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『スーパーマン』浅沼晋太郎、映画は「悪役で記憶する」レックス・ルーサー役で残す確かな爪痕

レックス・ルーサーの日本版声優を担当した浅沼晋太郎
レックス・ルーサーの日本版声優を担当した浅沼晋太郎

 新生DCユニバースの幕開けを飾る映画『スーパーマン』で、主人公スーパーマンの宿敵レックス・ルーサーの日本語吹替版キャストを担当した浅沼晋太郎。レックスを演じるニコラス・ホルトの吹き替えは本作で5度目、過去に担当したキャラクターと共通点も見られるが「全く新しい人物を演じる」という覚悟で挑んだという。放送中の特撮ドラマ「仮面ライダーガヴ」をはじめ、悪役を務める機会が増えている浅沼がインタビューに応じ、レックスとの向き合い方や、映画に対する思いを語った。

【画像】ギャップ萌え!クリプトぬいぐるみを持つ浅沼晋太郎

リアルとファンタジーが融合したレックス・ルーサー

スーパーマンの宿敵レックス・ルーサー - (C) & TM DC (C) 2025 WBEI

 浅沼は出演発表時のコメントで、「もの心つく前から劇場で観た映画のパンフレットを集め続けて来た僕ですが、一番最初のパンフレットを見ると、なんとそれが1978年。リチャード・ドナー監督の『スーパーマン』なんです。人生で一番最初、2歳の時に劇場で観た作品に関われるなんて光栄すぎます」と『スーパーマン』に対する思いを語っていた。劇場で鑑賞した映画のパンフレットは必ず購入するといい、「ある時、(パンフレットの量が)床が抜けるかもしれないレベルになったので、一度整理しようと年代別に積んでいったら、一番古い作品が『スーパーマン』だったんです」と告白。幼少期から映画に熱中していた浅沼は、「宣伝の言葉を借りるならば、(『スーパーマン』は)僕を映画好きにした原点なんです」と目を輝かせた。

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 巨大企業「ルーサー・コープ」の経営者であり、天才科学者としての顔も持つレックス・ルーサーは、スーパーマンを地球にとっての脅威と考え、持ち前の頭脳でスーパーマンを精神的・肉体的に追いつめていく。浅沼は、レックスの戦略を「リアルな怖さもある」と表現し、DCを代表するヴィラン・ジョーカーを例に、その魅力を語った。

 「同じジョーカーでも、ティム・バートン監督の『バットマン』(1989)でジャック・ニコルソンが演じたジョーカー、トッド・フィリップス監督の『ジョーカー』(2019)でホアキン・フェニックスが演じたジョーカーは全然違うじゃないですか。バートン版はダーク・ファンタジーの中のヴィラン、フィリップス版は自分のすぐ隣にいるかもしれないリアルな存在。今作のレックスは、そのどちらもが合わさった存在といったイメージです。実際にいるかもしれないと感じさせる私生活が垣間見えますし、未来のテクノロジーを駆使した、いわゆるポップコーン・ムービーのヴィランにふさわしい派手さもある。両方を持ち合わせているのが新鮮でした」

吹き替えでも「完全悪」を意識 - (C) & TM DC (C) 2025 WBEI

 浅沼が吹き替えで意識したのは、レックスが「完全悪」のキャラクターであること。「もちろん、敵側にも正義があるのはわかっていながら、それを意識したまんまでは圧倒的超人(=スーパーマン)には太刀打ちできないと思い、『悪です!』と割り切って演じたつもりです」

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 「レックスは、民族、人種、種族を超えて、地球人と地球人以外で分け、異星人を迫害する思想の持ち主です。地球外生命体の存在を認めるような世の中で『それ言っちゃっていいのか、レックス?』と思いながら、試写を観ていました。本編を鑑賞して『人間だろうがそうじゃなかろうが関係ない! 手を取り合っていくべきだ!』と強く思い、その後トイレに行って鏡を見たら、自分のTシャツの胸の部分に大きく“HUMANMADE”と描かれていて、少し『あっ…』ってなりました(笑)」

「役者が一度は憧れる」悪役の魅力

悪役を演じる機会が増えている浅沼晋太郎

 演出家としても活動する浅沼は、役者から「サイコパスな殺人鬼、みたいな役をやってみたい」と要望する声をよく耳にするという。「悪役って、多くの役者が演じたくなる存在なんです。悪役にどこか色っぽさを感じたり、『現実世界ではなってはいけないもの』という背徳感みたいなものが、役者を憧れさせるのかもしれません」と自身の見解を明かす。

 映画史に残る名作には、ヒーローと相対する名ヴィランが登場することも事実だ。「アメコミ原作の映画はもとより、『ターミネーター』『ダイ・ハード』『ロッキー』のような作品も、みんな悪役・敵役・ライバル役で覚えている方が多いと思うんです。ドラゴが出ていたのは『ロッキー4/炎の友情』、T-1000が登場するのは『ターミネーター2』と、相対する敵で作品のナンバリングを記憶している。そういった記憶に残るインパクトを必ず与えるところも、悪役の魅力だと思います」

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 メジャーな大作からコアなB級映画まで、幅広く映画を愛する浅沼。本作を監督したジェームズ・ガンはもちろん、クエンティン・タランティーノジェームズ・キャメロンロバート・ロドリゲス、ティム・バートンなど、“ちょっとオタクで変わり者で、好きなものにとてつもないこだわりを持つ監督”の作品には「信頼がおける」と熱弁した。

映画歴に残る新たな名ヴィランが誕生 - (C) & TM DC (C) 2025 WBEI

 「彼らは、自分がワクワクすることにすごく真っ直ぐで、真摯に向き合っているんです。タランティーノは日本の任侠映画やアニメ、バートンは鬱屈していた頃の自分に対して向き合おうとするなど、何かに対するこだわりとリスペクトがフィルムにこびりついている。少し陳腐な表現ですが、少年がそのまま成長して、少年の頃の夢を叶えようとしていることが映画の中に感じられると、すごく嬉しいんです」

 ポップコーンとコーラを片手に、映画を劇場の巨大なスクリーンで堪能する。「映画は娯楽」と話す浅沼を満足させる要素が、『スーパーマン』には全て詰まっている。「劇場なので声を出したりしちゃいけないんですけど、心の中で『よっ! 待ってました!』と叫びたくなる場面がいくつもあります。それこそ、僕にとっての映画ですし、ブロックバスターやポップコーンムービーと言われる大作の醍醐味なんだと思います」(取材・文:編集部・倉本拓弥)

映画『スーパーマン』は全国公開中

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