『国宝』カンヌで6分間に及ぶスタンディングオベーション!李相日監督、吉沢亮ら涙で感謝
第78回カンヌ国際映画祭

現在開催中の第78回カンヌ国際映画祭で「監督週間」部門に選出された映画『国宝』(6月6日公開)の公式上映が現地時間18日に行われ、吉沢亮、横浜流星、渡辺謙、李相日監督が参加。4人は会場内で820人の観客と共に作品を鑑賞し、上映後は約6分にわたるスタンディングオベーションに沸いた。
【画像】吉沢亮、横浜流星、渡辺謙、李相日監督が涙で感謝<10枚>
吉田修一の同名小説を原作にした本作は、任侠の一門に生まれながらも、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げる主人公・喜久雄の50年を描いた一代記。抗争によって父を亡くした後、上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られ、歌舞伎の世界へ飛び込む喜久雄に吉沢、半二郎の実の息子として生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介に横浜がふんする。吉田原作の『悪人』『怒り』に続いて李相日監督がメガホンをとった。
公式上映は現地時間18日16時から行われ、上映前には「監督週間」ディレクターのジュリアン・レジが「本日は日本の監督をお迎えしまして、我々も非常に気に入った作品を紹介させていただきます。最近ではなかなか見ないメロドラマで、半世紀に及ぶ日本人の歌舞伎役者の半生を描いた作品です。そしてこの作品の特徴といえるのが、歌舞伎役者でもなく女形でもない、日本の映画界のスターの人たちが1年半かけて稽古をし、歌舞伎を再現しつつ、様々な人たちに歌舞伎を理解していただけるような映画になっています」と紹介。
李相日監督は「ボンジュール! フランス語はこれだけしか喋れなくてすみません(笑)。歴史あるカンヌ国際映画祭、そしてとても意義の深い成り立ちであるこの監督週間に選ばれたことを本当に、とてもとても、日本のスタッフも他の役者も全員が光栄に思っております。そして今日は先ほどジュリアン氏が紹介してくれましたけれども、(吉沢たちを見ながら)彼らの献身と努力が無ければ歌舞伎の映画に真実味を持たせることはできなかったので、そんな彼らとこの場に立てることを非常に嬉しく思っております。ちょっと長い映画ですが(笑)、どうか最後まで楽しんでください」と呼び掛けた。
主演の吉沢は「ボンジュール! 本日は、映画に携わっている者にとっての憧れの地で、世界中の皆さまに、日本の伝統芸能である歌舞伎を題材とした映画をお届けできることを非常に光栄に思います。僕と流星が1年半かけて歌舞伎というものと向き合って、どうにか完成させた作品です。皆さまがどのようにこの作品を観てくださるのか、非常に不安もありますが、すごく楽しみにしております。今日は最後までお楽しみください」、横浜は「ボンジュール! 映画人としての憧れの地、カンヌに来ることができ、非常に嬉しく思っております。日本の伝統芸能を題材にした人間ドラマが皆さまの心にどう届くのか、非常に楽しみにしております。上映を楽しんでご覧ください」と挨拶。そして、渡辺は流ちょうな英語で「グッドアフタヌーン! 皆さん本日はお越しいただきありがとうございます。本日ここに立てたことを本当に光栄に思います。二人の才能ある俳優の努力のたまものであるこの映画は、成功を手に入れるはずです。私は彼らの献身に心から敬意を払います。どうかこの作品をお楽しみください。そして繰り返しますが、この映画は少しだけ長いです(笑)」と続いた。
上映が終わると場内は割れんばかりの拍手と歓声に包まれ、約6分にわたるスタンディングオベーションが続き、なりやまない拍手と歓声に4人は互いに手をとりあい、高く上げ、満席の観客に感謝を表現。吉沢と横浜は熱く抱き合い、李監督と渡辺は握手をするなど、互いを称え喜びを分かち合いました。
上映後、李相日監督は「(上映の)最後の最後で、ものすごくちゃんと我々が込めたものがすべて届いている、伝わっているという感触がダイレクトにあって、震えが来る感じがしました」と興奮冷めやらぬ様子。吉沢は「我々がこの作品に込めた熱量みたいなものをしっかり受け取ってくださって、これだけの盛り上がりを見せてくださり、すごく胸に来るものがありました」、横浜は「観終わった後の鳴りやまない拍手、あの光景はこれから先も忘れないと思いますし、本当に役者をやっていてよかったなと思える瞬間でした。ありがとうございます」、渡辺は「最後に喜久雄が観た風景を僕らみんなで観させてもらった、そんな気がしました。ちょっとやっぱりここ(胸)が震えました」とコメント。4人全員が涙を滲ませ、感謝の言葉を述べた。
「監督週間」は、1969年に映画監督協会(SRF)によって創設されたカンヌ国際映画祭の独立部門。短編、中編、長編、フィクション、ノンフィクション、実写、ドキュメンタリーが一堂に会し、選考の指針となる唯一の原則は、映画製作者のミザンセーヌと独自の芸術表現方法にある。日本映画では『未来のミライ』(2018・細田守監督)、『初恋』(2019・三池崇史監督)、『ナミビアの砂漠』(2024・山中瑶子監督)、『化け猫あんずちゃん』(2024・久野遥子監督・山下敦弘監督)などが選出されている。(石川友里恵)