【一部ネタバレ】『リロ&スティッチ』実写版であのキャラクターがカットされた理由

ディズニー実写版『リロ&スティッチ』(全国公開中)には、主人公リロや姉のナニをはじめ、アニメーション版の主要キャラクターが軒並み登場するが、中にはやむなくカットされてしまった者もいる。その決断に至った理由について、メガホンを取ったディーン・フライシャー・キャンプ監督とプロデューサーのジョナサン・アイリヒが、Entertainment Weekly に語っている。(以下、映画の内容を一部含みます)
『リロ&スティッチ』は、銀河連邦の監視下から脱走した試作品626号(=スティッチ)が、不時着先のハワイで少女リロ&姉のナニに出会い、オハナ(家族)の絆の大切さに気づいていく物語。実写版では、新キャラクターの登場や一部設定に変更が加えられたが、ストーリーの大筋はアニメーション版を踏襲している。
アニメーション版からの大きな変更点は、銀河連邦議長の側近であるガントゥ大尉が登場しないこと。ガントゥは、脱走したスティッチを捕らえにハワイにやってくる悪役キャラクターで、7メートルの巨体が特徴だ。実写版では、スティッチを発明したジャンバ博士がガントゥのポジションに置き換えられている。
キャンプ監督によると、この変更は実写版におけるリアリズムを維持するために必要な決断だったという。「実写版は現実世界を舞台にしている時点で、より地に足の着いたものになります。『リロ&スティッチ』のように、姉妹の絆や離れ離れになる危機などの現実的なドラマがあるストーリーでは、実写ならではの深みを持たせることができる。人間関係をより深く、感情的に響くものにできるんです」
アニメーション版の好きな点として、ガントゥが登場するまでは「純粋な悪役」がいないことを挙げたキャンプ監督。「彼が現れると、典型的な“敵と戦う”映画になってしまう。今回はジャンバをクライマックスで悪役にする良いチャンスだと思いました」と語っており、感情的な描写で深みをもたせるためには、ほかの要素を削らなければならなず、ガントゥがその“犠牲”になってしまったと説明した。
またエイリッヒによれば、ガントゥの登場は映画の初期段階では検討されていたという。「オリジナル版の流れを踏襲しようとすると『当然ガントゥも必要だ』と考えますよね。しかし、それに対してディーンが『本当に必要? もっと個人的なつながりを持つキャラクターでもいいんじゃないか?』と問いかけたんです」。ガントゥ抜きの物語がうまくいかなければ、彼を復活させる選択肢もあったが、最終的に納得のいく展開が完成したことで、登場は見送られている。(編集部・倉本拓弥)


