『スーパーマン』クラーク・ケントはヒーロー3年目 ジェームズ・ガン、完全新作で“脆さ”描く「最強だが無敵ではない」

DC新作映画『スーパーマン』の脚本・監督を務めるジェームズ・ガンがリモートインタビューに応じ、本作で描かれる主人公クラーク・ケントや、主演のデヴィッド・コレンスウェットのキャスティングについて語った。
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1938年に誕生、87年の歴史を誇るスーパーマンは、これまで何度も映画化&ドラマ化されてきたアメコミヒーローだ。崩壊する惑星クリプトンからスーパーマンことカル=エルが地球に飛ばされ、カンザス州で人間の夫婦に育てられ、新聞社「デイリー・プラネット」の記者クラーク・ケントとして正体を隠しながら活動する一連の物語は、もはや周知の事実として知られている。
かねてよりガン監督は、本作ではスーパーマンのオリジンストーリーを描かないことを公言してきた。「スーパーマンが地球にやってきた話、バットマンの両親が路地裏で殺害された話は、みんな知っていますよね。だから、わざわざ最初から描く必要はないと思ったんです」
そのため、本作のスーパーマンは「活動を始めて3年目くらい。若きスーパーマンですが、世界はすでに彼を知っています。彼は、初期の試練に直面している段階です」とガン監督は説明。また、デイリー・プラネットの同僚で恋人のロイス・レインとは交際3か月だといい、「二人の関係の始まりも描きます」と予告した。
昨年12月に公開された特報は、冒頭から満身創痍のスーパーマンを映し出し、市民からゴミを投げつけられる衝撃的な描写も含まれていた。ガン監督は、地球上で最も強いメタヒューマンであるスーパーマン/クラークの“脆さ”にも焦点を当てていると強調する。
「スーパーマンでも、対等な力を持つ敵とぶつかればダメージを負います。それは大事なことです。元祖スーパーマンのように建物を飛び越えるだけでもなく、惑星をパンチするようなスーパーマンでもありません。世界を逆回転させたりもしません。地球上で最強のメタヒューマンですが、無敵ではありません。傷つくこともあるのです」
新スーパーマンを演じるデヴィッドの起用は、「本当に運が良かった」と振り返るガン監督。というのも、歴代スーパーマンに肩を並べる俳優を見つけ出せるか、期待より不安が大きかったからだという。
「最初は『スーパーマンが見つからなかったらどうしよう』と不安でした。スター・ロード(※ガン監督が手がけたマーベル映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズの主人公)を見つけるのにも時間がかかりましたし、あちらは見た目に制限がなかったが、スーパーマンは違います。見た目も性格も、私が書いたキャラクターそのものでなければいけません」
そんな中、デヴィッドという逸材を発見するきっかけになったのが、友人であるタイ・ウェスト監督が手がけたホラー映画『Pearl パール』(2022)だ。「デヴィッドがやや大きめの役で出ていて、『この人は良い役者で、見た目もスーパーマンっぽいな』と思い、すぐにオーディション参加を依頼しました」とガン監督。送られてきたオーディションテープを確認すると「こんなに良かったのか!」と驚いたそうで、「求めていたユーモア、スーパーマンになることの喜びをすべて兼ね備えていました」と振り返った。
デヴィッドが演じるスーパーマンのコスチュームは、原作コミックのイメージを踏襲したような仕上がりだ。特に、オリジナルのスーパーマンを象徴する赤いパンツは、ガン監督が採用するか「最も悩んだ」というほどこだわった部分で、かつて『マン・オブ・スティール』(2013)でスーパーマンを描いたザック・スナイダー監督もその有無を相談したほど。
最終的に、スーパーマンが赤いパンツを履くという決断を下したのはデヴィッド自身だった。「最初はパンツありで考えていたのですが、何度見ても違和感があり、コスチュームデザイナーに赤パンツありとなしの2バージョン製作してもらい、デヴィッドに試着させました。私は“なし”がいいかもとも思いはじめていて、デヴィッドに『どっちが好き?』と聞くと、『パンツありの方が好き』と返したんです」とガン監督は打ち明け、「デヴィッドに理由を聞いたら『スーパーマンは目からビームを出し、空を飛び、建物を持ち上げる異星人です。でも、子どもたちに好かれたいと思っているんです。だから明るくて、レスリング衣装っぽい服を着たい』と言いました。彼の説明に納得して、パンツありに決めました」と当時のやり取りを振り返っていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
映画『スーパーマン』は7月11日(金)日米同時公開


