『ファンタスティック4』謎多きシルバーサーファーとは何者？原作コミック＆映像化の歴史
マーベル・シネマティック・ユニバース（MCU）最新映画『ファンタスティック4：ファースト・ステップ』（全国公開中）に登場する全身銀色のキャラクター・シルバーサーファー。予告編から「この星は滅びる運命にある」と人類に警告するなど、謎多き彼女は一体何者なのか。原作コミックでの歴史や能力を参考にして紹介する。
実はヴィランじゃない？コミック版シルバーサーファー
シルバーサーファーは、コミック初登場が「Fantastic Four #48」(1965）の古参キャラクター。彼が主人公のコミック「Silver Surfer Vol 1」(1968）で、詳しい歴史が描かれた。
もともとはヴィランではなく、高度な化学文明を持つ惑星ゼン＝ラの天文学者ノリン・ラッド。ノリンは、彼の住む惑星がギャラクタスに狙われた時、惑星を救うためにギャラクタスの要求を受け入れて、彼のヘラルド（彼の襲来を惑星に伝える使者）になった。惑星の人々を救うため、自己犠牲となった人物なのだ。
そのため、コミックではギャラクタスが地球に襲来した時、地球人の行動に心を動かされ、ギャラクタスに地球を見逃すことを願い出るが拒絶され、ギャラクタスに反抗して戦い、それにヒューマン・トーチが協力するというエピソードもある。また、後にギャラクタスから離れて、ヒーローとして活動するようになり、別のヒーローたちと共闘するエピソードも多い。
シルバーサーファーのパワーは絶大だ。ギャラクタスのヘラルドになった際に、彼から宇宙エネルギーに基づく強力なパワーを与えられている。全身が銀色の流動物質で覆われているため、真空やハイパースペース、極度の高温や低温の状態でも超高速での移動が可能。この体表から宇宙エネルギーを吸収するので、食事や呼吸は不要。両手から強力な光線コズミックブラストを発射する。愛用アイテムは、体表と同じ素材でできたコズミック・サーフボード。これに乗り、超光速での移動が可能。このボードに触れることなく、自在に動かすこともできる。
ちなみにシルバーサーファーは、これまでのマーベル映画に登場済み。『ファンタスティック・フォー：銀河の危機』（2007）では、『ヘルボーイ』シリーズの水棲人間エイプ役などギレルモ・デル・トロ映画の常連であるダグ・ジョーンズが演じ、声は『ジョン・ウィック』シリーズのローレンス・フィッシュバーンが担当した。この映画でもコミック同様、ギャラクタスのヘラルドとして登場し、後にファンタスティック4に協力する。
女性版シルバーサーファーはコミックにも存在
映画『ファンタスティック４：ファースト・ステップ』でシルバーサーファーを演じるのは、ドラマ「オザークへようこそ」でエミー賞助演女優賞受賞のジュリア・ガーナー。マーベル・シネマティック・ユニバース（MCU）では女性がシルバーサーファーを演じるが、コミックにも女性版シルバーサーファーは存在する。
女性版シルバーサーファーことシャラ＝バルは、「Earth X #12」(2000）で初登場。もとは、ノリン・ラッドが暮らす惑星ゼン＝ラの王女で、ノリンの恋人だった。この世界では、ギャラクタスが一度倒されるが、また新たなギャラクタスが誕生する。新ギャラクタスは、恋人ノリンとの別れを悲しむシャラ＝バルに、彼女もシルバーサーファーになればノリンと一緒にいられると提案し、彼女はそれを受け入れる。こうして誕生したのが、女性版シルバーサーファーなのだ。パワーも、ノリン版シルバーサーファーと変わらない。2人は一緒に新たなギャラクタスのヘラルドとして活動するが、後に、ノリン版シルバーサーファーと共に地球のために戦い、その戦いの中で命を落とす。
以上がコミックでのキャラクターだが、映画版シルバーサーファーの細かな設定は未発表。コミック版と関連があるのかは、スクリーンで確認するしかない。コミックのシルバーサーファーは、今度のMCUの重要キャラクターであるドクター・ドゥームと戦ったこともある。今後のMCUとの関連も気になるところだ。（平沢薫）