「べらぼう」鱗形屋の贈り物が超泣ける!蔦重が号泣した奇跡の偶然

横浜流星主演の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜NHK総合よる8時~ほか)で18日放送・第19回では長きにわたって確執のあった蔦屋重三郎(横浜)と鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)の関係が一つの区切りを迎え、終盤で二人が交わした会話の中で浮上した“奇跡の偶然”が蔦重、視聴者の涙を誘った(※ネタバレあり。第19回の詳細に触れています)。
かつて鱗形屋お抱えの「改」として働き始めたことから本屋参入の足掛かりを得た蔦重。鱗形屋の飼い殺しになる可能性もぬぐえない状況だったが、鱗形屋が偽版づくりの罪で捕らわれたことから次第に立場が逆転。さらに蔦重が鱗形屋から富本節の太夫の直伝本をいわば横取りする格好となり、二人の溝は深まるばかりだった。そんな鱗形屋もいよいよ店をたたむこととなり、お抱え作家・恋川春町(岡山天音)は鶴屋(風間俊介)で書くことが決まった。しかし、春町は鶴屋から「先生の作風は古い」と言われ、追い詰められていく。
~以下、第19回のネタバレを含みます~
毛虫のごとく嫌われても春町を口説き落としたい蔦重の突破口となったきっかけが、人格者の書物問屋・須原屋(里見浩太朗)の粋な計らい。彼は、これまで鱗形屋から仕入れてきた細見が、実は自分ではなく蔦重だったことを鱗形屋に打ち明け、「ここをたたむ前に償っておくことはないのか?」と背中を押した。さらに、鶴屋の要望に応えられず思い悩んでいる春町を目にした鱗形屋は意を決して蔦重と共闘関係へ。真面目で義理堅い春町の鉄のような意志を曲げさせる「誰も見たことのない」アイデアを発案する。
鱗形屋が蔦重にしたためた手紙も「粋」だと称賛されたが、特に注目を浴びたのが終盤、鱗形屋が蔦重にある贈り物をするシーン。鱗形屋は「お前を恨むのは筋違いとわかってた」「でもそうでも思わなきゃ気力も出なくてよ」と詫びたうえで、「もらってもらいてえもんがある」と一枚の版木を差し出した。火事で一枚だけ焼け残ったというそれは、くしくも蔦重が生まれて初めて買った赤本「塩売文太物語」だった。
蔦重は涙をポロポロ流しながら、「これ、初めて買った本なんでさ」「駿河の親父さんに初めてもらったお年玉を握りしめて買いに行った」「うれしくて、てめえの名前書いて。そうか、これ鱗形屋さんだったのか…」と喜びに震え、「俺にとっちゃ、こんなお宝ねえです。これ以上ねえお宝をありがとうございます」と頭を下げた。すると鱗形屋もたまらないと言った感でもらい泣きし、「うちの本読んだガキが本屋になるってよ…びっくりがしゃっくりすらあ」と奇跡の巡り合わせを喜んだ。
「塩売文太物語」はかつて蔦重が幼なじみの瀬川(小芝風花)に贈った思い出の本でもあったことから、SNSでは「瀬川にあげた本…」「思い出の塩売り文太!」「すごいつながりもってきたな!」「なんという因果」「こんなことある?泣いちゃう」「号泣」「熱い展開」と胸を揺さぶられる視聴者の声が相次いだ。
なお、横浜と同エピソードに登場した田沼意次役の渡辺謙は、現在共にカンヌに滞在中。二人が親子役で共演した李相日監督の映画『国宝』(6月6日公開・李相日監督)が、第78回カンヌ国際映画祭の「監督週間」部門に出品されており、現地時間18日に公式上映される。横浜は、主人公・喜久雄(吉沢亮)のライバルであり生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介を、渡辺は、俊介の父で上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎を演じ、共に吹替えナシの歌舞伎を披露している。(石川友里恵)