振り返る。
蔦重は、鱗形屋お抱えの「改」として働き始めたことをきっかけに本屋の道へ。鱗形屋が偽版の罪で捕らわれると、次第に立場が逆転。蔦重に富本節の太夫の直伝本を横取りされたこともあった。第19回「鱗(うろこ)の置き土産」では鱗形屋が店じまいの準備を進めるさまが描かれ、片岡にとって蔦屋と和解するシーンがクランクアップとなった。本シーンについて、片岡はこう語る。
「なんだか感動しました。最初からずっと蔦重の成長の物語で、彼が何者でもないところから驚異的な存在になってくるわけですから。いろんな思いがあったということを蔦重本人に伝えられて、僕の中ではいいシーンになったと思いましたし、クランクアップがあのシーンで良かったと思いました」
印象に残っているシーンは「牢屋に入れられたシーンですね(笑)。 捕まって、しばかれて…これはしばかれる人がうまくないと痛々しくも見えないし、難しいんです。歌舞伎でも刀で斬る役はあっても、斬られる役をやることがほぼないので、やられるということの難しさがわかって、勉強になりました」と片岡。本作を去ることについて「とても寂しいですね。 これから先どうなるのか、僕も台本をもらってないので知らないんです。蔦重がどういうふうな足がかりでメディア王になっていくのか、皆さんと一緒に楽しみながら見守りたいと思います」と語っている。
片岡にとって大河ドラマへの出演は4作目。これまで「真田丸」(2016・大谷吉継役) 、「麒麟がくる」(2020・今川義元役)、「鎌倉殿の13人」(2022・北条宗時役)に出演している。(石川友里恵)


